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紙の本
ロボット工学の権威が,ロボットの発展に対する夢と,その背景にある技術/思想を語る
2000/10/06 15:20
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投稿者:ブックレビュー社 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロボティクス(ロボット工学)の権威が,ロボットの発展に対する夢と,その背景にある技術/思想を語った書。130ページ余りの小冊子ながら,著者がロボットに寄せる熱い思いがぎっしりと詰め込まれ,非常に読みごたえのある本だ。
著者の考える究極のロボットとは「知」と「身体」を兼ね備えた“機械”である。1980年代,猛烈に普及した産業用ロボットとは一線を画す存在だ。著者は20世紀も最末期になって,ようやく「究極のロボット」の一端が,世の中に現れてきたと解説する。たとえばペット・ロボットや介護用ロボットなどがそれに相当する。これらは人間の代わりに単純な反復作業や精密作業をこなすために作られた産業用ロボットとは,明らかにその性質を異にする。動物や人間の動作を真似し,ペット・ロボット(たとえばソニーのアイボ)に至っては,あたかも現実の動物のように振る舞う。もちろん,これらの製品は「究極のロボット」からすれば,まだまだ初歩の段階だ。それでも著者は,産業用ロボットとまったく違った視点から生まれた新しいタイプのロボットたちの登場を,ロボティクス研究者の視点から歓迎している。
そして「究極のロボット」を世に送り出すためには,ロボティクス研究において現実世界および人間の行動に見られる予測困難な動作を解明する研究が不可欠になると強調する。そしてロボット自身による認知能力と周囲で起こる事象を予測する能力を高めることが,ロボティクスを支えるメカトロニクス(機械工学)技術の高度化にかかっていると指摘する。もちろんそこにはコンピューター/情報処理技術の発展が不可欠であることを述べている。
著者は最終章に至って,ピンチ動作(人間の指が物体を挟む動作)を模擬するロボット機構と視覚センサー技術を例に,「知」と「身体」をどのようにして機械上に実装していくのか,そのヒントを提示している。この最終章に至るまで,著者の提供する話題はロボティクスにとどまらない。その背景にある哲学(たとえばデカルトの二元論),ダ・ヴィンチの機械的発明,ゲーデルの不完全性定理,チューリングによる人工知能(AI)の提案,70年代におけるAI研究への批判など,さまざまな話題を展開した上で,認知科学とメカトロニクスの融合の重要性へと話を進める。
非常に興味深い本だが,完全に読みこなすには少なくとも大学教養部(それも理学系)程度の数学と物理学の知識が要求される。
(C) ブックレビュー社 2000
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