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繊細な描写とストーリーが素晴らしい。本能について考えさせられた。もっと中上健次の作品を読みたいと思った。
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中上氏の初期作品はとにかく文体に困ってしまうのだが、収録作「黄金比の朝」のために★二つ。タイトルと内容が調律されていて、美しい。
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「岬」のみ読了。カバーの後ろにある概説を読んでみると「感動を呼んだ」と書いてあるんだけど、どうなんだろう。「感動」は確かにちょっとしたけど、そういうレッテルでいいのだろうか。唸るものはあった。
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ということで中上健次再チャレンジ計画。『枯木灘』を挫折した人間にとって、『黄金比の朝』は新鮮。秋幸シリーズじゃないとこんなふうになるのか。大江健三郎的な感じで少しは読めるのだが、『火宅』も『浄徳寺ツアー』に行くとあんまり面白くない。で、『岬』も今ひとつダメかもなあと思って読んでたら、途中からドライブしはじめてきた。ああ、中上ってのはこういう感じなのかあ。普通にかなり面白かった。でも大好きって感じではないな。この人は結構唐突に自分の世界へ連れ出す感じがするけど、それが小説としてのたくらみではなく、野蛮に力づくで連れてく感じが、あんまり好きじゃないのかも。うーんよく分からん。
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やはり表題作『岬』が面白いと思う。にしても、この短編集、『岬』に通じるまでの苦悩というか努力というか、粘り強さ、いや執念が垣間見えます。おめでとう芥川賞。
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中上健次さんの作品を初めて読みました。
中上健次の出自をからめた私小説的な小説で、濃く複雑な血縁に悩む青年の苦悩が描かれています。
本当に暗くて重いです。
なんの心の準備もなく読み始めてしまったのですが、文章も非常に読みづらく気が滅入りました。
第74回芥川賞受賞作です。
やはり私には純文学はむいていないと再認識しました。
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芥川賞を受賞した表題作である「岬」を含む4篇からなる作品集。
以前読んだ「枯木灘」は「岬」の続編であることを初めて知る。
出世作と代表作が一緒なのも珍しいのだけど、それはそれで少々安易な気もしないわけでもない。
勿論編集者から「この路線で!」という要望もあったとは思うのだけど、それにしてはあまりに安易のような気がする。
とは言え「枯木灘」の評価を損ねるものではないし、著者自身その路線を貫いて独自の世界観を作りあげた筆力は賞賛されるものだろう。
しかし「枯木灘」を読んだ人には特に「岬」を読む必要性はないように感じたのも事実。
この作品集を通して感じる鬼畜感は作者の出自が大いに関係しているのだろう。
「火宅」などはまさにその典型と言えるのではないか。
またそれと同時に感じる若さや青さみたいなものは読んでいて少々厳しい年齢に自分はなってしまったようだ。
フォークナーに影響を受けたと言われる文体(因みに自分はフォークナーをさっぱり理解できなかった人間である)はやや癖があり読み手を選ぶ部分もあるだろうが、芥川賞作家が面白かった時代は彼までと評価する声も多くあるようなので、一読に値する作家だと思う。
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この作品が、ではなくこの小説家が好きだ、というようなことをはじめて思った。
2002年4月21日読了
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秋幸サーガの幕開け。
日に蒸され熱に浮かされ、火事と人殺しが絶えない「路地」
男はひたすら穴を掘り、女は自らの体を売る。
そして、ただそこに在る自然。
そこに在る、という究極の生命賛美。
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内容
作者の生まれ故郷・和歌山を舞台に、
自らの体に流れる
「血」のしがらみに翻弄される
青年の思いを
独特の文体で描いた
芥川賞受賞作。
表題作の他、「火宅」「浄徳寺ツアー」など
初期の作品三篇を収録。
感想
かんたんに言えば、イナカ僻地における
“暴力とエロス”である。
といって生々しい描写のオンパレードではない。
被差別部落と、そこに生きる家族の物語、か!?
文体は独特で、真剣に読むとけっこう疲れる。
どちらかといえば、“感覚”で読むといいかも。
たとえば、なんとなくわかるとか、
キモチワルイとか、
キツイ、とか、ヤバイ、とか。
純文学であることは、間違いありませんが、
ワタクシはちょっと....
収録されている
「浄徳寺ツアー」は面白い、
気がした。
オモシロ度
たまには純文学も読んでみようぴかぴか(新しい)
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中上健次が好きな友人に借りた
実は、中上健次のことは以前から知っていていつかは読もうと思っていたけど、なんとなく敬遠してしまっていた
それで、今回は良い機会だということで読んでみた
短編集の形をとっている
第一回芥川賞受賞作品ということで、表題作の「岬」は面白かった
何より他の3つの作品よりも格段に読みやすい
何が誰にいつ起こっているのかがちゃんとわかる
中上健次が部落出身で、その部落を「路地」という架空の舞台として書いた小説が大半である
といったことを知っていたので、先入観からかもしれないけど、なんとなく暗いイメージ、いや暗いというよりはアンダーグラウンドというか、を持っていた
こう書くと差別発言ととられるのかもしれないけど、確かに部落差別というものがある時期があったわけで、そして、自分と自分の周囲はそうではないけど未だにそういう考え方をしている人も多分いるわけで、そして、作家が生きていた時代を考えてみると、そういう考え方をしている人は今よりは確実に多かったわけで、そう考えてみると、そういう社会において彼が書いた小説がアンダーグラウンドな雰囲気を持つというのはある意味で納得できるのかなと
思った
ちなみにこの岬に載せられている全ての作品が多分「路地」を舞台としたお話
土方や仕事に就いていないような人、犯罪を当然のようにしている人が多く出てくる
別にだから何なんだとも思う
妄想に過ぎないけど、部落という日本社会の底辺に位置していた共同体での生活は、きっと今の自分がしているようなある意味豊かな生活からすると想像を絶するものだったんだろうなと思った
とても読みにくい本で気合がいる本だったけど、同時にとても興味深かった
他の作品も読んでみたい
一度読んだだけじゃ受けた衝撃を言葉にするのが難しい、そういったタイプの本だと思う
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「こんな狭いところで、わらい、喜び、呻き、、ののしり、
蔑む」
「そのほんとうの理由は、山と川と海に囲まれ、日に蒸されたこの土地の地理そのものによる。すぐ熱狂するのだ」
土と血の物語。
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出来れば読み進めたくないのに、思わずページを捲ってしまう、それでまた気分が悪くなる。そんな繰り返しだった。自分自身の記憶の中の映像と重なってしまうところがあって、それもまた不快だった。こんなに短い枚数で、これほどの破壊力があるのは、ほんと、凄い。
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久しぶりに読む中上健次。実によい。
過去と現在を分かたずに行き来する自在な文体の効果で、
一人の男に絡みつく血の因縁が鮮やかに描き出される。
息苦しく、辛く、それでも人をいとおしもうとする作家の心が赤裸々に現れているみたいだ。
この選集には表題作の他に右傾化する少年の、左翼運動をしていた兄への反発を描いた『黄金比の朝』(大江健三郎の影響が強いかも)、
『岬』の原型になったと思われる『火宅』(文字通り炎の描写がすさまじい)、
浮気をしたくて寺巡りツアーを企画したバチアタリな話『浄徳寺ツアー』を併せて載せている。
どうせなら、『十九歳の地図』当たりも載せて、初期中上健次の鬱屈した世界観の全体像をもう少し広く見せて欲しかった。
『岬』自体はまっすぐに生きたいのに、メチャクチャに混線した家族構造の中でもだえ苦しむわかものの話。
数々の挿話を組み合わせるのではなく、絡み合わせるようにして主人公秋幸を追い詰めていく。
しかし、紀州という土地に住む人々のいちいちが愛おしく思える。
剛毅な母も、気丈な芳子姉も、カンの強い美恵姉も、酔っぱらいの玄叔父も、
それから自殺した腹違いの兄も、秋幸が憎み続けるかれの実父も。
中上健次はこの作品に連なる巨大なサーガを後年紡いでいく。
その原点となったキャラクターの豊かさと、海を裂いて屹立する紀州という男の因業(ファルス)の象徴のような土地を、この作品でガッチリ掴んだかのようだ。
中上健次を語る際はその出生や人物の特異性がクローズアップされるが、この小説がどこか苦しくも懐かしいのは、ふるさとに寄せる思いの強さが良く表れているからなのかも知れない。
最大の不満点は、文庫で読もうとすると、もはや文春文庫のこれしか手に取れないこと。
小学館版の選集シリーズはもう絶版らしい。
出版界はもっとこの作家をプッシュするべきだろ。
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何度か挫折しながら読み終えた。最後は驚くほど引き込まれていた。短い文章で、小さな地域に固められた血縁関係を描く「岬」が特にそうだった。父親が違う姉や今の義父との関係性に得も言われぬ違和感を感じ、自らの中に流れる血をうとましく思いつつも逃れらない主人公の葛藤が物悲しかった。