投稿元:
レビューを見る
以下、この本の最も好きなシーン抜粋。
未読の方は読みませんよう。
+++++
『猟師がうちにきたら、かあちゃんどうしよう?』
『深い洞穴のなかにはいって、三人で小さくなっていれば見つからないよ。』
『でも、雪がふると餌がなくなるでしょう。餌をひろいに出たとき、猟師の犬に見つかったらどうしよう。』
『そしたら、いっしょうけんめい走ってにげましょう。』
『でも、とうちゃんやかあちゃんは速いでいいけど、ぼくは子どもの狐だもん、おくれてしまうもん』
『とうちゃんとかあちゃんが、両方から手をひっぱってあげるよ。』
『そんなことをしているうちに、犬がすぐうしろにきたら?』
おかあさんは、ちょっとだまっていました。
それから、ゆっくりいいました。
もう、
しんからまじめな声でした。
『そしたら、かあちゃんは、びっこをひいてゆっくりいきましょう。』
+++++
新美さんの作品は心あたたまる素敵なものも沢山ありますが
ここまでストレートに表現したものを読んだのは初めてでちょっとじんとしました。
でもきっと本当の意味で作品に共感出来るのは、
実際に子どもを持つかたや、守る立場にあるかたがたでしょう。