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山風らしい登場人物、おどろおどろしい話は魅力的じゃが、やはり「解決編」から先は……。
「本格」には、あまりわしは向かぬのかも。
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荊木歓喜・神津恭介の二大探偵が共演!という謳い文句なのですが。……神津恭介、なかなか登場しません(笑)。なので神津恭介のファンにはちょこっと物足りないかもなあ、という印象が。
逆に私は荊木歓喜のキャラに惹かれて読んだので。こちらはもう休むまもなく活躍してくれます。事件のおどろおどろしさも、いかにも古き探偵小説、という雰囲気がいっぱいの一作。怪奇と華に満ち溢れてます。
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新聞社にかけ込んできた元帝国陸軍参謀の相馬。同じようなタレこみを受けていた新聞社に追い返される。彼を追跡する記者の真鍋。真鍋の恋人素子のおかしな行動。殺害された杉村大臣。くりぬかれた目玉。現場付近にあらわれた素子に似た女。杉村の愛人・泉恭子の殺害事件。京子に似た女、ローズ真利。真利の愛人・関。車の中で殺害された関と運転手。探偵・荊木歓喜の捜査。落語家・馬笑の怪しい行動と死。留学中で捜査に参加できない神津恭介。謎の中国人・呉真成。戦前の天城伯爵の殺害事件との関連。天城伯爵の息子・潮の帰還。4人の娘の運命。
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高木考案、風太郎執筆と胸踊る二大共著ですが、謎は吸引力に欠け、展開の妙も薄く、期待せず読めばそれなりに楽しめる作品だと思いました。
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★ここまでおいで、とやられては、ドカンと尻餅、荊木歓喜、ほとほとかたなしだあ。(p.194)
・猥雑な新宿の街で繰り広げられる混乱。バラバラに見えた人間関係がしだいにつながっていくのだが物語はさらに混迷をきわめる。
・長編ですがみじかい章の積み重ねなのでわりと読みやすくスラスラすすみます。お話はちょっと古めかしい感じです。
・山田風太郎さんと高木彬光さんの共著だとか。高木彬光さんの方はほとんど読んでないのですが、なんとなく山田風太郎さんがメインで書いてるような雰囲気かなと思いました。関係ないですが、最近NHKテレビでやってた「探偵ロマンス」というドラマは江戸川乱歩が主役ですがどちらかといえば山田風太郎テイストだったような気がしてました。
■簡単なメモ■
【一行目】――その男は、ガード下から帝都小劇場の蔭へ、薄暮のなかにともりはじめた灯の花の下を、ころがるように身をしずめて、ときどき不安そうにうしろをふりかえりながら、東洋新聞社の玄関へかけこんでいった。
【阿久津斉次郎】悪名高い金貸し。長者番付四位。羅漢みたいにはげぬけた馬面。妻の康子をして何を考えているのかわからないと言わせる。
【阿久津康子】斉次郎の妻。聖母のように美しいと言われる。フランス料理店、孔雀亭を経営している。
【天城伯爵】数年前に殺されたらしい。暴漢関松吉に襲われ執事の阿久津斉次郎に救われたものの、事件せいなのか風眼(淋菌性結膜炎)で失明、その後亡くなった。妻は真琴で当時四十五歳でその後病死。長男潮は当時二十一歳で康子という女性と婚約していたが出征し戦死。長女雅子十四歳、次女陽子十歳、三女京子七歳、四女素子四歳、今も生きていればそれぞれ二十八歳、二十四歳、二十一歳、十八歳。
【泉笙子】人気歌手。ロシア民謡ふうの歌を歌う。国務大臣の杉村芳樹の愛妾というウワサ。満州より引き揚げる前の経歴が謎に包まれている。愛車はビュイック。高級アパート、神宮荘に住んでいる。千駄ヶ谷五丁目に彼女の表札が出ている洋館がある。
【荊木歓喜】酔いどれ医者。ヤミ医者かもしれない。新宿が拠点。大兵肥満、モジャモジャ頭、右の頬に三日月形の刀傷。関佑天の子分たちも一目置いているふうだ。ほとんど診療費を請求しないがたまにお金が手に入ると焼酎に変わる。山田風太郎がつくった名探偵のようだが名探偵にしては情にほだされて警察に突き出さないこともありそうな珍しいタイプ。けっこうあたふたしながら事件を追いかける。
【インディラ花子】ストリッパー。名前通り象のようなお尻。
【おかめ笹】待合(今で言うとラブホかな)。
【怪面亭馬笑】落語家。左目が義眼。なんとなくタダモノではない感じ。本人によるとある女性に操をたてているらしい。そのわりに関佑天の妻お葉を寝取ったとも。《平生ひたすらに研究しているのは、どうしたら世間の奴らにたまらないほどイヤがられるかといいうことで――》p.65。《まッたく飛ばッちりですよ。あたしァ、ただ何となくこの空間に存在していただけなんで、ただ漫然と・・・・・・》p.83
【神津恭介/かみづ・きょうすけ】天才と呼ばれる名探偵。このお話が始まったとき渡米中でしかも向こう��病に倒れ療養中とのこと。ホンマかどうかは不明。
【眼球】丹羽素子と謎の男がいた経堂の謎の洋館の庭に落ちていた。杉浦芳樹が孔雀亭で眼球のようなものを持っていたところを目撃されている。
【孔雀亭】品の良いフランス料理店。マダムは阿久津康子。やってきた杉村芳樹が手のひらのうえで眼球のようなものを転がしていたところを目撃された。
【黒衣の女】杉村が行方不明になる前にいっしょにいたらしい女。泉笙子か丹羽素子か? それともさらに他の女か。
【呉真成】ある邸を手に入れた中国人。関佑天の知り合いらしい。
【酒匂伶子】阿久津斉次郎の秘書。
【椎野加次郎】神宮荘の守衛。
【神宮荘】二十一号室に泉笙子が住まうアパート。アパートと言っても現在の高級マンションくらいのステータスの立派な建物。
【新宿】荊木歓喜《こ、ここにいる女ドモは、智慧もなければ道徳もしらん。ただ生きんがために生命をけずっとる。》p.86
【新宿小劇場】ストリップ小屋。
【杉村芳樹】国務大臣。時の潮を泳ぐことがうまく粘り強く堅実で裏工作が得意。莫大な政治資金のルートが不明。「陰険にして、徳なく、節義なし」と言われる。元は天城伯爵の片腕とも言われていた。
【関組】関佑天ひきいる組織。
【関佑天】組長の関祐天は新宿の大親分。本名は関松吉。
【相馬敏秋】もと軍人らしい。台湾義勇軍についての情報を持ちおびえつつ東洋新聞社に来た。
【チンプン館】荊木歓喜がいるアパート。新宿御苑裏にある。住人はチンプンカン野郎ばかりだから。
【土居】東洋新聞社社会部部長。
【日本人】荊木歓喜《しかし、日本人というやつの人相は、つくづくと二流民族面じゃのう。》p.137
【丹羽素子/にわ・もとこ】→素子
【合歓ホテル】関佑天が経営する宿。
【星野】刑事。捜査主任。
【堀正二】杉村の秘書官。
【正さん】関佑天の影武者。よく似ている。
【松下】刑事。捜査一課長。通称「鬼松」。巨漢。
【真鍋雄吉】主人公ということになるか。東洋新聞社の社会部記者。モジャモジャ頭。喫茶店「ライラック」で働いている丹羽素子と恋愛関係。《おれは新聞記者だ。》p.19。《おれは君に対してだけは、記者よりもただ、恋人でいよう。》p.21
【三谷純】歌手。
【無常荘】熱海にある阿久津斉次郎の別荘。
【素子】丹羽素子。喫茶店「ライラック」で働いている。真鍋雄吉の恋人。謎めいた美人。どうやら事件に関係があるらしい。
【四谷】警察署長。
【淀橋】警察署長。
【ローズ真利】ストリッパー。関佑天の妾というウワサ。泉笙子ないしは素子に似ている。満州のハルピンにいたことがあるらしい。《欲情にぬれひかるような唇には火の匂いがある。》p.73。《雪白の裸身を万衆にさらして舞踏するこのおどろくべき美女の姿は、むしろ神々しいばかりにみえるではないか。》p.152