紙の本
たったひとりで戦争を終わらせた若き王子に拍手を!
2003/02/05 22:05
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投稿者:山村まひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
長い長い間戦争を続ける赤の国と青の国。
赤の国の王子は父王を励ます自慢の息子。
けれど、青の国の王子は戦争が好きではなかったので、父王に「恥知らず」とののしられ、国を追われることに。
戦争を続ける2つの国を眺めながら、青の国を追われた王子は、たったひとりで「戦争を終わらせるための戦い」を始めました。
青の国の王子は、どうやって、たったひとりで戦争を終わらせたと思いますか?
地味な表紙なので、子どもはあまり手を出さないかも……という気がしますが、ページを繰ると、赤、青、黄色の色も鮮やかに、物語世界が広がっています。
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本の大きさがこんなにも影響力を持っているなんて、と驚いた絵本です。正方形に近い大判の絵本は、非常に迫力がありました。ページをめくるたびに目の前が赤くなったり青くなったり。中世の寒空が、一段と寒々しく見えてきたり。
線がとてもしっかりしていて、細部に渡ってひとつひとつがきちんと描かれています。なにより、人々の表情がすばらしく描き出されていますね。国の民のひとりひとりがみんな違うんですよ。王さまの表情も、それぞれの気持ちがちゃーんと伝わってくるし、ファビアン王子の苦悩も痛いほど伝わってくる。表紙にもなっているあの絵は、まさにファビアン王子が決意した瞬間の表情だったのだろうと思います。
最後のページで、ふたりだけこちらを見ている人がいるんですね。とても印象的です。このふたりとだけ目が合うんですよ。一体何を伝えたかったのだろう。
すごく絵本らしい絵本で、読み聞かせにも向いていると思います。新刊なのですが、昔から読みつがれてきた絵本というイメージがしてなりません。絵本の歴史に残って欲しい作品です。(2002.12.6)
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赤い国と青い国との戦争が長く続いていました。〝どうして始まったのか? いつまで戦って死んでいかなければならないのか? 〟双方の国の人々の心は、傷つき病んでいました。 青の国の王子ファビアンもその一人でしたが、父王の怒りをかい国を追われる身に。 戦争を終わらせるために、軍隊を持たず、知恵を武器に戦ったファビアンのたった一人の戦いとは、第三国(黄色の国)を後ろ盾に、平和に向けた奇策でした・・・。 無益な戦争を戒め、平和の尊さをきめ細やかで色彩豊かに描かれた、フランス女性作家の大型絵本です。
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なぜだかわからないけれどずっと戦争をしている「赤の国」と「青の国」。
戦争に興味がない青の国の王子は、放逐されて一計を案ずる。
民話風に、むかしあるところなのに王子たちには名前がある。
そのせいか、キャラクターは代替可能な「お話」なのか、この王子の物語なのか微妙。
教訓が強い話は時代が変わるとつまらなくなることがある。
この本の道徳は後に使えるものなのか微妙だ。
黄色の国の王様は他国の他人のために泣けるけど、青の国の王子は戦争を「どうでもいい」と思っている。
面倒だから嫌なんだろうな。
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アナイス ヴォージュラード (著), Ana¨is Vaugelade (原著), 平岡 敦 (翻訳)
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児童図書賞
図書館で取り寄せたら本が大きくて驚きました(笑)
長く続く戦争、もはやその理由もわからないまま赤の国と青の国が毎日争い死傷者がでているという悲しい現状。
しかし、黄色の国という別の敵国が出てきたとたん、赤の国と青の国は対峙しても争わないどころか親交を深めるようになっていく。
同じ攻撃対象がいると仲良くなるのは人間の性質だなともやっとしましたが、戦争の途中でサンドウィッチをお取り寄せしたり、家族が自由にやって来るところがおかしかったです。
結局、赤も青もなくみんな同じ人間。人々が集まれば自然に村ができて共に暮らしていくことが
できるのですね。
絵が印象的で、特に登場人物たちの表情が豊かでとてもいいです。