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源平絵巻物語 第10巻 衣川のやかた みんなのレビュー
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紙の本
赤羽末吉さんの美しく、鮮やかな絵と今西祐行さんの誠実で、優雅な語りを通して、義経の生涯をお子さんと辿ってみてはいかがでしょうか。完成度の高い現代絵巻物語全十巻を通して読まれることをお勧めします。
2005/01/26 19:38
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投稿者:まざあぐうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
源平絵巻物語の第十巻『衣川のやかた』は義経の最期をえがく物語です。一の谷、屋島、そして、壇の浦のたたかいの一連の戦で手柄をあげ、朝廷から位まで授けられた義経を兄の頼朝が快く思わず、義経追討の命令を下しました。義経ら一行は、いくつもの難を逃れながら危険な旅路を辿り、藤原秀衡の待つ奥州平泉へ向かいました。
第十巻は、秀衡が一族を従えて、義経を迎えるくだりから始まります。
「いざとなりますれば、あなたさまをおん大将にいただいて、鎌倉にうってでるくらいのかくごでござりますぞ」と冗談めかして沈みがちな義経を引き立てる秀衡…奥州には、砂金と馬と漆がたくさんとれました。と呼ばれていた秀衡は、それらのものを都の人々に売って、冨と力を蓄えていました。当時、奥州にまで頼朝の支配は及んでいなかったのです。
秀衡は、戦の上手な義経を喜んで迎えました。冗談めかして義経に言った言葉は秀衡の本心であったのかもしれません。義経のために、衣川のほとりに立派な館を建てました。館の向こうには一万本の桜が植えられたという束稲山があり、その手前を桜川と呼ばれる北上川が、ゆったりと流れていました。中尊寺の金色堂も見えます。義経が最期を迎える衣川の館が、すばらしく、美しいことがせめてもの救いです。
秀衡の急逝、その息子・泰衡の裏切りにより、衣川のやかたで切腹して最期を迎える義経。義経が持仏堂にこもって法華経を読み終えるまで、義経を守り抜いた弁慶の仁王立ちが勇ましい姿で描かれていて、悲しみをそそります。
義経も義仲も兄である頼朝に操られたと言っても過言ではないでしょう。秀衡の息子・泰衡も頼朝に利用されたに過ぎません。義仲の単純でわがままな振る舞いや泰衡のずる賢さとは異なり、義経は、武勇もさることながら、最期まで武士として立派に生き抜きました。
義経は悲劇のヒーローであるがゆえに愛されているのかもしれません。鎌倉幕府成立の陰には、多くの人々の援助と犠牲がありました。語り手の今西祐行さんと赤羽末吉さんは、義経の生涯を通して、歴史の暗部をも語り描いています。日本で初めての武家政権を鎌倉に確立した頼朝ですが、生涯を通して、武術や馬術が苦手でした。頼朝自身も歴史に翻弄された一人であったのではないでしょうか。
全十巻は、それぞれの巻が独立して構成されていますが、ぜひ、全十巻を通して読まれることをお勧めします。赤羽末吉さんの美しく、鮮やかな絵と今西祐行さんの誠実で、優雅な語りを通して、義経の生涯をお子さんと辿ってみてはいかがでしょうか。幼いお子さんから、大人まで味わうことのできる完成度の高い現代絵巻物語です。
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