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紙の本

誰でもなく、どこでもない地平へ

2014/02/22 07:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

考えてみると奇妙な作家、理解し難い人間のようでもある。
幻想的な都市小説は面白いのだが、尋常で無い発想がどういう思考遍歴の中で生まれたのかが判然としない。
ただ都市という存在が、この作家にとっては、家族と住む高層マンションと、そこから見える風景として立ち昇って来たという経緯は見えないこともない。
その家族というのはまず、1年ほど記者として滞在したソウルで知り合って結婚した妻で、しかしその結婚に至る経緯も朝鮮戦争の混乱で傷を負った彼女が国外に脱出する手段に過ぎなかったような書かれ方をして、しかし夫の他に知る人も居ない日本という異郷もまた彼女を慰め安らがせる場所ではなく、二人の棲み家としたアパート、マンションは彼女を閉じ込める牢獄のようだった。
そのように語られることだけが真実でもないだろうが、日本、東京、コンクリートに固められた無機的な都市、そういったものが人を閉じ込める壁であることの発見は、強いイマジネーションを喚起したのかもしれない。あるいは土葬の習慣へのこだわりは、自然から離れていく文明への忌避感を強調するのか。その一方で、夫が赴任したベトナムに呼び寄せられてヤモリの駆け巡る部屋を訪れたりもして、彼女にとって世界は一方的に塞がれたままではない。灰色の風景にも関わらず、戦地も夜の街も切り裂いて駆け抜ける力強さへの希望を垣間見ているのだろうか。
そもそも、夫に理解されない妻の内面の吐露を、当の夫が小説化しているというわけの分からない設定でもあるわけで、そういう魔術性は既に現れている。
まだ暗い朝の初詣でに、霧の中を歩く親子三人のなんでもない道行き。そんな風景も、激情にかられた会話や行動に混じって、違和感なく溶け込んでいる。当たり前の日常と、静かに進行してゆく人類の生きる生態系の変化、その対比が異様な情感の発生源らしく感じられてくる。

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