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紙の本
認識と関心から批判概念へ
2007/08/16 10:31
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sanctusjanuaris - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハーバーマスは20世紀後半の最も著名な哲学者。壮大で徹底的に抽象的な理論を構築するのみならず、政治批判、道徳の構造、科学の機能など重要なメッセージを発信し続けている。
『認識と関心』の内容は、端的に言って、いかなる純粋認識もありえず、認識には必ず利害関心、自然連関(肉体、欲求、感情など)と結びつかざるをえないことを、カント以降の哲学者たちの議論に沿って証明しようとする初期の著作である。
この理論上の目的を念頭に置かず突然この本を読むと、難解さが増すかもしれない。だが別の読み方もある。『認識と関心』は、カント、ヘーゲル、マルクス、コント、マッハ、パース、ディルタイ、フロイトが主に取り上げられるが、各哲学者ごとでほぼ一つの章となっていて、ハーバーマス理論の図式から詳細に批評される形で議論展開がなされる。したがって、これを近代哲学史の教科書として読むことも可能だろう。
ハーバーマスによれば実証主義は、客観的に観察される対象を上記自然連関や経済・利害関心から切り離して認識できるとみなす基本的態度を持つ。だが彼は指摘する。科学的認識であっても必ず何らかの利害関心と関わらざるをえない。この事実を実証主義は見過ごしていると。これは科学の不十分な自己理解・過信と捉えられるだろう。科学が経済・政治的利害と結びつきうることを直視しなければ、結果として無批判・無責任な科学的発明や言説が流れる危険性が出るのである。
結論として、上記実証主義的態度に立脚する科学に欠落しているのは批判である。科学の代表的機関は大学や研究所だが、これが今の社会情勢とどう結びついているのか、利害がどう絡んでくるのか、常に明確に認識し、時には自己・社会批判をせねばならない。単に経済効果があるものを開発するのではなく。戦争という科学の暴走を食い止めるためにも。
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