紙の本
こんなに夢中になって読める作品が出てくるから、本を読むのはやめられない。読み初めから数ページで、止まらなくなってしまった。
2002/04/30 23:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くろねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主役は2人。
祥子とユウ君。
2人の一人称で語られる物語が交互に綴られる。
でも、何かおかしい。
同じことについて話しているようでいて、食い違っている。
ミステリ読みとしては、ここに叙述トリックがありそうなことは見当がつくのに、
それが、「どんな」ものであるかは、なかなか予想がつかない。
途中で、「あ」、と思いついたことはあるものの、それが、全体にどういう意味を
持っているのかがきっちりとは見えてこない。
ある程度の予想を・推理を読者に許しながら、それゆえに、さらに謎が深まってしまう。
こういう展開は、思わず歓声をあげるほど嬉しい。
そう、こんなふうに騙されるのを待っているのだから。
幸せなはずの結婚式当日、誘拐され、ひどい屈辱を味わわされた祥子。
しかも、大事なユウ君まで…。
犯人を見つけ出し、復讐を果たすために捜査を開始する祥子。
これが、1つの物語。
もう1つ。
目の前から消えた祥子を求めて必死で彼女を探そうとするユウ君。
なぜ、この2つの展開にこんなに差があるのか?
お互いの目から見る相手のキャラクターや、周囲の人物の反応に差がありすぎる。
そして、猟奇的なAV「13番目の生け贄」。
これをなぞったかのように起きる事件。
製作しているムーン企画の青年社長。
誰が嘘を言い、誰が本当のことを言っているのか?
読みながら推理して、それが当ってるかなと思うと、やっぱり違っている。
作者の思う通りに思考させられている快感。
だから、本を読むのはやめられない。
紙の本
二本の平行線は、地平線で結ばれる。
2000/10/31 18:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:竹井庭水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第16回メフィスト賞受賞作。帯には「体脂肪0パーセントの新本格」の文字。果たしてその実力とは?
遂に結婚式当日を迎えたサチコとユウ君は幸せいっぱい。しかし、サチコは二人組の男に連れ去られ陵辱を受け、その後病院でユウ君の死を告げられる。一方式場からサチコが消えたことをしったユウ君は、行方を追ううちに「十三番目の生け贄」というAVにまつわる殺人事件に遭遇。すれ違い続ける二人。何故こんなことが?
サチコとユウ君の章が交互に展開するのだけれど、これがまぁ徹底的にすれ違うんです。同じ場所、同じ人、同じ行動が登場しても全く食い違う二種類の章。作中にもあるように、結婚式を境にパラレルワールドに分かれたかのよう。これに密室殺人、謎の尾行者、兄の失踪までくっ付いて、もう訳わからず。もうメフィスト賞だしー勝手にしてーと思っていると、なんとこれが最後に全部繋がる!
ちょっとサービス過剰気味で最後まで読んでもピンとこない印象も。しかしその分頭がついてこれないくらい騙してくれます。密室トリックも爆笑だけどオッケー。とにかく読者を欺くために謎と伏線だけで編まれた物語。なるほど体脂肪0パーセント。別々だった二つが引き合わされて一つの形を成す、まさにウェディングでございます。
投稿元:
レビューを見る
メフィスト賞受賞作品。内容としてはこれまた気持ちのいいものではないのですが、話の運びとラストが上手いので後味悪くないです。
投稿元:
レビューを見る
第16回メフィスト賞受賞作。ある意味メフィスト賞らしからぬ秀逸な本格ミステリーで面白かったですよ。フェアな所も好感が持てますが、それがトリックをより解りやすくしている所が少し減点かな。
投稿元:
レビューを見る
純愛か裏切りか。結婚式当日の凌辱から、わたしとユウ君の物語は
始まった。そして「十三番目の生け贄」という凄絶なAV作品に関わる
猟奇殺人。ユウ君と再会したとき、不可解なジグソーパズルは完成した!
全編に謎と伏線を鏤めた新本格ミステリの快作、驚嘆の魔術師・黒田
研二の手で、メフィスト賞に誕生!第16回メフィスト賞受賞作
投稿元:
レビューを見る
純愛か裏切りか。結婚式当日の凌辱から、わたしとユウ君の物語は始まった。そして「十三番目の生け贄」という凄絶なAV作品に関わる猟奇殺人。ユウ君と再会したとき、不可解なジグソーパズルは完成した!全編に謎と伏線を鏤めた新本格ミステリの快作、驚嘆の魔術師・黒田研二の手で、メフィスト賞に誕生!第16回メフィスト賞受賞作。
投稿元:
レビューを見る
結婚式当日、何者かに襲われた祥子。婚約者のユウ君と手分けをしながら、祥子は真犯人を目指した。鍵となったのは、あるビデオに関わる猟奇殺人と、母が遺したウェディング・ドレス。そしてユウ君と再会したとき、不可解なジグソーパズルは完成する―――――この著者の初作品であるため読むのは大変でした。文章が変と云う訳じゃなくて。何だろう、内容は重いのに文が軽いというか、トリックのために事件を創ったというか、そこらへんを読んでる途中で感じたのかなあ?トリックもイマイチでした(人によってはビックリします)。
投稿元:
レビューを見る
なんやこれー!!最初から最後までゴチャゴチャしてるから、しっかり読んでいかないと途中から置いてけぼりくらっちゃう!!まるでパラレルワールドみたいに話が進行していくんですけど、どっちかが嘘というわけじゃなく、どっちも真実だからこそ大変!!!さっきまで祥子とユウ君は一緒の時空にいたはずなのに、突然別々の時空に分かれてしまったような構成が魅力的!!いったいどーなってんのー!?って思いながら、とりあえず目につく伏線だけでもしっかり記憶に刻みながら読みました。ゼンゼンわかんないっていうわけじゃなく、読んでいくうちに読者に少しずつわからせようとしているっていうのがまたスゴイ!非常に綿密に組み立てられています。でも・・・塔のトリックは納得できない!!えーそういうのってアリなんですかー!???「キャラ立ちなし、蘊蓄なし、洒落た会話も気の利いたジョークもなし。すべてが謎とトリックに奉仕する、体脂肪率0%の新本格」っていう推薦文のとおりの作品!
投稿元:
レビューを見る
再読。トリックの細かい部分は、案外忘れていたかも。でもあの最大トリックだけはさすがに忘れようがなかったなあ(笑)。だってあのシーン、想像するたびに笑いがこみ上げてきちゃって……「そんなのあるかいっ!」と突っ込みたいところではあるのだけれど、あの発想力はすごい! 並みの発想しかできない私は、そういうとんでもない発想力に憧れるんだよねえ。
投稿元:
レビューを見る
再読。大体十年ぶりくらいに読み返した。まあ内容を覚えているわけもなく! 発行が2000年なので、出て一年後くらいに読んだんだな、これ。
タイトル通り、結婚式、花嫁、ウェディングドレスを据えた話。悲惨な話だった気がする、程度の記憶しかなかったですが、たぶんちょっとグロエグだったのをそう覚えてたんだと思います。
式をあげるその日に浚われ乱暴された女性と、式をあげるその日に花嫁が行方不明になった男性、二人の視点で話が進みます。以下空白ネタばれ反転処理。
その女性視点と男性視点と、加えて「AVの内容」の混ざり具合が上手すぎて、無駄に混乱することもない。初っ端から祥子が相手を「ユウ君としか呼んでいない」ため、「ユウ君が二人いる」ってのはなんとなく分かる。話の途中辺りで、「二人の時間軸がずれている」のでは、と疑問を抱き、終盤でああなるほどやっぱりね、と綺麗に纏まってるので安心して読めました。ちりばめてあった伏線が綺麗に回収できてるような、そんな感じ。ラストもハッピーエンドだったし。妙な戦闘になることもなく、変な能力を持った人物が出てくることもなく、本格ミステリってわけじゃないんだけど、良い意味ですごく普通のミステリってのがこんなに安心して読めるものだったんだってことを思い出しました。
個人的には「パラレルワールド」に関する話題を出したことも伏線の一種だった、ってのがすごい好き。
11.01.06
投稿元:
レビューを見る
ユウ君にプロポーズされた幸せな晩。それはユウ君と祥子の奇妙なドラマの序章だった。結婚式の日を境にすれ違い続ける二人。それぞれがそれぞれの立場で事件を追いかける。二人が再会したとき、不可解なパズルが完成する。
大森望氏の推薦文が凄い。「キャラ立ちなし、蘊蓄なし、洒落た会話も気の利いたジョークもなし。すべてが謎とトリックに奉仕する、体脂肪0パーセントの新本格。」だそうな(笑)
私は本格とか新本格とか難しいことはわからないが、面白いぞ。確かに、ストーリィの素晴らしさが全てというところはある。文章がいいわけでも、キャラに思い入れができるわけでもない。読んでいると気分はパズル。展開の奇妙さに、気がつくと謎解きに首をひねっている。キャラのドラマを読みたい人には不向きだが、別にそんなミステリィばかりでなくてもいいだろう。読んで面白いのが一番。 (2002-03-22)
投稿元:
レビューを見る
ミステリ的な驚きはさほどないかと。ウエディングドレスのエピソード、それなりに「良い話」なのにそこはかとなく浮いている気がするのが惜しい。
投稿元:
レビューを見る
これ、すすめられないじゃん!!
女性向けではありません。
タイトルに騙されて自死なさらぬよう。
推理ものとしてはあまり目新しくはなく
その事件の凄惨さで、「押す」タイプ。
なので苦手な人はこれは読めない、読みきれない人が
出てくるかと。
犯人は…意外なところに、ですが
かなりぐろいです。
終始グロいがつきまとうことでしょう。
疲れる本ですな。
投稿元:
レビューを見る
第16回メフィスト賞、受賞作。通称「クロケン」のデビュー作。
『私』パート:母親の四十九日の法要の帰り道、ふらふらと歩く祥子は「ユウ君」に出会った。不器用で引っ込み思案で口下手――自分に自信が持てない祥子だったが、彼に出会って3ヶ月経ったある日プロポーズをされてそれを受けた。幸せになるはずだった。しかし式当日、忘れ物を取りに戻ったユウ君をウェディング・ドレス姿で待つ祥子の元に、彼の事故を知らせる電話が入る。急いで病院へ向かう途中で2人の男に連れ去られ、陵辱を受ける祥子。ようやく帰り着いた彼女に、無常にも婚約者の死が告げられた・・・・。
『僕』パート:「嬉しいよ、ユウ君」そう言って祥子はプロポーズを受けてくれたというのに、彼はまだ彼女に愛されている自信が持てなかった。その日の夜に掛かってきた「誰か」からの電話、月曜と金曜には決して電話に出ない祥子のスケジュール。そんなことがあるはずが無い。疑念は打ち消したはずだった。
しかし式当日、遅れてついた教会には待っているはずの祥子の姿はなく、いたのは同じように「婚約者」を名乗る男が2人。そして祭壇の上には引き裂かれたウェディング・ドレスが…!
すれ違い、出会えない2人。それぞれの日々に存在する、矛盾した事実。AVビデオ「13番目の生け贄」のかつての撮影現場で起きた、異常な殺人事件。それらすべてが解ける瞬間は、「ユウ君」と「祥子」、2人があの場所でようやく再会を果たせる、その時から始まるのだ。
ネタバレしてないか、びくびくしながらレビューを書くのは久しぶりな気がします(笑)。それほどまでに、トリックが散りばめられた作品です。帯文『体脂肪率0パーセント』のあおりは伊達じゃぁありませんよ。これがデビュー作とは思えません。ばら撒いたトリックをほとんど無駄にせず、ラストに繋げてあります。(せっかく仕掛けても、まったく意味をなさなかったりする作品も時々見かけますからねー…) ただ、仕掛けが多い分、勘のいい人は序盤でなんとなーく気づいてしまうかもしれませんね。なんとなーく、であって「それが何を意味するか」までは気付くことはないと思うので、問題はないのでしょうが。
万が一「分かっちゃったよ、ちぇっ」って場合は…細かい仕掛け・繋がりを逐一チェックしたらどうでしょう? その位コアな読み方をしてもいいくらい、面白い作品ですよ。
個人的に言うならば陵辱=レイプの扱いがなんだか軽く捉えられすぎている点に不満が…。「女」な私としては少々不快感を感じるのです。論理性重視の弊害なのでしょうか…
投稿元:
レビューを見る
メフィスト賞受賞作となれば、目を通さない訳に行かない。
結構早い段階で、交互に繰り返される男女のエピソードに齟齬があることには気づいたけど、真犯人は意外だった。
文章はわかり易く、読みやすい。
タイトルとは対照的に、女性受けはよくないかもしれないけど、ラストはいい。
この作家は、他に読みたいリストに入れてる作品もあるし、折に触れて少しずつ開拓していきたい。