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紙の本

ティム・バートンの映画をまとめて観ながら、本を読む

2011/05/14 10:38

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:本を読むひと - この投稿者のレビュー一覧を見る

 現在活動中の映画監督(に限らず、あらゆる表現者その他)についての刊行物は、当然なことに、本の製作時点までの活動をしか収められない。2000年刊行の本書も、また1996年刊の『バートン オン バートン』も、それ以降のティム・バートン映画についての言及はない。またいろいろ調べてみて気づいたことだが、以降の作品だけでなく初期のアニメなど、その後発見されたり、なんらかのかたちで公表されたりしている「以前の」作品への言及が欠けている。そうした作品が次々に出ることがこの映画作家の重要性を証明しているのだが、さらに映像作品だけでなく、初期から描き続けている絵やスケッチなどの情報も知りたい。たとえば本書にはあまり載っていない絵が『バートン オン バートン』には(説明ぬきだが)載っている。つたないが可愛らしい初期の絵や映画の撮影前に描くキャラクターデザインなどである。
 
 本を読みつつ最初の長編である『ピーウィーの大冒険』から製作順に観続けているのだが、それぞれ面白く、笑いながらも感心しっぱなしだ。なかでも『エド・ウッド』に強くひっかかるものがある。
 本書所載「ティム・バートン映画事典」中の項目「エド・ウッド」に、「史上最低の映画監督」といわれる彼についての簡単な説明があるが、『バートン オン バートン』には、インタビュアーで編者であるマーク・ソールズベリーの、もう少し詳しい解説がある。
 それによればエド・ウッドは死後数年を経て、その作品『プラン9・フロム・アウタースペース』がオール・タイムのワースト映画に票決され、生前には得られなかった人気が出る。
 つまらないもの見たさというのだろうか、日本でもビデオが発売され、また伝記も訳された。私自身エド・ウッドの映画を観たり、伝記を読んだりするほどには入れあげることができないのだが、ティム・バートンの彼への関心には関心がある。表現欲とは何かを考えさせるからである。
 書くことを含めてだが、表現欲といったものと才能・能力との、ある程度のバランス、比例性は、個々人の心性やこの世のしくみを、より平静にたもつ働きをするだろう。表現欲というか自信・自負が、その能力を度外れに上回っているエド・ウッドのような存在は、(それが映画という共同作業が必要でお金もかかる表現であれば、なおさら)彼自身だけでなく周囲をかきまわし、無益な騒動を起こす。
 エド・ウッドには、多くの人を感心させる映画をつくる能力はなかった。だがティム・バートンの映画から推測するかぎり、彼には映画の製作費を出資させる能力はあったようであり、それもまた才能なのだ。だが彼の映画を観ようとする人が極端に少なければ、いくら口がうまくても、やがて誰もお金を出さなくなり、映画製作は不可能になる。
 だが音楽とか文学とか、より個人的で映画のようには費用がかからないものなら、ずっと続けられる。もっとも全く費用がかからないわけではない。たとえば自費出版だが、私は若いときに、そうした本を出した。100部印刷しただけであり、一ヶ月の給料くらいの出費だったが、今から思うとエド・ウッド的なところが少しあったと感じている。

 ティム・バートンほどの実力なら、誰もが現在のハリウッド映画監督のなかで最も重要な10人のうちのひとりに挙げるだろう。その表現の精度においても、また興行的な力においても、そうだろう。けれど他の重要な監督、つまりスピルバーグもスコセッシも、また本書のシリーズ(キネ旬ムック フィルムメーカーズ)に入っているアメリカの監督でいえば、イーストウッドもリンチもコーエン兄弟も、リドリー・スコット(この人はイギリス人)もタランティーノもキャメロンも、誰もティム・バートンのように、エド・ウッドのごとき映画監督に関心を示し、その伝記映画をつくろうとなどしないように思われる。
 エド・ウッド問題は表現欲と才能との関係だけでなく、仕事(それへの好悪)、収入(その程度)、単独か家族がいるかなど個々人の生全体の問題に派生するが、ティム・バートンには、多分そうした社会学的関心というか一般常識的な関心がない。だがそれこそ彼がエド・ウッドに対する率直な関心を示した理由かもしれない。なんとなくそう思う。
 『エド・ウッド』に続く『マーズ・アタック!』も圧倒的に素晴らしく、本書鼎談中の編者(柳下毅一郎)による《構築力がすごくある作家》というのが頷ける。ふざけているが、見事というしかないふざけ方なのだ。この映画が世界の観客の一般的評価(IMDb)では低いのに(ティム・バートン監督作のみのレイティング順では『猿の惑星』のために、かろうじて最低評価をまぬがれている)、日本では年間のキネマ旬報ベストテンに入っている。これは、日本の、ある種のテレビCFの高度な、というかどこかふざけた面白さが意外に海外では分からないことと関係あるだろうか。
 次の映画が最も楽しみな映画監督のひとりであり(『ダーク・シャドーズ』にはジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーターのほかに、ミシェル・ファイファー、エヴァ・グリーン、それに『キック・アス』が素晴らしいクロエ・モレッツが出演する豪華さだ)、本書のリニューアルが難しければ、いつか新たな、より充実したティム・バートン本が生まれることを待ち望む。


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2010/09/24 14:15

投稿元:ブクログ

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2013/03/30 22:44

投稿元:ブクログ

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