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紙の本

メイスンとデラが結婚しない理由

2002/07/09 23:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:APRICOT - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書はペリー・メイスン物の傑作との評判が高いが、それほどとは思わなかった。むしろ、ミステリーの本筋とは直接関係ない、意外な展開と結末の方が印象に残った。

冒頭でメイスンが船旅に行こうとデラに提案するのも意外なら、デラがうれしさのあまり仕事そっちのけで旅行準備に浮かれているのも意外、そして2人がついに旅行に行けたのも大いに意外だった。カナリア事件が紛糾して、またはメイスンが別の事件に心を奪われて、結局行けないものと思っていたからだ。ちなみに次回作の「掏替えられた顔」は、旅行中の船上で事件に巻き込まれる話である。

また、メイスンがデラにプロポーズし、デラが断ったのにも驚いた。2人が最後まで結婚しない事は知っていたので、メイスンはプロポーズすらしないのだろうと思っていたのだ。
しかし、デラの気持ちはよくわかる。メイスンは家では眠るだけの仕事人間だから、妻よりも秘書の方が、触れ合える時間はずっと多いだろう。それに秘書の方が、成功も失敗も危険も分かち合う、人生のパートナーと言うべき存在になれる。「あなたに必要なのは奥さんではなく、あなたのお芝居を助けるために留置所入りすら厭わない秘書なのよ」というデラのセリフには、ごもっとも! とひざを叩いてしまった。
補足すると、「結婚してもあなたの秘書を続けられるかしら?」というデラの問いを、メイスンがきっぱり否定したため、デラのプロポーズ拒絶となった。現代の感覚だとそっけなさ過ぎるような気がするが、本書は1937年、第2次世界大戦前の古い話。弁護士のような社会的地位の高い男が、奥さんを秘書として働かせるなんてとんでもない、という強固な社会通念があったのだろう。

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2010/12/05 02:19

投稿元:ブクログ

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2012/04/04 20:31

投稿元:ブクログ

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