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短編小説がいくつか。そのどれもが切なくて、やるせなさがこみ上げてくる。もの悲しい物語の中に、人の情がやっぱりあたたかくって、じんじんしました。
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雪明かりというタイトルにふさわしい小品が集っている。
しんしんと降る冷たさのなかで
雪の美しさに心打たれるように
貧しさの中で生きる人たちが
特別なわけでもなくかなしくいとしく心ひかれる。
生きることはつらくとも美しいのだなと息がもれた。
星:★★★☆(3.4)
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古さを感じさせない、美しい文章。読後に激烈な感情はなくて、なんとなくほんわかしたり、切なくなったり、そういう柔らかい感情を招き寄せてくれる。
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短編集。どれもしんみりと沁み入る。
なかでも「穴熊」「冤罪」が良い。
そして特に胸に沁み入るのは、表題でもある「雪明り」。
これは映画「隠し剣鬼の爪」の原作。
(映画の原作はこれと「隠し剣鬼の爪」で共に短編)
由乃と菊四郎の二人にはしあわせになって欲しい。
読了後に、じんわりと余韻が残る。
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雪明かりが映画の原作のベースとなっているのが読んで
解った。背景は少し変わってはいたけど、大筋には映画の
一部に取り込んでいた。面白いねこの人の本は!
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1970年代に書かれた短篇を収録したもの。個々の作品はいいのだが、武士を主人公としたものと、町人の世界を描いたものとが混在しており、やや雑多な印象が残る。しいて、共通項を探すならば、人生の哀切さだろうか。もっとも、これは藤沢周平の作品全般に言えそうなこと1なのだが。なお、篇中では、やはり表題作の「雪明かり」が、読後感に優れている。
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娘たちを捨てた父親が最後に娘たちのための一太刀が感動を呼ぶ「入墨」。とあるところでの武家の妻女との出会いから救うための算段をする町人・浅次郎と武士・塚本伊織の物語「穴熊」は爽やかさと、割り切れなさがそこはかとない叙情を感じる。従姉との心の絆が微笑ましく、色っぽさを感じさせる「恐喝」など。「冤罪」は道すがら会う女性に魅かれ、その父親の冤罪を追う源次郎。「暁のひかり」は病気から立ち上がろうとする小娘に会う都度優しい心になるやくざの市蔵。「遠方より来る」は招かざる客が押し掛けてきた何とも言えない滑稽な状況が可笑しい。主人公の人の良さが見事に描かれている。 表題作は血の繋がらない義妹との心の通い合いと、新しい世界へ跳ぶ決断のときを見事に描き出している。どれも登場する人物、特に女性たちの描きが秀逸で、魅力的。そしてそこはかとなく哀しい無常感が美しい。
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頁を繰り初めて始めてしばらく、以前に読んだことがあるなと思い出したが本は閉じなかった。
やはり藤沢周平さんの作品は引き込まれる。
もちろん読書には読むたびに新しく得るところがあるということはよく聞くのですが、新しい発見でなく、以前も感じ取ったと同じ感動を得ることができるというのが藤沢周平作品の素晴らしさだと思いますね。
病に伏せる義理の妹を救い出し、彼女と後の人生を共にする決意をする表題作「雪明かり」、好きだなあ。