紙の本
サイモンをめぐる謎
2005/07/31 23:41
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投稿者:APRICOT - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヘンリ・ティベット警部(のち警視)シリーズの1978年の第14作。
富豪のチャールトン卿は、赤ん坊の時に養子に出して以来、消息不明の甥のサイモンを、莫大な遺産の相続人に指名してこの世を去る。弁護士のアンブローズは、サイモンを探すため新聞広告を出すが、2人の男がサイモンだと名乗り出る。その後まもなく殺人事件が発生、ティベット警視の出番となる。
どちらが本物のサイモンか…という興味深い謎が、割に早い段階で決着するかに見え、一瞬ガッカリさせられる。だが、サイモンをめぐる謎は、一筋縄で行くものではなく、とてもおもしろかった。タイトルが「サイモンはどちらか?」ではなく、「サイモンは誰か?」なので、用心していたのだが…それでも、ものの見事にだまされた。さすがである。
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あらすじ
ヘンリ・ティベットシリーズ、第14作(1978年)
富豪のチャールトン卿は、消息不明の甥のサイモンを会社の経営権を含めた莫大な遺産の相続人に指名して、この世を去る
弁護士のアンブローズは、サイモンを探すため新聞広告を出すと2人の男がサイモンだと名乗り出る
調査していく過程で殺人事件が発生 事件の真相は?
そして、サイモンは一体誰なのか?
感想
サイモンの正体に関する設定が、今では目新しい物ではないが(でも身近にいたら驚くと思う)1978年と言う年代から考えると、相当斬新だと思う
非常に意外だった(そりゃねーよとも思ったが)
ストーリーのテンポもよくなかなか面白かったんだけど、ティベットの嫁がでしゃばりすぎと言うか、ぶっちゃけこの作品に出てくる女性が全員でしゃばりで辟易した
他の作品も読みたいなとか思ったりもしたけど、ティベットの嫁がまたでしゃばるのかと思うと一気に読みたくなくなった
大体、身内とはいえ殺人事件の詳細をいちいち嫁に全部話すとかプロとしておかしくね?
こう考えた時点で、私はこのシリーズはダメなんだと思う
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戦後ロンドンで化繊業界で財を成したチャールトン卿が死んだ。卿は独身で遺産は慈善団体にと言っていたのを一転、弟の子に遺すという。弟夫婦はロンドン空襲で亡くなり、甥サイモンはすぐアメリカ人夫婦の養子となっていた。卿の委任弁護士は甥をさがすべく広告を出すと、二人のサイモンが名乗り出た。どちらが本物なのか?
本物の甥を探す、という単純なストーリーに、遺伝形質、性同一性障害、実は養子だったという出生の秘密、をからませ自己の肯定を描いた。そこに「サイモンは誰か?」(Who is Simon Warwick?)という題がある。
文や場面のつながりがなめらかでないかな。でも映画向きかも。
パトリシア・モイース 1923-2000 アイルランド生まれ。P・ユスチノフの映画助手を務める。
1978発表
1980.1.15発行 図書館