紙の本
洋の東西、笑いは如何に
2021/08/31 23:54
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本人の笑いと、
欧米人の笑いとの違いが
気になって手にとった一冊です。
ふんだんに盛り込まれた事例を
読んでいるだけでもかなり楽しめます。
さすがは「ふらんす小咄大全」の著者の
手掛けた本だと納得した次第。
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1969年という時代を鑑みれば情報不備もしかたない、フランス文学大家の「お笑い解説本」。エスプリがフランス語に依存したジョークであることを知り抜いた戦前からの大センセだけに「一応説明はしておくけど、伝わんねーだろーなーしるぶぷれ・鯖びあん・こまんたれぶー」が文の端々に垣間見えます。
刊行から約四半世紀。
ユーモアのほうはだいぶ日本人でも通じるようになりましたけれど、エスプリのほうは「すました皮肉」ていどにしかいまだ認知されていない、ヨーロッパ式お笑いセンスは相変わらずイマイチな日本です。
書き言葉のお笑いに興味のあるかたなら、ジョークに関するまじめ(?)なエッセイの古典として。
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笑いの要素として、フランスを代表するエスプリ、イギリスを代表するユーモア、その両者を取り上げ比較し解き明かそう、という本なのかもしれないが、その割には構成が変則的で、解き明かすというより感覚的に理解してくださいな、という雰囲気が強い。まあそれは「分析しても限界があるのが笑いだよ」って話に落ち着きそうだし、それでいいのだと思うけど。
やっぱり即効性がある、一目で面白いのはエスプリで、その人物の評価にも直接的に影響しやすそう。一方ユーモアは技術というよりはその人の世界への態度の取り方と密接に関わったものだから、受け取る側もなんとなくその人の雰囲気としてしか感じられないものかのかな、なんて思った。肯定も否定も包み込んで止揚する態度のような。それが愛なんだよ、なんて言い出しそうな。
個人的に面白かったのは、エスプリの章に出てきたある人物の話(今名前度忘れした上に本が手元に無い)。「人間は働くようにはできていない。働けば疲れるのがその証拠である」なんて、今でも十二分に通用する言葉で、似たような言葉は2ch開けばたくさん飛び交っていますよね。彼らは優れたエスプリスト(っていっていいのかしら。フランス語わからないのです)だったのですね。ユモリストではなくて。
ってな感じでユーモアとエスプリ混同している場合も多いので、正しい使い分けができるようにちょっと勉強してみるのもいいのかも。まあ、薀蓄程度に。そうやって気軽に読むのにはとても楽しい一冊でした。
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タイトルにあるような言葉を言葉で理解しようとしても、結局最後まで正しいニュアンスが解っていないような心細い感じが残ってしまう。
ただ、本来の意味が、普段日本で使っているような意味ではないことは解る。
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「ユーモアというのはむつかしい」
『ユーモアのレッスン』に引き続き手に取った本書のあとがきには、ほとんど同じ嘆き節の感想が綴られていた。
確かに“ユーモアの定義”と題した一章は、古来それを見究めてやろうと挑むも、猛者達の議論百出その正体を見ずと言った有様で、かえってその姿があやふやになる。
けれど、本書の異彩はエスプリと比べる事にある。
一章を割いたアンドレ・モロアの講演で彼が、さる婦人から教わったユーモアとエスプリの違いを紹介する。
「私が〈私はでくの坊です〉といえば、それがユーモアです。もし私が〈あなたはでくの坊です〉といったら、それがエスプリなんです」
これを序章にエスプリとユーモアの差異と類似が語られ、人間にとって笑いとは何か、また文化歴史がどう作用するのかに及び、われわれがエスプリとユーモアを身につける意義が説得力を持って結論づけられる。
これを通して読者はそのノウハウを得られるとまではいかないかもしれない。
しかしその本質には、かなり近くまで迫れる。
そしてそれを何としても身につけていく事が人生を豊かにしていくものである事は理解できると思う。