投稿元:
レビューを見る
古代から江戸時代初期までの日本の歴史がまとまっている。
教科書的な叙述ではなく、歴史学者としての学術論文的な
記述になっているためか、全てがスラスラと入ってくるわけではないが、
ともすれば美学的な面ばかりが強調されがちな日本史の負の側面を
きちんと正面から捉えた記述に新鮮さを覚える。(例えば、聖徳太子について)
現代、未来の歴史を論じる上でも必要になるであろう視点、観点が
豊富に含まれており、大変ためになった。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
先進諸国から貪欲に学びつつ、原始から現代まで、社会と文明を断絶することなく発展させてきた日本の歴史は、世界史の中の一異彩である。
この歴史の変革の原動力はどこにあるのか。
他民族の歴史との共通性また特殊性はどんな点か。
独自の歴史観に貫かれた、定評ある日本通史。
上巻では縄文期から鎖国と封建制の成立までを扱う。
[ 目次 ]
原始の日本―人類的共通性と日本的独自性
大王国家と部民―奴隷制と国家形成の特徴
大化の改新―氏族的擬制から「法式備定の国」へ
古代天皇制―唐の模倣と現御神
荘園と農民―律令体制の崩壊と武士の成立
貴族政治とその文化―国家主義から貴族主義へ
武家の「天下草創」―六波羅政権と鎌倉幕府
初期封建社会の特徴―農奴制の進展、民族的文化の形成
鎌倉幕府の滅亡―在地武士と農民の進出、モンゴルの来襲
古代遺制の清算―「惣」の発展と室町幕府の矛盾
下剋上と戦国騒乱―土一揆・国一揆と戦国大名
自由都市の萌芽―産業・商業・貿易の発展と都市
国民的活力と文化―文化の民衆化、西洋文明との交渉
秩序と権威の再編成―信長と秀吉の全国統一
士・農・工・商・えた・非人―周密な封建支配の網
鎖国と封建制―国民的活力の密封
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
(1971.07.17読了)(1971.06.20購入)
*解説目録より*
日本列島の中で、くりひろげられてきたわが民族の歴史―それは、われわれの過去であると同時に現在であり、また未来ともつながっている。特に、維新以後の急速な発展は、世界史上の一つの「謎」であったが、そのような今日の日本国をつくり上げてきた原動力はどこにあるのか。この設問をもって本書は書かれた。戦後歴史学の成果に立脚しつつ独自の歴史観によって貫かれた好個の概説書。
☆井上清さんの本(既読)
「条約改正」井上清著、岩波新書、1955.05.20