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ヴァチカン・システィーナ礼拝堂の最後の審判
フィレンツェのダヴィデ像
それらを目の当たりにしたとき、ミケランジェロとは、どれほど力強い男だったのだろうかと思った。
しかし、この本の中にいるのは、残された偉大な作品からは想像できないほど“弱い人間”だった。
決断力がなく、家族や金銭について思い悩み、いつも何かから逃げている男。
“天才”という呼び名の影には、誰しも持っている最も人間らしい部分が隠れていた。
ロランの力強い文章からは、自分と重ねあわせるかのような、ミケランジェロへの思いが伝わってくる。
ミケランジェロ自身の言葉や、詩も引用されている。
それらはどこか厭世的で、いつも死を意識しているようだった。
登場人物や都市の名前など、知識がなくては分かりづらい部分も多いけれど、この本を読んでからミケランジェロの壮絶な生涯と意外な人物像を知り、彼の作品を目の前にすると、より深く沁み込んでくると思う。
弱さも才能だ。
ミケランジェロも、弱かった。
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「ベートーベンの生涯」に続けて、ロマン・ロランの「ミケランジェロを読了。
どちらも苦境に負けず、物凄い作品群を残した大天才という共通点があるのですが、ベートーベンの偏屈ぶりは強烈だし、ミケランジェロは、より猜疑心、保身など人間臭さが滲むのは面白い。
ロランがこれらを書いたのは世界大戦の時期。暗さを増す欧州の状況に、我が身を奮い立たせようとしたのでしょうか。
通常の偉人伝とは一味異なる2冊でした。
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この人に、偉業を成し遂げた人の『人間味』を語らせたら右に出るものはいないな…。
その人らしさが現れてるようなエピソードなどの描きっぷりは、ツヴァイク流が炸裂。
収集オタクのツヴァイクの溢れるばかりの思いを、つらつらとハキハキと、メラメラと描かれている。
ツヴァイクご本人が朗読したら、めっちゃツバ出まくってる感じ
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「世界に真の勇気はただ一つしかない。世界をあるがままにみることである。そうしてそれを愛することである。」
このロマン・ロランの言葉に出逢えただけで
この古典を読む価値はあったのではないだろうか。
偉大さとは一体何なのか。
それは決して弱さがない人間のように見せかけることではない。
弱さをも含めたありのままを受容して、その弱さゆえに輝きを放つ魂。
ロマン・ロランの書くミケランジェロが伝わってくる人間的な弱さ。
偉大とされるミケランジェロのありのままを見た時に、偉大さとは、幸福とは。
考えさせられる。
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訳が秀逸なのかもしれないが、ロマン・ロランの表現には一々惹かれてしまった。イタリアを訪れる前に読んでおけば…。
ミケランジェロを天才と賞賛するだけではなく、その裏で抱えていた苦悩、悲壮、弱さに焦点を当てて本質に迫ってる。豪華絢爛に展示されているミケランジェロの作品にどこかそのような一面を見出すことができるかも知れない。
【心に残った一節】
「大げさな騙されやすい幻にすぐこころひかれる一般人に対して言わなければならない。勇ましい虚言は卑怯であると。世界に真のヒロイズムは一つしかない。世界をあるがままにみることである。そうしてそれを愛することである。」
最近これが一つの真理であるようにも感じている。
蛇足だが、ルネサンス期の内実は芸術家を奴隷のように扱うクソみたいな権力闘争が背景にあったことがよくわかる。
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芸術の最高峰といわれるダ・ビンチとミケランジェロ。ミケランジェロの作品は新婚旅行でバチカンに行った際に「天地創造」「ダビデ像」「最後の審判」など見ていた。実際に読んでみると想像を全く違う人生に驚いた。著者は人間の弱さを真実にあぶり出すことに焦点をおいて書いたということ。作品のつくる際の決心、覚悟がものすごい。一流なこうなのかと感激した。そしてミケランジェロの信仰心にもとても感動した。「神の助けがあるならば、イタリアにかつてなかったような立派な仕事をしてみせる」「立派な絵画は、神に近づき、神と一体になります。それは神の完全さの写しに過ぎません。」とても刺激を受ける内容であった。
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訳者も解説で指摘しているように、これはただのミケランジェロの伝記ではない。
ロマン・ロランによるミケランジェロの人生に対する批評である。そこに現れるのはミケランジェロをとおしたロランであり、ミケランジェロをとおしてロランが語りたかったものである。
割と高度な読解力というか、前提知識が必要なように思った。美術にも疎く、キリスト教には無知で、『ジャン・クリストフ』すら読んだことのない身には今ひとつ理解が及ばなかった。