投稿元:
レビューを見る
「ローマにおけるギリシャ神話」という感じのジャンルか。
史料としてのみならず、普通に古典文学作品としてなかなか面白く読めた。
ラテン語原文では韻律があるようだが、この翻訳では日本語で書く都合で散文になっている。
投稿元:
レビューを見る
こうみえて、かなり長い。まあ、西洋古典の読み物系はみんなそうなんだけど。
詩人がキタラをつまびきながら、とわずがたりにぽっぽっと思い出した物語を脈絡なくつなげるように語られる。「それで・・・・なのだよ。そういえばその彼女の妹の息子の**も英雄でね以下略」みたいな。これが延々と続く。
ただしこれをある程度頭にいれておけば、他の神話とも多分に重複してくるので、他の話を聴いた時「ああ、うん」と理解がすばやくなるであろう。
実際そうなったし。
口語体なので、普通に読んでもたのしいよ。
お昼のおともにしてました。
投稿元:
レビューを見る
・おしゃべりによって身の危険を招いてはならない。
・誰の場合にも、自分こそが、自分の神なのだ。坐して祈っていては、「運命」にも見放される。
・神々に愛される者は、自身が神になりますように!敬意をはらう者は、敬意を受けますように!
投稿元:
レビューを見る
この本は、やはり高校卒業くらいまでには読んでおくべき本だった。
他のギリシャ神話案内書や、「神統記」などは読んでいたし、その後西洋文学のあちこちに顔を出すから、ギリシャ神話の有名なエピソードは無論知っている。
しかし、この本はそれらより先に、第一に読んでおくべきものだ。
読んでいなかったのは単に、当時手に入らなかったからだが、いまさらこれを読むのもなあ、と、なんとなく恥ずかしい気もしていた。
ギリシャ神話の解説書を数冊読むより、これを読むほうがずっとわかりやすい。親しみやすい語り口だし、紀元前後の書物としては、圧倒的に文学的でもある。
投稿元:
レビューを見る
高校世界史のローマ文化のところで一度は出てくる、オヴィディウス。
彼が著した、ローマ神話の「変身」に関する物語ばかりを集めた神話集です。
本の題名の日本語訳には「変身物語」「変形譚」「転身譜」やらいろいろありますが、
すべてOvid(Ovidius)による"Metamorphoses"のことです。
多くの欧州の芸術作品はこの変身物語をモチーフにしています。
挿絵が一つもなく、文章も読みやすいものではないので、
変身物語→作品を見て想像の助けにする→もう一度変身物語を読む
とすると、分かりやすいかと思います。
そして芸術作品を見て、元ネタが分かるだけで、少しインテリっぽい気分に浸れます。
投稿元:
レビューを見る
正直、言い回しとカタカナの名前が難しく感じられた。でも、聞いたことのあるお話もあったので嬉しく感じた。
投稿元:
レビューを見る
オウィディウスを挙げるに『愛の技法』だけでは足りないでしょう。翻訳で読めるものとして、この『変身物語』上下巻を。
ギリシア・ローマ神話の集大成的な、巻の十五に及ぶ大小250もの物語。
モティーフは、「変身」。
ギリシア・ローマの神々は、いともたやすく様々な動物に「変身」していた。欲望の赴くままその場の都合で勝手気ままに、と言ってもいいほどに(天神ゼウスを筆頭に)。
対して、自らの意志の否か応にかかわらず、神によって、あるいはその想いの(業の)深さによって、様々な動植物や星に「変えられた」人間たち。
魂が易々と「他のもの」に飛び移る軽やかさと、二度と戻れない道程としての変化(へんげ)の重さ。
水仙や月桂樹や蜘蛛や牛……それらが象徴するもの。(そのまま「古事記」に通じるものも)。
詩人というよりは「物語る人」としてのオウィディウスを、存分に堪能できる。
ギリシア・ローマ神話の概要や神々の呼び名(ギリシア語とラテン語と)に親しい方は、是非。
投稿元:
レビューを見る
モンテクリスト伯の中で、ピュラモスとティスベの話がちらりと出て、調べてみたらたどり着いた本。
誰が誰とどういう関係なのか、よくわからない。似た名前出てくるとお手上げ。
「えうほい!」
投稿元:
レビューを見る
ギリシアの神々と英雄たちバンザイ!女神も情欲もよおして積極的でいい。花に木に鳥に河へと変わる物語。惜しげもない数々の物語に心躍る。ギリシア神話、『イリアス』『オデュッセイア』を読んでから読んだ方がいい。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
<上>
古代ローマの天成の詩人オウィディウスが、ストーリーテラーとしての手腕を存分に発揮したこの作品には、「ナルキッソスとエコー」など変身を主要モチーフとする物語が大小あわせて250もふくまれている。
さながらそれはギリシア・ローマの神話と伝説の一大集成である。
ラテン語原典の語り口をみごとに移しえた散文訳。
<下>
もの音ひとつしない静寂のなか、おぼろな靄に包まれた、嶮しい、暗い坂道を、ふたりはたどっていた。
もう地表に近づいているあたりだったが、妻の力が尽きはしないかと、オルペウスは心配になった。
そうなると、無性に見たくなる。
愛がそうさせたということになるが、とうとう、うしろを振りかえった。
と、たちまち…(「オルペウスとエウリュディケ」から)。
[ 目次 ]
<上>
世界の始まり
人間の誕生
四つの時代
巨人族
リュカオン
大洪水
デウカリオンとピュラ
ピュトン
ダプネ
イオ〔ほか〕
<下>
アケロオスとヘラクレス
ネッソスとデイアネイラ
ヘラクレスと死の衣
リカス
ヘラクレスの神化
アルクメネとガランティス
ドリュオペとローティス
イオラオスと若返りの恵み
ビュブリスとカウノス
イピネとイアンテ〔ほか〕
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
投稿元:
レビューを見る
天才すぎるわ、オウィディウス。
彼の詩的センスや比喩的技法、描写、表現力、劇的で激しく展開する飽きのないストーリーテリングの力には驚嘆と尊敬に値するレベル。
多数の小話が連続して語られるこの形式にも舌を巻いた。
まず、正確で無駄のない情景描写力がすごすぎる。
ペルセウス対ビネウス率いる軍隊の戦い描写は、まるでスピルバーグの『プライベートライアン』よろしく、激しさと生々しさに満ち溢れ臨場感マックス。
スプラッタや暴力、変身場面のグロテスクな表現も手抜かりなく貫き通す心持ちにも拍手。
随所にホラー、ロマンス、アクション、ミスリード、語り、悲劇、喜劇など高度な手腕によって紡がれる諸々の要素は分析の価値あり。
負けてらんねえなー。
投稿元:
レビューを見る
2023/8/11読了
読めば読む程、ギリシャ神話は神(権力者)によるモラハラ、パワハラ、動物虐待(何かあるとすぐに動物を生贄にする)、近親相姦の横行する畜生道の如き世界だとしか、思われない。下民は、神に目を付けられたら“詰む”のである。