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紙の本
「世界はまだまだ捨てたもんじゃない」と伝えるために、この小説は書かれた。
2001/06/09 23:47
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投稿者:LIN - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランシス・コッポラ監督による映画化作品をご存知の方もあるだろう。原作が書かれたのは1967年。日本での映画公開と、翻訳出版は84年だったから、この本を見た時「今頃また何故?」と不思議に思った。
アメリカのイーストサイドに住むグリーサーと呼ばれる少年グループと、ソッシュと呼ばれるウエストサイドの金持ちの少年たちの対立が物語の軸になっている。お互いに共通するものは何ひとつなく、出会えば常に争いになる。
グリーサーの少年ポニーボーイは、ソッシュの少女チェリーとの出会いで、どちらの世界にもそれぞれの悩みや苦しみ、あるいは美しい夕日に見とれる心、そんな共通する思いがあることを知る。家族のこと、仲間のこと、世間のこと。彼らを取り巻くあらゆる思い、あらゆる状況がポニーボーイによって語られていく。
ふたつのグループの対立は、最終的に3人の少年たちの死を招いてしまう。誰も彼もが打ちのめされ、当事者であるポニーボーイもまた、その衝撃からなかなか立ち直ることはできない。しかし、少年たちが自分以外の誰かや、何かに思いを巡らせるようになったとき、物語は静かに再生し始める。
驚くのは物語に凝縮された、ひとりひとりの少年たちの深く熱い思いだ。たとえ同じグループであっても、背負っているものは皆違う。求めるものも、大切なものも違っていながら、仲間たちは強くつながっている。それは現代の携帯電話やメールを使って、四六時中友人であることを確認していなければ気が済まない友情とは、別のものだ。
過激な少年犯罪が、他人事ではなくなった。この物語はやはり今、再び読まれるべきなのだと思う。30年以上前に書かれたこの小説が古びないのは、少年たちの悩みや苦しみが今も昔も変わらないからなのだろう。「世界はまだまだ捨てたもんじゃない」というポニーボーイの思いが、少年だけでなく、少年を取り巻く大人にも伝わって欲しいと思う。
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