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紙の本
時代短編のお手本集
2006/03/23 12:07
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松井高志 - この投稿者のレビュー一覧を見る
長谷川伸の40歳から63歳までの代表的短編小説を集めている。戯曲での股旅もののイメージが強いが、ここに収められた作品は武家社会を描いたものも含まれ、綿密に史料を吟味して書かれているため、森鴎外の歴史小説に似たテイストを持つものもある。
夜もすがら検校
天正殺人鬼
田舎小僧新助
入墨者の死
討たせてやらぬ敵討
敵討たれに
稲荷町中蔵
母を討つ敵討
戦国行状
三挺駕籠
笹喜三郎主従
鷹匠吉田平三郎
越路の手紙
涙痕二代
地獄の口
「夜もすがら検校」は、時々講談として読まれる作品である。「入墨者の死」は、もっとも股旅もの戯曲に近い味わい。個人的な話になるが、「地獄の口」は、以前同じ永代橋崩落事件を扱ったものを私自身が書いたことがあり、どういう史料を使用したかがほぼ分かるので、長谷川伸の作話技法を知るのにもっとも都合がよかった。
この事件(事故)は、一瞬で大量の犠牲者が出てしまう類のものなので、その日の模様だけを丁寧に書いても小説にはならず、むしろその後日談の方が話にしやすい。魅力的で史料も揃っているが、なかなか難しい素材である。「地獄の口」も、現代の目で見ると、サゲがあまりうまく効いていないようである。けれどもここは、これが書かれた昭和22年という時代の雰囲気を想像して読むべきであろう。
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