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紙の本
アメリカ独立のうねり
2002/02/06 16:42
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投稿者:うつほ - この投稿者のレビュー一覧を見る
故郷で受けた乗艦命令を手にトロイヤン号に乗り込み、リチャードはアメリカ沿岸を警備する任についていた。トロイヤン号はこれまで乗り込んでいた艦とは違い士官・乗組員・海兵隊員合わせて650名あまりという、大型で足の遅い戦列艦である。母も妹も居なくなった、父だけの寂しい故郷に帰ったあの時から2年。変わりばえのしない日々を送っている間に、世の中ではアメリカ独立戦争が起こっていた。
ディックと先任(上官)たちの関係が、今までの大人と子供の精神的距離感から、よき先輩後輩となっている。デステアーやケアンズはディックのことをよき仲間、可愛い後輩としながらも、どこか一目置いている。ディックの内面の成長がうかがわれる巻である。また年少の士官や士官候補生たちに対しても、一段と頼れる先任振りを見せている。上の人たちの振る舞いを見て考え、それらを少しずつ自分ものにしていくたくましさ。ストックデールも彼の成長ぶりを見守るのが楽しみなのではなかろうか。そしてクイン。彼の失敗、決意、挫折、成長と目が離せない。この巻の陰の主役だろう。
シリーズでたくさん出版されている本書。邦訳シリーズでは2番目となっているが、もちろんこの本から読んでもかまわない。むしろ、のめりこみたいならここから読むのをおすすめする。一応時間的には『スペインの財宝船』の2年後である。
<登場人物>
リチャード・ボライソー 20才 トロイヤン号四等海尉。トロイヤン号に乗り組んで2年(この間に独立戦争)。前作から2年も経っているからか、海尉の落ち着きを身につけている。カードに強いらしい。
ギルバート・ブライス・ピアズ 42才 トロイヤン号艦長。歳より老けて見える。ずんぐり、いや、がっしりした体つきでトロイヤン号のように力強く、堂々とした風格がある。
ニール・ケアンズ 28才 副長。背が高く、やせぎすで非常に自律的な男。まずめったに笑顔を見せないが、それでいて実に魅力のある男。
スパーク 二等海尉。片頬に硬貨形の傷跡のある厳しい顔つきの男。
ジョージ・プロービン 三等海尉。気難しく理屈っぽく情味の無い男。
サイモン・ダリエル 五等海尉。
ジェームズ・クイン 18才 六等海尉。物語の始まるつい5か月前まで士官候補生だった。実家はロンドンで革の貿易をしている。
デステアー 海兵隊隊長。陸軍大尉。何かというと気安くディックに絡んでくる剛毅な年長の友人。
レイ 中尉。
イラズマス・バンス 航海長。デボン州出身。信心家。陰で「賢人」と呼ばれている。背丈は優に6フィートを超え、胸が厚く、長い灰色の蓬髪。目は深くくぼんで澄み、その上の濃い眉毛と同じくらいに黒い。
モールズワース 主計長。顔が青白く、神経質に目をぱちぱちさせる癖がある。
ロバート・ソーンダイク 軍医。年中にこにこしている。血や骨を扱う商売より役者のほうが似つかわしいとはピアズの評。
士官候補生たち カズンズ/フォーブズ/リビー/ウェストン/ハイギュー/ハス/ラン/バーズラム/プリン
<トロイヤン号>
9年前に造られた八十門戦列艦。二層甲板。全長215フィートの大型艦。士官・乗組員・海兵隊員合わせて650名、うち海尉6名、海兵隊将校2名、航海長、主計長、軍医、士官候補生9名。艦首像は赤い前立のある兜をかぶり、かっと行く手を睨む猛々しいトロイの戦士。
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