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F・コッポラの映画の原作として興味を持ち、オーソン・ウェルズも映画化を企画していたと知り手に取った。
人物・言葉・風景、どれも霧がかかったように曖昧としており、読後には何とも言えないもやもやが残る。
誰もが一目を置いた男クルツは未開の密林の奥に踏み込み、その闇にのまれた。
彼の考えも、彼の言葉も、私にはいまいち読み切れなかった。ふと霧が晴れたようにクルツの輪郭が感じられる場面もあった。もう一度読み直せば更に鮮明になるかもしれないと思う一方で、闇の中ではっきり見える事はない。何度読んでも変わらない。そうも感じた。
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難解だった・・・。そもそもおれの読解力が稚拙なんだけど、テーマが抽象的なうえ翻訳のむずかしさも手伝って、ぜんぜんわからんかったです。
再読しなくちゃいけないとおもうけれど、とりあえず、今回の読書では「孤独」の重さを感じた。
自然、自然であること(おのずからしかるべく)は、少なくとも現代社会をいきる人にとっては、とてつもなく「孤独なもの=不明なもの、闇」であって、その闇は未開の自然の象徴であるアフリカの奥地だけでなく、ひとのなかにもある。
ホルクハイマー=アドルノらがいう「理性による同一化作用」と親和性がある気がしたんだが、そうすると、人は孤独=闇をもとめているということでもあるのかね。
やっぱよく分からん。もう一回よむ!
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コンラッド自身の経験が元になった小説ということで、
当事者目線から19世紀の奴隷貿易やその舞台となったアフリカが描かれた小説というのは歴史的に見ても貴重な作品。
原文が出版されたのはなんと1899年!まじか!
そんな作品を21世紀に読めるなんて単純にすごい!
「闇」とはひとつに「未開の暗黒大陸」=アフリカを象徴しており、誰も知り得ない暗黒大陸の奥=アフリカの実態を描いていると思いました。
もう一つ「闇」とは、そんなアフリカに住んでいる人間がどんどん孤独や寂寥に蝕まれて人間性が失われている様子を描いているのかなと思ったり。
誰か解説してくれー
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ポーランド生まれのイギリス作家・ジョセフ・コンラッドによる実体験に基づいた著作。コンゴー河上流開拓会社の船乗りマーロウが語り手となって、闇黒アフリカの奥地にて象牙蒐集に明け暮れる天才クルツの救出の顛末を語る。
コンラッドの作風として特徴的なものは、大自然を写実的に描くのではなく常に暗示的であり、この「闇の奥」もまた未開の地としてのアフリカの奥地のことだけではなく、人間の持つ心の深淵のことも示唆していることは想像に難くありません。
白人による土人の搾取、文明とはかけ離れた黒人たちの原始の叫び…正常な人間でさえも闇黒の大陸では寂寥と孤独に蝕まれ、クルツのように人が持つ「人間性」も崩壊してしまう。臨終の彼が放った「地獄だ、地獄だ!」の台詞は、私にはその真意をとても理解できないであろうと感じさせると同時に戦慄と不気味な感覚を私に与えました。マーロウがクルツとの接見で感じたことについての描写は、やや晦渋でしたが、クルツを通して「闇の奥」のほんの一部分を垣間見ることができました。
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高校生のころ観たコッポラの『地獄の黙示録』は衝撃的だったが、下敷きになったこの小説をあらためて読んでみると、ただただ圧倒される大迫力の物語。わずか160ページ(第31印発行分)近い中編小説の中で、気が付けば私は、世界の端々から文明の心臓部に至るまでをマーロウと共に旅したのだ。本を閉じてしまうと、まのあたりにしたはずの印象的な断片の数々が、私とは関係のないどこか遠くの記憶に感じられるのが未だに信じられない。
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僕が人生で初めて熟読したと言える書物。かっこいい日本語の文章なので、翻訳者の中野好夫のことも好きになった。が、作者のコンラッドの文章が、僕は原文の英語でも読み、CDのオーディオブックも聞いたのだが、これがそもそもかっこいいのだ。
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憧れた地図上の空白は暗黒大陸だった。闇の奥のクルツ心の闇は計り知れないし、ほとんど彼とのやり取りは描かれていない。だけど、彼の生命の最期の雄弁な叫びは単純なのに衝撃的で、闇と沈黙の中に響きわたってくる。クルツを一番知っていると豪語する許婚が最期の言葉は自分の名前だと信じているのにも言葉にし難い皮肉、やるせなさを感じる。
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表題を知っていても読んでいなくて喉の小骨状態になってる小説が誰しもあると思うのですが、私にとってコンラッドの闇の奥はそういう作品のうちの一つでした。何が起こったといえばもう最初から異常事態なわけで、ジャングルの奥地へ近付くにつれどんどんきな臭くなる。私としてはここまで大仰にクルツたる人物に期待させといて、案外あっさりとしたもんだなぁという印象で少々物足りなさが残りました。
ただ、マーロウの中の瞬間的なイメージの強度に従った語りなのだろうなとは思う。
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植民地時代の様子を描いた名作。
著者については『あとがき』に詳しい。この『あとがき』の解説も読み応えがあった。
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【本の内容】
アフリカの奥地に象牙採集をする人々の上に起こった事件を作者自身の体験にもとづいて書いた作品。
『颱風』『青春』と共にコンラッドの中短篇の代表作であるが、作品の芸術的根強さにおいて他の二つを凌ぐ。
ここには作者の原始に対する驚異と文明に対する呪詛とが熱病のような激しさであらわされている。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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「The horror! The horror!」
この最も有名な台詞の一つが「闇の奥」という作品の全てを表している。
もちろん様々な観点からもこの作品を見ることはできる。でも私はそういった当時の植民地支配の背景だとかの知識によってこの作品を紐解いてみようという思いは微塵もおこらなかった。
なんというかこの作品は(あの大戦を予感するかのようにほの暗くそれでいて美的な彩光を放つ)あの世紀末独自のような表現が所々に散りばめられていている(比喩や情景描写などに)。そのような表現を楽しみたいという方々にも是非お勧めできる。
さて、ではこの作品における「the horror」とは如何なるものか。それが実は私自身、上手く言葉に表せないでいる。初っ端から偉そうにこの作品の全てを表しているなんて断言口調で述べてしまったがよく自分でも分からないのである。
このhorrorは怪奇的な安っぽい意味でのものでは無い。あとからじわりじわりと心身を侵食する類のものだ。 そんな恐ろしさがある。今でも思い返すだけでもこの名状しがたい感覚が襲ってくる。こんなこと本で味わえるなんて思ってもみなかった。
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なかなか難解だった。違う訳で読むとまた感想が変わりそう。語り手のマーロウもクルツも奥地へ行く前と後では人生観が変わってしまった。
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(01)
人類学的な,ゆえに探検的な地誌を装った宗教経済小説(*02)として読むことは可能だろうか.
大航海時代を終え,西欧によって大陸は海岸から発見されていった.本書の書かれた19世紀の終末期には,まだいくらか大陸の内陸は残されていたし,南極北極や高地が目指されると,ヴェルヌやウェルズらのSFもとらえた深海や宇宙が目指される.水平から垂直への探検の志向の転換期に省みられた「奥」が本書の問題である.なお,原題は"Heart of Darkness"であり,「心奥」あるいは「中心」とも訳すことができるのかもしれない.
象牙経済とカリスマ的な支配の中心にいる,あるいは語り手マーロウ(*03)の人類学的な罪悪感の心裡に潜む,クルツという存在はとても創造的である.クルツの意志や能力は,クルツの所有になく,奥地に居座るクルツを取り巻く環境の側にある.つまり,クルツを創造したのは蛮人,叢林,森林の総体であって,クルツ自身ではない,というところが肝になる.闇の側には,クルツに経済的で宗教的な存在としてぜひとも支配してもらいたいという人類学的な事情があった.
ゆえに,クルツは死んでのちに闇から運び出されたのではなく,闇から運び出されたために死んだのである.
(02)
「巡礼」という隠語がこのあたりの事情を端的に表している.
(03)
クルツに対してマーロウとは何者か.合理的な思考の下では,クルツの存在について語るクルツの紹介者,そして伝道師のようでもある.
が,「俺の知り合いが」で始まる騙りが,「俺」自身の経験であることが日常的でもあるように,マーロウは,クルツへの憧憬を語ると同時に,クルツ自身である己を告白している.このように読んだときに,タイムリープな時系列が現れる.
冒頭のテムズ河での船上の待機は,すべての経験を終えたのちのマーロウの状態であるという合理的な読みの裏側には,すべての始まりの前,マーロウのクルツを求める旅程どころか,クルツ自身の旅のはじまりを予感させていることも読み込める.海を川を辿り,ところどころの中継地を経由し,奥へ奥へと進むこの道行を何度となく何人もいった,すべての同類たちの経験と予感でもあった.
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解説の通り、クルツが荒廃していく話だということは理解できたが、全体的に分かりにくい。
終始一人称語りの上に文章が装飾だらけのため、何が起きているのか理解するのに時間がかかった。一部時系列的に前後する話をしていたりした箇所も。
そのため、一つ一つの文章を正確に追わないと理解できないため電車の中で読むには向かない作品だと思った。
まぁ、これが彼の持ち味なのかもしれないけれど
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映画「地獄の黙示録」の原作といわれる作品とのこと。コンゴの奥地への異様に薄暗い旅。真夏に汗だくでもう一回読んでみよう。