紙の本
取っ組み合いばかりしていた妹と私にとっては、優しくいたわり合う姉妹は夢のまた夢。理想の少女世界の追体験。
2001/05/15 16:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
有店舗書店では最近あまり見かけないけれど、30年近いロングセラーで、「姉妹」として育っている人・育ってしまった人には、深い味わいのある絵本です。
フェミニズムの闘士たちに見せれば、甘く優しい女の子世界の強調はけしからんだろうし、息子の同級生の女の子たちも「ガオレンジャー」が好きで遊戯王カードを集めているなど、性差による好みや性格の違いは徐々に隔たりがなくなってきているようで、Old Good Yearsのお話かなあとも思えたりしますが、表紙のピンクでほわほわしたイメージそのままに、失われた姉妹の世界を追体験するのもいいのではないかと思います。
姉さんは妹思いでいつも何でもしてくれます。
「さあ」「ほら」「こうなさい」「だめよ」などど声かけながら、何かと世話をやいてくれ、様々なことを教えてくれます。
それが心地よかった妹ですが、あるとき、いろいろ言われるのにあきてしまいます。
こっそりと家を抜けだし、庭を抜けだし、道を歩いて原っぱへ行きます。野菊のしげみにすっぽりと隠れていると、まもなく姉さんの呼ぶ声が聞こえてきました。
声は近づいては遠くへ…。
妹は、ひとりの世界を楽しみます。そして、姉さんの日ごろの様子を思い浮かべるのです。
再び姉さんの呼ぶ声が戻ってきます。姉さんは、手を伸ばせばすぐに届きそうなところに…。すると、姉さんが突然、しくしく泣き出したのです。
これは姉妹のお話ですが、もちろん「保護する人」と「保護される人」に置き換えることができます。いつまでも保護されていることは心地いいのですが、人間は自由意思を持つ存在なわけで、自我の目覚めが、保護をうっとおしいものと感じさせる日が、やがて訪れるのです。
そして、いったんは保護をうっとおしいものとして遠ざけたあとで、遠くから眺める「自分を慈しんで守ってくれるもの」の大切さに気づかされるというわけです。
このようにテーマを抽象化していけば、姉妹という関係だけでなく、すべての家族関係、男女関係、先生と生徒の関係などに普遍化していけることと思います。
テーマが秀逸な絵本ですが、グラフィックも見事です。スミ色とピンクと黄緑による3色印刷ですが、その配色が実に絶妙になされており、柔らかでしなやかなお話の印象を盛り上げています。絵はたぶんペンではなく鉛筆の線。
お話を作ったゾロトウは現代アメリカを代表する絵本作家のひとり。画家のアレキサンダーは、もっと作品を見てみたいものですが、日本で現在見れるのは、この絵本の絵だけのようです。
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色鮮やかな絵本ではありませんが、絵と文章の配置が抜群によく落ち着いた雰囲気の絵本。
かわいいワンピースを着た小さな姉妹の物語。
表記によると、読んであげる
なら4才からで、じぶんで読むなら小学校中級むきだそうです。
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妹の世話をするねえさんと、自由奔放ないもうと。どこの世界の姉妹も、こうなんだなぁ(笑)いもうとになぐさめられるシーンが、実際に妹と持つ姉としてはかなりむず痒くて苦手でした。ある意味、トラウマ絵本(好きですけどね!)
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私が子供だったころ(もう30年くらい前ですが)、うちにあった本です。
今年、妹が誕生日にプレゼントしてくれて再会したのですが、幼いころに読んだときとは違う感慨がありました。
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世のすべての「お姉さん」にぜひ読んでいただきたい絵本です。
特に、すぐ下に妹がいる方。
もちろん、もう大きな「お姉さん」も。
まだ、小さな「お姉さん」にはぜひ読み聞かせを。
お姉ちゃんだって、ほんとうは妹みたいに泣きたかった。
もう大きな「お姉さん」は、幼い頃のせつない思いをもういちど思い出して、自分をほめてあげましょう。
まだ小さな「お姉さん」のまわりにいる人々は、その小さなお姉さんの頑張りを認めてあげましょう。
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私にはお姉ちゃんがひとりいます。
一番最初にできた大切なともだちでもあるお姉ちゃんがだいすきです。
この絵本を見ていると、ちいさかったわたしたちの色んな思い出が浮かんできます。
シャーロット・ゾロトウは<こども時代をのぞく窓を持った詩的な書き手>と評されている絵本作家。
だいすきなお姉ちゃんに会いたくなる絵本
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美しい絵!訳は矢川澄子さん。
長じるにつれ、こうやって下の子が上の子を支えるようになって…
人は、支え支えられて生きていくのです。
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やわらかいタッチの挿絵から、姉妹のほのぼのとしたふれあいが伝わってきます。
日常において、兄であり、姉、弟、妹である子供たちが、
それぞれの立場で共感できるお話です。
家庭だけでなく、学校という集団生活の中での友達との係わり合いを通し、お互い支えあうことを学んでいく…そんな心の成長過程にある子供たちにお薦めの絵本です。
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お姉ちゃんというものは、
なかなかつらいのであるよ。
姉妹って、よその国でもこういうものなんだなあ…と思ったような思わなかったような(笑)
それから、『レモネード』に憧れたり、する。
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復刊されたのは本当に嬉しいよ。
絶版となってからは、血眼になってオークション(笑)
地味だけど味わい深い絵本を後世にちゃんと残したいな。
最近は派手さや、おしゃれ感優先な絵本が溢れていて
本当にガッカリすることがあるのだけれど
ゾロトウの絵本は全部、大事にしていきたいと思えるお話ばかりなのです。
ねえさんといもうとは大好きな1冊。
私は姉目線で読むけれど、妹の気持ちも少し理解できたかな(笑)
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しっかりもののねえさんはいつもいもうとの面倒を見てくれている。いもうとももちろんねえさんのことが好きなのだが、ある日一人になりたくなる。
一人でいることの気持ちよさや、ねえさんの反応や、いろいろなところに共感したり感じ入ったりする絵本だった。「姉(妹)はこういうふうにするんだよ」と教える本ではなくて、いま自分の気持ちに自然に寄り添ってくれる(あるいは、気づかせてくれる)作品ではないかと思う。
絵があまりにも繊細で自分は姉妹がいるわけでもないし、手に取りづらかった。タイトルも古めかしいし…と思ったら矢川澄子訳で、中は力んでいない流れが気持ちいい文章だった。
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アメリカの、どこか郊外の、映画に出てきそうなそうだな、(メイン州とか、バーモントとか。。)素敵なお家と、お庭がとっても印象的。
お家の中の装飾品や壁紙もすてきだし、扉の絵もとってもいい。
絵に見入ってしまう。
おねえさんぶって、いもうとのせわをやく女の子の気持ちも、めいれいばかりしてくるねえさんにうんざりな女の子の気持ちも、どちらも手にとるようにわかる。でもけっきょく、いもうとって、こんなふうに賢いんですよね、それをずる賢く描かず、とても品良く描いているのがゾロトウの優しさかしら。。
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何でももしてくれるねえさん。でも、そんなねえさんから離れて、ひとり家を抜け出したいもうと。
静かにあたたかな姉妹愛。
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絶版になったこちらの本、酒井駒子さんによって復刊されました。
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①
作 #シャーロットゾロトウ
絵 #マーサアレキサンダー
訳 #やがわすみこ
福音館書店
②
作 シャーロットゾロトウ
絵、訳 #酒井駒子
あすなろ書房/日本オリジナル版
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とても妹思いの優しいお姉さん、でも妹が幼いなりに意識の目覚めがあり、ほんのちょっとストライキを起こしてしまいます。
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ご自身に姉妹、お子さんに姉妹のいる方はよく気持ちがわかるのではないでしょうか?姉妹の成長の過程が手に取るようわかります。
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オリジナルは黄緑とピンクの基調で、1ページ目には姉妹の肖像画が描かれていています。丁寧に絵を追っていくと日常が本当によくわかります。
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酒井さんの絵は彼女らしい優しいタッチと柔らかな色彩が心を和ませてくれます。
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どちらも、手放せない素敵な絵本ですよ〜。
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手に取る機会があって、図書館で借りた。
あるところに、ねえさんといもうとが いました。
ねえさんは、ほんとに いもうとおもいです。
いもうとが なくと、ねえさんが なきやませてくれます。
でも、あるひ、いもうとは ひとりになりたくなりました。
そして、うちをぬけだして……。
なんてあったかい絵本なんでしょう。
繊細な線と、やわらかいピンクとグリーンの色彩の絵に、なんだか泣いてしまいそうになります。
私には弟がいますが、この絵本の感覚は姉妹だからこそのような気がします。
女の子同士で、つんとしたり優しかったり。
妹にとってのはじめての優しさ。
地味な見た目ですが、とってもすてきな絵本です。
姉妹にも兄弟にも、きょうだいにも手にとってほしいです。(一人っ子にはどうかな?)
奥付の作者紹介によれば、シャーロット・ゾロトウは、〈子ども時代をのぞく窓をもった詩的な書き手〉と評されるそうです。
リリアン・ホーバンと同じ雰囲気で好きです。
また何かよんでみようと思います。
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2020/12/11 追記
きょうだいのいない子にもよんでほしいと思い直しました。
きょうだいってどんなかな?というのが、感じられると思います。