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下巻は上巻に比べはるかに分厚く、解説も多い。上巻からずーっと読んできたせいか、少し読みやすくまた理解しやすい文章が多い。
最後の三篇をのぞく、すべての編では孟子が比較的若い頃の話であるため、政治的な話題が多い。やはり孔子の思想をついでいるので「仁」の強調と「仁者」が政治を行わなければならないというプラトンの「哲人思想」にも通ずる話を展開する。
そして後半の三篇では、孟子が隠居してからの話であるらしく政治的な話よりもどう生きるかなどの人生に関する短い言葉が収録されている。ここでは特に「性善説」に関する思想が強調されているように思う。
非常に余談だが、孔子・孟子を読んでいると、私の好きな「十二国記」シリーズが頭をちらつくことが何度もあった。「十二国記」シリーズはファンタジーでありながらも中華風の世界であるためにもちろん作者は中国の思想にある程度詳しいと思われる。孔子・孟子を読みながら「ああ、十二国記のあの設定はここから来たのかな?」と想像するのもまた楽しいかもしれない。
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人間誰れにでも惻隠の心(あわれみの心)が備わっている。例えば、よちよち歩きの幼な子が今にも井戸に落ち込みそうなのを見かければ、誰れしも思わず知らずハッとしてかけつけ、助けようとする。―これは孟子がその性善説の論拠を示した公孫丑篇の一条だが、『孟子』の魅力の一つはこうした身近かで生き生きした例証にある。
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下巻では性善説を巡って激論を交わし、
仁義礼智を弟子やその他の人々に説く。
赤子が井戸に落ちそうになった時、
どんな悪人でも助けようとするから、
人間の本来持っている性は善であり、
徳を修めれば誰もが聖人になれる事を
繰り返し繰り返し主張している。
訳も古いし、内容も堅くて長いので、
論語に比べると読み辛いけど、
こういう時代こそ是非とも読んで欲しい。
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例え上手でわかりやすい。生まれ持つ本性を育てることで誰でも仁者になれる(性善説)と、力強く説かれています。
論語よりも治世や孝、礼における具体的おこないがたくさん示されていることで、仁や義の本質がみえずらく感じるかもしれません。
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純粋に面白い。日本の価値観に即した、けれども現代の利益優先社会においては軽視されてきてしまってきた至極の言葉の数々。精読して自分のモノにしたい。
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再読。離婁篇、万章篇、告子篇、尽心篇を収める。離婁は「規矩」の話が多く、「自暴自棄」や「赤子之心」などの言葉がある。万章は孟子の高弟であり、「舜」をテーマにした対話が多い。告子はなんといっても「性」の論争で、性を可変とみなす告子に対して、孟子は性が善であることを論証しようとしている。尽心は政治論争から身をひいた後の孟子晩年の心境が吐露されている。武内義雄氏の解説及び、小林氏の「孟子小考」が興味深い論考である。
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人間の本性である善い心を想像力によって拡張することで聖人となれる。善い心とは、測陰の心、羞悪の心、恭敬の心、是非の心である。善い心に基づく仁義こそが大切で、状況や役割に応じて行動を変えるのが聖人である。つまり、常道だけでなくときに権道を使い、分をわきまえ、中庸をわきまえるのである。聖人は民衆に慕われ、天下をよくする天命を与えられる。
暴政をする天命なき君子や諸侯は天命をもつものと替わるべきである。これが名を革める、即ち革命である。
是非の心とそれをもとにした羞悪の心は、何を持って悪とするかというのは先天的なものでなく後天的な問題である。悪を自明とし、普遍的な測陰や恭敬から大きく飛躍した礼に基づき自ら悪を決める狭量な姿勢が現在孟子思想をもって国法とする国がない原因だろう。
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上巻に比べ下巻の分厚さに驚くが、詳細な校注と、一般の読者にもわかりやすいよう工夫された口語訳のため。今回は口語訳の部分を通して読んだが、とても面白かった。一読の価値あり。なので同訳注『列子』上下巻を購入。
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書き下しは癖があり、独自解釈も多いので、訓読の学習には難あり。
しかし、講談社学術文庫の『孟子』は注釈がついていない上、原文には返点が付いていて却って素読しづらいが、この岩波文庫本は真っさらな原文、注釈、書き下し、現代語訳の全てがついているので、形式的にはしっかりている。結局、講談社学術文庫と合わせて2冊を比べ読みする羽目になったが。
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④
開始:2023/1/23
終了:2023/1/27
感想
四書最後の一冊。身近な善意を徹底しさえすれば良いと言うものの…。惻隠の心をもっと広く推し進めるところからか。それでも博愛はダメらしい。