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ルワンダの中央銀行に1960年代に赴任した服部氏の奮闘記。感銘を受けた。この時代に、軸がぶれずに大変なバランス感覚を持ち、国際社会の中でも必要なときにNOと言えるような著者はもっと知られるべきなのでは?彼の書いた他の著書も是非読んでみたい。きっとその後のルワンダの国内紛争には心を痛めていたのだろうなぁと思われる。
20220808 再販されたものの増補のみ読破
最初に読んだ時に気になったルワンダの国内紛争後に寄せた文が追加されていた。やはり公正な方なんだなというのがよくわかる追記分であった。
P.314
ツチ族虐殺を命じた者およびそれを実行した者は、許すべきでなく、逮捕し、裁判し、処罰しなければならない。しかし「愛国戦線」が主張するのは、これら犯人を「愛国戦線」に引き渡し、「愛国戦線」で裁判し、処刑するとのことで、これは第二次世界大戦後の勝者が敗者を裁く戦争犯罪者裁判の方式である。
裁判というからには、公正でなければならないが、勝者が敗者を裁くこと自体公正ではない。また、第二次再戦後の戦争犯罪裁判で見られたように、公正な証拠調べが行われる可能性はきわめて低く、裁判開始前から有罪と決められている結論に法的な衣を着せる儀式となりやすい。
P.322
今回の事件でもわかるように、世界はいまだ力が支配していることを痛感すべきで、ただ「平和、平和」と一国で喚いても、一人で祈っても平和は来ない現実を直視すべきで、弱者の悲哀は、ルワンダの惨状がまざまざと見せつける。また、国連憲章にもかかわらず、大国は気が向けば適当な大義名分を掲げて、武力で他国を攻撃することや、自分が気に入った他国の党派に直接に、または第三国をつうじて、武器を提供することが公然と行われているのが現実なのである。
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(1994.05.26読了)(1991.11.17購入)
(「BOOK」データベースより)amazon
一九六五年、経済的に繁栄する日本からアフリカ中央の一小国ルワンダの中央銀行総裁として着任した著者を待つものは、財政と国際収支の恒常的赤字であった―。本書は物理的条件の不利に屈せず、様々の驚きや発見の連続のなかで、あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の記録である。
☆関連図書(既読)
「南ア共和国の内幕」伊藤正孝著、中公新書、1971.02.25
「アフリカ33景」伊藤正孝著、朝日文庫、1985.02.20
「南ア・アパルトヘイト共和国」吉田ルイ子著、大月書店、1989.02.20
「アパルトヘイトの子どもたち」吉田ルイ子著、ポプラ社、1990.04.
「現代アフリカ入門」勝俣誠著、岩波新書、1991.11.20
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日本の高度成長期、IMFの要請を受け日銀マンがルワンダ中央銀行総裁に就任。国家財政と国際収支の立て直しに向け次々と制度改革をやってのける。請われて延長された6年間の任期後、送別の言葉の中で贈られた「ルワンダとルワンダ国民を知るためにルワンダ国民に聞いてくれた」という賛辞が、偏見にとらわれず公正公平合理的なその仕事ぶりと成果を表している。良本。
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すごい人だなあと思ったが、なお驚いたのは、大虐殺の前にルアンダの国を立て直そうとして成果を上げた日本人がいたということだった。国が荒れてさぞ無念だったろうと思っていたら、映画で見たような単純な民族抗争ではなかったようで、そこらへんのことも私見として書かれていて興味深かった。
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元日銀マンと言う事だけあって書いてある内容も専門的で難しかったけどかなり貴重な経験が記述されていて一読の価値有り。
それにしても今の日銀には服部氏のような人材はいるのだろうか。
見た感じいなさそう。目先の利益と保身に興味のあるヤツらばっかりだろ。
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すごく面白い。経済用語や仕組みはあまり説明がないので、読んでいて知識がないのが歯がゆかった。明晰に理解出来たらもっともっと面白い読書になったんだろう。映画にしても画が地味で面白さは半減するかな。だからこれは読書でこそ楽しめる。