紙の本
ドストエフスキーの境界線無効化テクニック
2007/08/14 16:51
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sanctusjanuaris - この投稿者のレビュー一覧を見る
『二重人格』は、ゴリャートキンという下級役人の精神的破滅に至るまでの生活が描かれる。
岩波文庫の解説者も指摘しているが、ドストエフスキーの作品の特色は現実と非現実の交錯だ。どの描写が現実あるいは非現実か分からないシーンが頻見される。
『二重人格』はゴリャートキンの混濁した視点をよく出している。新ゴリャートキンなる人物が突然登場する。彼は実在しているのか、それともゴリャートキンの妄想なのかよく分からない。(私は、実在していると思って読んだし、読後の今もそう思っている。)主人公ゴリャートキンの前に何度も仇敵として現れる。
都会に住む人の人格は、往々にして、ドッペルゲンガーとして現れる新ゴリャートキンと、劣等感にさいなまれながら栄達を妄想する当のゴリャートキンとが混在しているものなのだろうかと思うことがある。善良・素朴でこじんまりした自分に誇りを抱きつつ、うまく立ち回れると信じ、自分を落としいれようとする敵がいると警戒する。
『二重人格』は、妄想じみた現実、現実じみた妄想が混在しあっている描写をする。それによって『二重人格』は、リアリティと妄想の境界線をラディカルに曖昧化する。むしろ無化すると言っていいかもしれない。
リアリティと妄想は、『二重人格』において、お互いにエネルギー資源を供給し合うシステムとなり、最後までゴリャートキンの不思議な世界が展開されていく。
都会的人格の持ち主は『二重人格』を読むと、何かをつきつけられた気分になるのではないだろうか。
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ロシア研究をしているので、文学嫌いでも読まなきゃならないと2年前に購入し、ホコリを被っていた。ドフトエフスキー文学の中で、評価の分かれる作品らしく、冗長で確かにイライラした。まあ、ただ訳者がいうように一度勢いに乗ると読むスピードが速くなる。200ページから最後の100ページは夜のわずかな時間で2日間で読み終わった。しかし、後味はよくないし、「結局何?」と感じてしまう。やっぱり文学向きじゃないな。
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途中で何度も挫折しかかりましたが、
涸沢でとかげするためにもっていきました。
どんどん病的に主人公がなっていくのか、
それとも自分がなっていくのか、
よくわからなくなってしまった。
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もう一人の自分の幻覚に追い詰められる役人の話。表紙のあおり文句は素晴らしいが、言うほどさして面白くは無い。
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at first imp/
こ、わかった…!だんだん、だんだんと滲み出てくるような狂気が強張った文体の翻訳と相まってより鬼気迫る感じ…ううう。
二重人格、っていうか今は解離性同一性障害っていうけど、この場合はそれなのか、はたまた「人格異常」になってしまうのかも判別つかなくて怖い。
後半、若干ヒいちゃってじっくり読み込まなかったから、そんでももう一度読み直したいなあ。
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これは読みにくい
どのくらいかと言えば、カントの純粋理性批判と同じくらい読みにくかった
物語の辻褄が合わなくて上手く読み進められなくてイライラした。
なんとなくタイトルから察して「きっとこういうことだろうな」と補足しながら読みました。
とにかくカオスな本です。
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初めて読んだドストエフスキー作品。
ふと目にとまったので手に取った。
いきなり「罪と罰」とかメジャーなところを読むのはもったいない気がして、ワンクッション置くつもりで読んだ。
当時は酷評されたらしい。確かに"冗長"だと思った。
しかしこの作品を読んだことで「ドストエフスキーとはこういうものだ」と覚悟することができる、そういう手助けとなる一冊になった。
酷評された理由は冗長だということだけだろう、と思うくらい個人的には好きな作品。
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だいぶ前に読んだのだが、これはあまりよくない出来栄えだった事を覚えている。天下のドストエフスキーがこれはないだろう、って感じで。
内容は詳しくは触れないが、一介の役人が唐突に現れた自らのドッペルゲンガーに徐々に浸食されていくと言うもの。その描写のみが大半で、これと言った思想も大きな変化も話中にはないし、特に魅力的なヒロインも出てこないしで、話に起伏がない。
ドストエフスキーはその処女作『貧しき人びと』の大ヒットの後にこの小説で顰蹙を買うことになったのだが、それもわかる気がするデキ。
もちろん普通の小説家ならこのくらいのレベルの作品でも十分書けている部類に入るのだろう。だがそこは上述の通り天下のドスト氏である。したがってドスト作品にしては異例の星二つを献上せざるを得ない。
ドスト氏が服役後にこれと同じプロットで小説を書いていたら、おそらくもっと深遠なものが出来上がっていただろう。これはその意味でも残念な作品だった。
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ロシア文学の巨匠ドストエフスキーの作品。
『罪と罰』同様、いや、それ以上に
1回の読みで理解出来るものではなく、
読み終わった後には達成感よりもむしと
難解な暗号を解くべく脳みそを酷使した疲労感があった。
また忘れた頃に読もうと思う。そうすれば新たな発見が出来るかも。
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作者自身、一番お気に入りの小説だったらしいので気になって購入。
でも結局読むの後回しにして積読・・・。
どうやら二重人格ではなく、幻覚を見る話みたいですね。
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劣等感が高じてドッペルゲンガーが生じてしまった小役人の物語。ゴーゴリ的な幻想(?)小説。テーマは面白そうなんだけど、冗長で話の流れも支離滅裂なところがあるようで、入り込めなかった。
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ちょっと何書いてんのか分からない。ただ、「地下室の手記」同様、主人公の肥大化した自我には共感せざるを得ない。短くすればショートショートにも出来そうな内容を、丁寧に描写しているあたりに意味があるのかもしれない。あまり評判は良くないそうですね。
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思考だけが先走っている感じがした。しかもとても感覚的でいて、出てきた物語を無為に並べていく感覚。こういう文章は書いてる本人は気持ちいいに違いない。しかし、それはスカラーな物語でしかない。どこかへ、読者を誘うベクトルが見当たらない。しかし、物語のスピード感、無意識的な頭の回転の異常な速さ、そういう部分においては、常人を超えている才能があると思った。
しかし、処女作である「貧しき人々のような軽快さ、緻密な物語構成は見られなかった。それが唯一、残念だった。
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そういえば当時付き合っていた彼女に貸したまま返ってこなくなったっけ。精神を病んでいた彼女に貸すべき本じゃなかったな、と反省。
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この小説の主人公は内的な自尊心が強いものの、臆病者である。それがある悲劇の原因になるのだ。
正直この主人公と自分は似ていると思う。