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写真に焼きつけられた被写体によって過去の思い出がフラッシュバックして甦るかのように、1人のカメラマンの人生を50代から青春時代まで遡るように5篇の短編で描かれている。
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主人公は50才のキャリアを積んだカメラマン。彼の歩んできた道を、逆に遡って読ませる構成がおもしろい。
読んでいると、私達は幾つになっても青臭い悩みを抱え続けるのだなあと思わせられる。40才になっても、50才になっても。妥協を繰り返しながらも、自分の人生に理想を捨て切れない、そんな主人公の気持ちが痛かったです。
各年代に登場する奥さんの存在感も光ってる!
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2007年9月17日読了。中年に差し掛かったカメラマンが過去を振り返る短編が5つ。リアルタイムではなく、理想から遠くなった今の姿から昔の自分を見る視点がほろ苦い。いくつになっても人は夢を追えるものだ、というメッセージが読者に向けられているようにも思えまいか。この作者も、ほんとうに小説がうまい。ただ、ほかの人の感想にもあるように「卒業写真」が最終話では、なんだかしまりがない気がする。
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【走った。ひたすらに走りつづけた。いつしか写真家としてのキャリアと名声を手にしていた。情熱あふれた時代が過ぎ去った今、喜多川は記憶のフィルムをゆっくり巻き戻す。愛しあった女性カメラマンを失った40代。先輩たちと腕を競っていた30代。病床の少女の撮影で成長を遂げた20代。そして、学生時代と決別したあの日。
夢を追いかけた季節が、胸を焦がす思いとともに、甦る】この本は第5章の50代のエピソードから大学時代の20代を描く第1章へと逆に続いていきます。すごく感動するお話ではないけれども、所々じ〜んとしたり泣けたりしました。個人的には「卒業写真」が好きです。
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オススメして貰った1冊。
部活動でモノクロ現像をした当時を思い出したり、カメラを趣味とする自分としては面白かった。
小説は、同じ主人公の短編で、どんどん年が若くなるので、最初は違和感を覚える。
それに前半〜中盤の主人公にはカメラの事は良しとしても、浮気男でムカムカしてしまう…。
浮気物はこれが初めてではないのに、何でムカムカするか考えて傾向が分かった。
大前提としてどんな理由があろうと浮気は有り得ないと思ってるが、創作なら有りだと思えるのは、
・浮気されても仕方が無い状況である(パートナーがよほどのクズだとか、離婚を受け入れないとか)
・夫婦共に浮気してる
・それ以外の場合、浮気した人が相応の罰を受ける
今回のように、相手が浮気に気付きながらも我慢していて、更にそれに甘えて好き勝手している、相手を傷つけながら若気の至りだとか、遊びだからと都合の良い言い訳してるのが大嫌い。
それでも要所要所ウルッとくるような描写は有り、女性カメラマンの話は心苦しいものだった。
腕があっても「美人カメラマン」の肩書を背負わされるとか。
あとは何で体を許してきたのか、理解しきれずモヤモヤした…
写真の、男の世界で渦巻く嫉妬が描かれていたのは新鮮で、嫉妬というのは男女差なく、根強い争いの火種になるんだろうなぁと思えた。