紙の本
クイーンのデビュー作
2004/04/16 20:02
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投稿者:明けの明星 - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台はローマ劇場。真っ暗な観客席で、悪徳弁護士が殺される。容疑者は観客と俳優の全員。
エラリー・クイーンはニューヨークのど真ん中を舞台に選んでいる。同じアメリカのヴァン・ダインは、前年に『グリーン家』、同年に『僧正』を発表している。従来は「怪しげな館」の一室で住民のひとりが殺される、というのがパターンだった。都会の真中が舞台になっていること、衆人環視の中で大胆な犯行が行われることが、当時の読者にとって新鮮だっただろう。
途中の捜査の過程を退屈だと感じる読者もいるだろう。解決に必要なデータの提示に終始すると、パズラーは無味乾燥になってしまう。しかも魅力的な謎は、「帽子はどこに消えたのか」くらいだから、途中で投げ出してしまう人がいても不思議ではない。
だが最後まで読めばその労が報われるのがパズラーだ。ぜひ最後まで読んでほしい。「読者への挑戦」が挿まれているが、この作品はちょっと考えれば分かるかもしれない。分かりやすいことが、この作品の大きな欠点だろう。
作家クイーンの実力はまだまだこんなものではない。これから飛躍的に実力を発揮していくクイーンにどうかついていってほしい。
紙の本
まさに帽子の謎
2020/10/31 19:30
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
クイーンの処女作で、大好きな国名シリーズの第1作。再読ですが、相変わらず綺麗に忘れていました。まるでドラマ化できそうなスピード感のある展開。ひたすら帽子、帽子とまさに帽子の謎。消えた帽子から、犯人まで辿り着かせるのはさすがのプロット。ホームズのような派手な推理はありませんが、一歩一歩犯人に迫っていく論理はすごいと思います。これが書かれたのはヒット作の宝庫で、奇跡の30年代といわれる前年の1929年。まだまだこれから楽しく再読します。
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エラリー・クイーンデビュー作にして、国名シリーズ第一作。なかなか見えない犯人の正体と、若く気負い気味のエラリーの奮闘が面白い。
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あの有名なエラリィ・クイーンの第一作目。
確かに帽子のありかってか謎がね。
どこにあるのか全然見当つかなかったよ。
でも面白かったー。私はクイーン警視よりエラリーの方が好きです。
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衆人環視の劇場の中で、突然、死体となって発見された、正装の弁護士。シルクハットが紛失していることを唯一の手掛りに、苦心惨憺たるエラリーの活躍がはじまる。その名前を一躍、推理小説界のスターダムに押しあげて、ヴァン・ダインと名声をきそわせるにいたった処女作。さすがエラリーの推理は、後日あるを思わせる本格推理の名編。
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衆人環視の劇場の中で、突然、死体となって発見された、正装の弁護士。シルクハットが紛失していることを唯一の手掛りに、苦心惨憺たるエラリーの活躍がはじまる。その名前を一躍、推理小説界のスターダムに押しあげて、ヴァン・ダインと名声をきそわせるにいたった処女作。さすがエラリーの推理は、後日あるを思わせる本格推理の名編。
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これがかのエラリー・クイーンのミステリですか。
お恥ずかしながらわたくし、エラリーというとえらそうな私立探偵かなにかだと思っておりました。いい意味で予想を裏切られました。
警視リチャード・クイーンとその息子エラリー・クイーンが取り掛かる謎は劇場内での殺人。
被害者は悪徳弁護士、ときは劇の真っ最中、死因は毒物の嚥下。
被害者の付近の席は七つも空席で、男は死に際に「殺られた」と呻いたという。
クイーン父子は死体を見て気付く。弁護士の凝った正装にあって然るべき帽子がどこにもなかった。
すぐさま劇場内にいた人々をとじこめ、身体検査を始めるがなにも出てこない。
犯人は?目的は?どうやって殺したのか?父子は謎を解明すべく奔走する――。
読書の愉しみという点ではそれはもう楽しませていただきました。何しろ、警視とエラリーの会話がかわいくて仕方がない。
どちらかが怒ればどちらかがくすくす笑うといった様子で、お互いを思い合った、非常にバランスのいい父子です。
クイーンは息子をのらくらした道楽者と嘆きながらも捜査の供としなければ落ち着かず、実はかれの知恵を誇りに思っている。
エラリーは見つけた初版本を買いに行きたくてしかたがなく、嫌味を言いながらも父についていく。
とくにエラリーの発言についてはシェイクスピアや聖書など引用や比喩のたぐいが多岐にわたり、この小説が教養のある人物の手によるということがはっきりわかります。
正直最初に文章に目を通したとき、原文が透けて見え、さらには修飾語が日本語としては不自然に多い訳文にうんざりしたものですが、細部にいたる訳者註に目を通しているうち、訳者もこの作品に敬意をもって訳したのだろう、ということを理解せざるを得ませんでした。
問題があるのは主に地の文の表現で、「ちゃめっぽい」(何度か使われていて最も気になった語です)などところどころ最適とは思われない表現があてはめられているのは気になるところでしたが、エラリーの敬語口調や人物の動作にたいしての形容詞の選びかたについてはある程度評価したい。
前述した散りばめられた教養のせいで、わたしならこの小説を訳すのはいやですから。
◇謎にかんして(ここからネタバレです)
肝心な謎に関しては、作者からの挑戦がつきつけられた時点で犯人の見当はついていました。
なんとなくというか、帽子にかんする謎を考えたときその必然性から犯人はおのずと導き出されていました。
しかし即座に頭のなかでその可能性を打ち消したのは、犯人が舞台上にいる計算になってしまう、と思ったからです。この点に関して、クイーンはフェアだったでしょうか?
もし記述があったとするならお手上げです。降参です。
クイーンはヒントを堂々と提示しておきながら、その直後に読者の気をそらす天才らしい、というのは薄々感じはじめているので、次の作品を読むときはせいぜい丁寧に読みますよ。
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エラリー・クイーン・シリーズ
弁護士モンティー・フィールド殺人事件。ローマ劇場で毒殺されたモンティ・フィールド。現場から消えた被害者の帽子。強請屋である被害者のシルクハットに隠された秘密。劇場に招待されていたモンティー・フィールドの元共同経営者ベンジャミン・モーガン。モンティー・フィールドに強請られていたベンジャミン・モーガン。被害者のポケットにあった小物入れの持ち主フランシス・アイヴィス・ホープ。彼女の婚約者で役者のスティーブン・バリー。モンティー・フィールドの強請りのネタの隠し場所。
1997年7月10日購入
1997年9月17日読了
2010年1月4日再読
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国名シリーズの本家本元に手を出してみた。
読み辛い。読者への挑戦状のところでなんて判りません。
クィーン警部は意外と子離れしていない。
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面白かった!!
個人的には先に読んだドルリィ・レーンのシリーズよりもこちらの方が好きでした。
国名シリーズはまだこの1冊しか読んでいないので、続けて読みたいと思います。
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国名シリーズ第一弾。衆人環視の劇場の客席で男が殺された。第三者の証言から、犯人は劇場内に留まったままと思われたが、警察の捜査もむなしく手がかりは得られない。しかし、父親のクイーン警視に同行したエラリーは、被害者のシルクハットが何者かに持ち去られていることに気づき…
真相を看破できなかったことが、こんなに悔しかったミステリィはありません。恥ずかしいとすら思えるのは、それだけフェアに手がかりを与えられていて、極めて論理的だから。推理のプロセスは単純な消去法の繰り返しなんだけど、大きな論理の破綻も無いし失望させられない。帽子の謎だけで話を長く引っ張りすぎてる印象もありますが、「読者への挑戦」を付す為のヒントを蒔いてるんだと思えば苦ではありません。ミステリィを齧ったことがない方には、クリスティの前に是非EQをお勧めしたいです
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クイーン初挑戦。……劇場見取り図が欲しいと思ったのは私だけか?(笑) あと、この時代(と国)における「帽子」の重要性だとかがよく分からなくて悩んだり。あーもっと勉強しなくちゃ。
思ったよりも地味な作品という印象を受けたけれど、やっぱり論理は綺麗だね。なるほどなるほどーと納得。確かにこれは読んでおかなきゃあ。
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トリックは大げさなものでなくさほど意外さは感じられなかったが充分納得のいくものでした。
犯人については予想した範囲でしたが、自分の中では動機が上手く見つけられず結果としてあっていたって感じです…。
もう少し洞察力を磨かなきゃかな。
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推理小説界の巨頭、エラリイ=クイーンの処女作である。
よく言われる通り、S・S・ヴァン=ダインの影響がところどころに見られるが、ヴァン=ダイン独特の衒学的な読みづらい感じはなく、全体的にすっきりと読みとおせる。
Xの悲劇でクイーン崇拝者の仲間入りをした身としては期待が大きかったが、少し拍子抜けした感じ。
何が問題って、時代背景が判らないと呑み込みづらい点じゃないかと思う。
主として社交のルールである。服装やらエスコートやら。
本文から推察はできるものの、なかなかピンと来なかった。
ちなみに、LL32とLL30が隣り合わせだというのが最も呑み込みづらい点だと思われる。
これは恐らく数字が左右で順に振られているのだろう。
つまり、奇数は右翼、偶数が左翼なのである。
LL31はどこ行った、と意味不明であった。
しかしやはり、読者への挑戦には興奮するよね。
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エラリークイーン親子の活躍!もう、わくわくします。少しずつ謎を解き明かしていくその手法に感嘆したり、ストーリーの合間に見られる親子の労り合いなどのほのぼのしたり。最高です!