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図らずも妊娠してしまったヒロインは、いろんなことを淡々と受け止めているように見えるけれど、唯一ヒステリーを起こすシーンは圧巻。女の人は結構引き込まれるお話なんじゃないかなぁ。
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学生の頃の英文学史の授業でマーガレット・ドラブルの名が出ていたような気がする。それ以来、少しその名がひっかかっていた。「碾臼」は彼女の代表作と思われる。
主人公の自意識が非常に前面に出てきている小説だと思った。その分視野の狭さと感じられるようなところもあったが、基本文章はロジカルである。感情の流れもきっちり説明されている。著者はものすごく真面目な人なのではないだろうか。なんとなく冗談が通じなさそうな人だと勝手に思った。
イギリス文学がちょこちょこ引き合いに出されて、そこも著者の真面目さを感じた。この時代のアカデミックな女の人はこんな感じだったのだろうか。なんかすごく「古典」っぽい。小説というよりも随想といった印象を受ける時もある。
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なんでタイトルが碾臼なんだろう、と思ったら解説にマタイ伝に「罪」の意味で使われていることを想起させるが、一般的な「重荷」の意味だろうとあった。ほう。
人に嫌な思いをさせるくらいなら自分ががまんする、という育てられ方をした若い女性が思いがけない妊娠出産でかわっていく話。全編淡々としていて、主人公があっけなく妊娠したり、生まれた赤ん坊が手術を必要とするといったこと以外は事件らしい事件はない。この2つの事件もなんというか、そんなにセンセーショナルには描かれなくて、「さてさて」って感じなのが好ましい。
ラストで赤ん坊の父親と偶然薬局で再開して家まで連れてきて赤ん坊を見せるシーンがとってもいい。ここで「これは俺の子どもでは⁉︎」ってな展開になってたらかなりの興醒めだったと思う。とてもおもしろかった。