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これは大好きな本です。
同じ歴史も見る人によってこんなに違うものかと思いました。
また、人がそれぞれに一生懸命生きた結果が歴史なんだなと思いました。
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歴史というのは小さな歯車がいくつも絡み合って、初めて動く生き物なんだ、ということが1冊を読むことでわかる。
もちろん小編だけでもいいんだけど、タイトルの「環」の字に現されているように通読すると歴史の1コマが色んなシーンに切り取れるというのが面白い。
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義経や頼朝視点の歴史物は腐るほどある。
しかし、他の脇役から見ると源氏の世界がまたちょっと違って見えてくる。
永井氏の推理(?)には、国史学者も恐れ入ったらしい。
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脇役4人の視点から見た、鎌倉幕府、頼朝や義経。こうゆう小さな歯車が噛み合い歴史は作られて来たんだ・・・。一気に読める一冊。
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それまでにない形で、鎌倉に成立した武士たちの政権。そのまわりに燃えさかる情熱と野望の葛藤を見事に描き出した連作小説。来季NHK大河ドラマ「草燃える」原作
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高校時代に一番読み耽った作家さんです。女性からの戦をメインにした話はどれも秀逸。どれをブクログに入れようか悩んで、炎環にしました。
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「炎環」永井路子著、文春文庫、1978.10.25
p311 ¥400 C0193 (2005.02.09読了)(2001.04.29購入)
「悪禅師」「黒雪賦」「いもうと」「覇樹」の4つの作品が収められている。いずれも源頼朝を取り巻く人々が主人公になっている。
●「悪禅師」
「悪禅師」の主人公は、頼朝の異母弟、今若(常磐の生んだ3兄弟、今若、乙若、牛若の一番上の兄)。頼朝の旗揚げを聞いて、預けられていた京の醍醐寺を抜けて、駆けつけた。
僧の名前は、全成(ぜんじょう)。当時28歳。頼朝は34歳。
司馬遼太郎の「義経」では、範頼と義経は出てきたが、全成については述べていなかったように思う。頼朝の傍には、他人の北条一族や大野広元、梶原景時がいて、身内は誰もいなかったと思っていたのだが、そうではなく、全成がいた。
頼朝は、北条政子の妹の保子を娶らせている。
全成は、頼朝の傍で、目立たぬように、支えたようだ。
全成にも野心がないわけではなく、頼朝の次男の乳母に保子を推挙し、養育し、時期を待った。ところが、長男頼家に対する謀反を企てたとして、殺害されてしまう。
頼朝亡き後の権力を目指したがならなかった。
●「黒雪賦」
「黒雪賦」の主人公は、梶原景時。義経にとっては天敵みたいな人で、悪役、憎まれ役と言ったイメージの人だ。
この小説では、頼朝の望んでいることを読み、頼朝に代わって実行すると言う形で、書かれている。
●「いもうと」
主人公は、北条政子の妹、保子。第一話の全成の妻でもあるので、永井さんは、余程、頼朝の弟夫婦が気に入ったようだ。(物語の題材として)
司馬遼太郎の「義経」では、義経にはたいした家来もいないと表現しているが、永井路子は、全成について「頼朝の前に現れて以来、有能な側近として目を掛けられてはいるものの、その実は全くの素手で修業地を抜け出した半還俗の青年層に過ぎない。この点、全成より一足遅れて奥州から駆けつけた九郎義経が、ともかく伊勢三郎や武蔵坊と言うような子飼いや、奥州藤原氏の息のかかった佐藤兄弟などを引き連れてきたのに比べても、より無力な存在でしかなかった。」と述べている。
木曾義仲の嫡男、義高と大姫の恋物語も取り上げられている。父義仲の人質として鎌倉に預けられるのだが、義仲は平家を破って、京に入ったのだが、後白河の頼朝に対する木曾追討の命令により義仲は頼朝の派遣した範頼・義経の軍により殺されてしまう。これに伴い、義高も殺されてしまう。仲良しの大姫の恋は破れ、7歳から10年うつろに過ごし死んでしまったと言う。
●「覇樹」
主人公は、北条四郎義時。頼朝の後、北条政権を築いたのはこの人と言うことになる。
☆関連図書(既読)
「義経(上)」司馬遼太郎著、文春文庫、1977.10.25
「義経(下)」司馬遼太郎著、文春文庫、1977.10.25
●永井路子の本(読了)
「銀の館」上・下、永井 路子著、文春文庫、1983.12.25
「山霧」上・下、永井 路子著、文春文庫、1995.11.10
「姫の戦国」永井 路子著、日本経済新聞・夕刊連載、1992.08.10-1993.11.13
著者 永井 路子
1925年 東京生まれ
東京女子大学国語専攻部卒業
1964年 「炎環」で第52回直木賞受賞
1982年 「氷輪」で女流文学賞受賞
1984年 第32回菊池寛賞受賞
1988年 「風と雲と」で吉川英治文学賞受賞
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文字通り頼朝をめぐる環の話。4話構成。のっけの政子しゃんの妹夫婦と大トリの政子しゃんの弟・四郎義時がとんでもねえ伏兵でござった。面白かった!
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保子こわいよ保子。牧の方みたいなのはよく見かけるけれど、保子さんの様なタイプはそれと気付けず接してしまいそうで、その女子力の高さに敬服致します。唆して手を汚さず、存在を悟らせない点では全成さんの生き方に一番憧れます。四郎さんは勝ち組ですが、荒事も手掛けていますからね、ただ最後の「上皇こそ御謀反遊ばされたのだ」は鳥肌だつほど格好良かったです。
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再読済み。4編の短編集のようでいて、全体でひとつのテーマをなすところは、孟夏の太陽のようであり、全ては、義時を述べるためのようでもある。再読してよかった。
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女性が描いた鎌倉幕府初期の大河小説。
最後のあとがきのように全ての登場人物は、自分が主人公だと思って行動するうちに歴史が出来上がっていく。その感じが非常によく描かれている。
でも、4つの短編全ての主人公が、あまりにも人間性に欠ける気がする。偉人とはこんなものなのかな?
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炎環 (文春文庫 な 2-3)
四作品の短編作品から作られていて各々の方面の視点から見ることが出来て、あっという間に読み終えてしまった。阿野全成・梶原景時・北条保子・北条四郎
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鎌倉幕府初期、頼朝から実朝までの時代を4つの短編で浮き彫りにする歴史小説集。
頼朝の異母弟:全成(常磐腹の今若)を主人公とした「悪禅師」。
梶原景時を主役とした「黒雪賦」。
頼朝の正室:政子とその妹:保子(全成の正室)を中心に将軍家の人間模様を描いた「いもうと」。
そして、北条家の視点で描かれた「覇樹」。
全部を読むとそれぞれがそれぞれの立場で鎌倉幕府を幹のあるものとするために行動していたことがわかる。
…んだけど。
要は頼朝くんがダメだったってことかな?
歴史に名を刻んだ王者が王者たることができたのは、そのまわりをそれなりの人が支えていたからだよね。
そして、王者や偉人と呼ばれる人がけして100%エライわけじゃないってこと。
歴史小説は作者の1つの解釈だけど、いろいろ読むとためになるなぁ!
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本書は,源頼朝~北条執権政治時代への変遷について,義経の兄の今若,得度して全成となった頼朝の異母弟の話,頼朝の懐刀であった梶原景時の話,北条政子の妹で全成の妻となった保子の話,執権北条氏の時代を到来させた政子の父時政の子四郎義時の話の短編4小説からなる。短編ではあるが,一つ一つの話が絡み合い,あたかも一つの長編小説のような構成でもある。
全成は母の常盤に一番似ているといわれるほどであり,全成は頼朝に対面した時,頼朝のどこにも父の面影が感じられないと思った。全成は父の義朝と八歳の時に別れたきりで,父の顔もうつろにしか覚えてなかったが,父の無骨で逞しい顔とはまったく違い,自分よりも公家匂のあるような,色白でおっとりした頼朝の顔に驚いた。疑り深く,自尊心の強い頼朝に影のように寄り添いつつ,何の欲望も野望も持っていないように振舞ってきた全成だった。頼朝の死後,頼朝の子頼家には,荒くれの坂東武者を統率していける器用さも力強さもなく,家中での争いが当然のように起こった。その時も全成はひとり静寂を守った。しかし,頼家はこの叔父の態度を狡猾と思い,何かの策略があると思い,罠にかけて殺してしまう。全成にはたして何かの思惑があったのかどうかはわからない。
梶原景時は,当初は頼朝の敵であったが,頼朝を見逃したことがあった。頼朝のありかを訪ねていた景時が,木の洞穴に潜んでいるのを,それと知りつつ見逃したのである。疑り深い頼朝が景時を重用しているのは,そんな経緯があるからだと言う者もある。景時は,頼朝から指示されることもなく,暗黙のうちに頼朝の心を見抜き,暗殺や誅殺を行った。景時は義経を讒言し,遂には死に追いやった張本人のように言われているが,それは表に出ている事実のみを手繰ればそうなるが,心の奥深くにあるもの,頼朝というより,武士の拠って立つことのできる柱である幕府を軌道にのせる事,それらも総合的に踏まえると,とかく悪者扱いされる景時も鎌倉幕府設立の犠牲者であり,義経よりも辛い目にあっていたのではないかとも考えさせられる。頼朝を支え続けてきた景時だが,頼朝の死後,頼家の一見豪快で果断に富むように見える軽率さに,御家人の不満はたかまり,遂に御家人たちは頼家から裁決権を取り上げてしまう。今後の訴訟は,北条,中原(大江)など十三人の御家人の合議制によることになった。これでは将軍の権威はまるつぶれである。景時はこれまで築き上げてきた将軍の権威が,たった1代で無残にも崩れ落ちてしまった事に嘆いた。そんな景時を御家人たちは煙たがり,頼家の権威を高めようとしているのに,そんな頼家からも嫌悪され,弾劾状を突きつけられる。それには一言も申し開きをせず,引きこもったが,それでは終わらず,謀反の嫌疑をかけられ,攻め殺されてしまった。申し開きをしなかった景時の生き方は,義経を死に追いやったことも,全て飲み込んで死んでいったように感じる。
義時にいたっても,そんな景時と同じように寡黙であったが,そこには景時のような”陰”の気がなく,”陽”の寡黙であり,それがやがて父の時政を凌ぐ器量を見せるようになり,弟の五郎と共に北条氏の地盤を確固たるものにしてゆく。後鳥���上皇による承久の乱が最大の難時だっただろうが,天皇に歯向かってまでも,武士の土地を守ってゆく幕府,物申す幕府の地盤を固めた人だといえる。通常,元の天皇に向かって,”乱”と使うのもおかしなことで,北条方が乱を起こしたととられるようなものであるが,勝てば官軍であり,北条の力を恐れ,上皇は北条をゆるし,上皇の命により北条を責めた者を逆に殺し,流罪とする。そんな上皇を遂には,義時は隠岐に流罪としたのである。この処置を鎌倉武士たちはどう見ただろうか。やはり,自分たちを守ってくれるのは北条だと思ったのではないだろうか。それが,武士の拠って立つ地盤,幕府をより強固にしていったのであろう。
なお,本書は直木賞受賞作である。
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父上の書籍を読破しようシリーズ1冊目。
普段読む本よりはるかに小難しい系だが、何とか読めた。
この炎環という本は、源家の人間の話だった。
短編集のような、長編のような。まず似たような名前が多いから主人公が誰なのやら覚える事から。
人が覚えられず、内容があまり頭に入らなかったが、権力争いの話だったような気がする。
そのころの武家はこんな風に争いばかりしていたのだろうか。
「いもうと」はおもしろかった。女って怖い。