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高校時代に読んでしばらくぶりの再読。
さすがに古典だけあってテンポが合わなかった。
が、ラストの数ページにはこれでもかと言わんばかりに引き込まれた。
映画の印象が強いせいかドラキュラという物語は悲恋ものイメージがあったが、そんなものではなかった。
不死者と人間との悲恋というのはどこから生まれたものなのだろう?
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課題のために読むといつもと違う視点から読めるので多くの新しい点に気付くことができた
書記の形式で書いてあることが本作品を傑作としているのだろうと推察
ラストをもう少しどうこうしてほしかったが、現実感を出すためか
それとも伯爵がチート過ぎるからやむを得ない処置か
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言わずと知れた『吸血鬼』ものの元祖。
今となっては耳慣れない語彙が散見されたり、内容の割には穏やかな印象だったりするものの、内容的には面白い。
きちんと山場を作っていて、最後の展開には引き込まれた。
通り一遍のイメージじゃなくて、古典に当たって本来の姿を知るのって、実は大切。
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これまで、コッポラ監督の映画化作品も観たし、キングの「呪われた町」や小野不由美さんの「屍鬼」など、本作へのオマージュ的な小説も読んだことはあったけど、本作自体を読むのは初めてでした。
ただ、上記にあげた以外にも、数々の映像や文学作品に影響を与えただけのことはあるとうなずけるだけの大作でした。
まず語り口。主要な登場人物たちの日記が交互に切り替わるという形式で物語がすすみます。
これが登場人物間よりも先に、読者にだけ先に伝わる情報があって、それがハラハラ感やもどかしさを増します。
次にその重厚かつ幻想的な怖さ。
19世紀末の暗闇が真の暗闇であったような時代背景のせいもあるのでしょうが、ドラキュラ伯爵の登場時からの怪しげな雰囲気、城の中の不気味な様子の描写などは、読んでいる部屋の空気が重くなるような錯覚を覚えるほどでした。
そして時代錯誤とすら言われそうですが、そのストーリーの王道的な面白さ。
若く前途有望な弁理士と、その聡明で美しい新妻が見舞われる災厄に、彼ら自身に加え、その仲間たちが騎士道精神に溢れる心意気と行動で立ち向かいます。
子供の頃、抄訳版のミステリーやSFを夢中で読み漁った時のようなドキドキを久々に思い出すことができました。
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原書名:Dracula
著者:ブラム・ストーカー(Stoker, Bram, 1847-1912、アイルランド・ダブリン、小説家)
役者:平井呈一(1902-1976、平塚市、翻訳家)
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言わずと知れた吸血鬼話の総本家。500ページ超と重量感はあるが、割とさくさく読める。冒頭ジョナサンのドラキュラ城監禁のくだりのシーンは、かなり恐かった。大まかなあらすじは知っていたが、白黒映画版とはだいぶ展開も違っていて驚いた。読んで損はない。
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借りたもの。
現代の吸血鬼像を確立させた本家。金字塔。
それは“記録”(関係者の日記、手紙、レコードの音声を文字に起こしたものなど)の体裁を取り、読者は事件を追従する形だった。そこから発生する臨場感。
細かく登場人物の一挙一動、心理描写が書かれているので、現代の映画で何度も制作されるのは、映像化し易いためかもしれないと思った。
対比――善悪、美醜、理性と蛮行が存在する。それが人を魅了してやまない。
濃厚な闇の恐怖と、世界の辺境(異界)を起源とする情景は、人の心を惹きつける。
現代の吸血鬼にある孤高の不死者、愛/哀のイメージはない。それがいかに斬新だったかよく分かる。
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誰もが知る吸血鬼小説の古典だが、今読んでも充分面白いエンターテイメントに仕上がっている。
人里離れ闇深く閉ざされたトランシルバニアの古城で人の生き血を吸い、生きる屍として永遠に呪われ続けるドラキュラ伯爵。この作品以前にも伝説を題材にした吸血鬼小説は発表されているが、以後の影響力からみれば、やはり本作が原点であり、決定版といえよう。
特に冒頭で弁理士のジョナサン・ハーカーがドラキュラの招きによって古城を訪れるくだりは、恐怖感を煽る緊密で重厚な描写が続き、ゴシックホラーの真髄が味わえる。映画などで馴染みのヴァン・ヘルシング教授を始めとする討伐隊の追走と活劇は控え目ながらも緊張感に満ち、パイオニアとしてのストーカーの偉大さをあらためて感じさせる。古い作品などと読まずにいるのは勿体無い。
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今年の夏に読んだ本。
日本の四谷怪談に並ぶ名作だと聞いたので、読んでみました。あと、ヘルシングの影響。
伯爵が思いの外間抜けだったけれど、ロンドンに壊れた船で入ってくるところは格好良かった。
最初から最後まで、誰かの記述を元にした文体が面白いと感じました。
有名な作品なので、自分では知っていたつもりでしたが、本当は全然知らなかった。きちんと読めて良かったです。
ただ、四谷怪談の方が怖かった。
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吸血鬼ものって、小説映画漫画と人気多作のジャンルなのに、大元の小説を読んだことない人は意外と多い、と思う。
かくいう私も「吸血鬼と結婚したい」とか言ってるわりには、長い間未読でした。
(ちなみに、一番結婚したい吸血鬼は『ヘルシング』のアーカードです)
この『吸血鬼ドラキュラ』を読んでまず思ったことは、
弱ッ!ドラキュラ伯爵弱ッ!!!
弱点とか行動制限が多くて、後年の他作品で出てきた吸血鬼より、明らかに戦えない……。
(ちょっとネタバレ?最終的な犠牲者の少なさにびっくりしますよ)
まあ、勝負を挑んだ相手が悪かった。
ドラキュラ伯爵に立ち向かうヘルシング教授以下の人間が皆、人並み外れた知力体力精神力財力(ついでに美貌)いずれか、または全部持ったスーパー超人。
こんな人間にいきなりぶち当たるなんて、すごい確率。
運悪過ぎ。
ただでさえ弱点多いのに、運まで悪い。
そんな不憫なドラキュラ伯爵がキュートに思えて、ちょっと萌えちゃいます。
もちろん小説の全体に漂うゴシック感とか、
ぐいぐい進ませる物語の推進力とかも素晴らしい小説です。
種村季弘『吸血鬼幻想』と合わせて読むと、より楽しい。
やっぱり、結婚するなら吸血鬼!
私の血を差し上げますので、素敵な吸血鬼男性は、ぜひ私の家にいらしてください。
(吸血鬼は、初めて訪れる家には、家人から招かれないと入れないのです)
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ドラキュラと言えば吸血鬼。
そんなの当たり前じゃん。というアナタ。
「吸血鬼ドラキュラ」をきちんと読んだことがありますか。
わたしはありませんでした。
ふと、当たり前に知っている気になっていたドラキュラとはどういった物語なのか読んでみたいと思いました。
「フランケンシュタイン」も読んでみると思ったよりずっと哀しい物語だったので、ドラキュラももしやと思った次第です。
ブラム・ストーカーの記した「吸血鬼ドラキュラ」は、登場人物たちの手記や手紙といった形で進行する。
こういった形で始まるのは「フランケンシュタイン」と同じで、こういう書き方が当時の主流なのか流行なのかと思ったりする。
ドラキュラがひとの生き血を吸って生きる(実際は死んでいる?ちょっとややこしい、要するにゾンビか?)ことや十字架、にんにくといったものが苦手で、鏡に姿が映らないことや日光を浴びられないことなどは同じ。
はじめて対象の人間の住まいに入るときは、その人間の許可がなければ入れないという意外と律儀なことも同じ。
こういう一見不死身で敵なしといった悪役に、あれこれ弱点が設定してあるというところがニクいと思う。
ドラキュラと聞くと怖い話、ホラー、ということで敬遠するひともいることだろうが、この「吸血鬼ドラキュラ」は見方を変えるとラブストーリーと呼べなくもない。
ドラキュラに狙われた美しいヒロインたちを、恋人であったり夫であったり医師や教授といったひとびとが護ろうとする。
勿論それなりにひとは死んでしまうのだが、悪に立ち向かうひとびとは愛するひとのために懸命に尽くす。
これがラブストーリーでなくて何なのだ。
「吸血鬼ドラキュラ」は500ページを超える比較的長い作品であるが、主要人物はそれ程多くもなく読みやすい。
いかにもゴシックホラーという作品で、残酷さよりも物語全体から滲み出る独特な雰囲気が楽しめる。
美しい女性の白く細い首筋に歯を立て、生き血を啜る。
この残忍ではあるけれど、どことなくエロティックで画的に美しいところが「吸血鬼ドラキュラ」の魅力だと思う。
恐らくドラキュラから発想の一端は得たのではと思わせるゾンビが、ところかまわず噛み付いて人肉を貪る姿にはおよそ感じられない美しさだと思う。耽美的恐怖小説といったところだ。
暑くなってきたこれから、こういう時代を越えて読みつがれる恐怖小説でちょっとゾクリとするのも悪くないと思う。
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正直に書くと、筋は面白いが書き方がまどろっこしく退屈で、読み進めるのが大変だった。全編書簡小説で一貫した語り手が話をまとめたり進めたりしないためだろうか。ヴィクトリア朝の価値観が嫌いなのも一因かもしれない。
面白い場面とつまらない場面が交互にやってきたが、最後は面白かった。
ハーカーのドラキュラ城訪問〜脱出、ルーシーの衰弱〜死と復活、伯爵との対決、追跡、あとセワードのレンフィールド観察日記は面白い。でも合間はちょっと.....
ドラキュラ討伐メンバーで死ぬのはアメリカ人のキンシーだけ。日記、手紙などを残してないのもキンシーだけ。ドラキュラに限らず外国人は排除されるのか。そう思うと後味悪い。
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とても面白い。怪奇小説の古典としてだけでなく、ストーリーの完成度が高くて引き込まれる。書簡文体が華美な演出をそぎ落としドキュメンタリータッチでサスペンスを盛り上げてくれる。TVドラマの怪奇物を好む人よりもTVドキュメンタリーの怪奇物を好む人に向いていると思う。
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前半は得体の知れない恐怖に脅かされる一方だが、吸血鬼爺ちゃんことヴァン・ヘルシング教授の登場によって「吸血鬼VS人間」という対決要素が加わりグッと面白さが増す。
「たとえ、死ぬことがありがたい授かりもののように自分には思われても、あなたは生きるためにたたかいぬき、生きるために努力しなければならん。」
数々の苦難に直面する若者たちを励ます教授の言葉もいちいちかっこいい。
ヒロインは聡明で美しく、それを守る男たちもみんな良い奴らなので、これは調子こいた吸血鬼が倒されて当然…。
モヤモヤ要素なく読後感もスッキリ。
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これ、知らない人はいないでしょうが。読んだ人は案外と少ないのかも……? だいたいのあらすじは知っているのですが、こんなに分厚い本だったのか。なーんか冗長で退屈しそうだなあ……なんて思ったのは間違いでした。古臭いんじゃないかってのも思ってましたが、それも欠点ではなく。今読んでも充分エンターテインメントとして楽しめます。
すべての部分が手紙や日記といったもので占められ、さまざまな視点から語られる物語。いきなり最初っからやってくれるなあ。ドラキュラ伯爵の城に囚われたジョナサン・ハーカーの日記部分だけでもう盛り上がってしまいます。城の雰囲気がとことん不気味。そしてドラキュラよりも三人の妖女の方が迫力があって恐ろしくて。序盤でこれか!
続くルーシーの物語は恐怖よりも悲哀に満ちた印象です。この先どうなるかがわかってるものなあ。じわじわと迫りくる怪異と恐怖がたまりません。そしていよいよ、ヘルシング教授たちによる吸血鬼との対峙。だけどこれも一筋縄ではいかなくて、読みごたえたっぷり。「箱」の存在については知らなかったなあ。そんなものを使うのか。肝心の決着に関してはとんでもなくあっさりで驚きましたが(笑)。そこに至る道のりで充分すぎるほどに読まされたので、物足りない気はしません。定番はやはり読んでおくべきものです。