紙の本
雑誌のSF特集では、必ず推薦される本
2009/09/27 09:58
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
雑誌のSF特集では、必ず推薦される本である。それだけのことはあると、読んで納得できる。SFの魅力の一つは、奇想天外な環境のもとで生活する不思議な生物がどのように描かれるか、ということであろう。荒唐無稽な空想ではなく、現在の自然科学の延長や外挿に基づいて何程かの根拠があるものでないと、しらけてしまうが。本書は1961年に発表され、その後の生物学の革命的進歩発展以前の作品ではあるが、ヒューゴー賞受賞作であるだけに、現在でも読みごたえがある。
植物が支配する未来の地球上を、人類の末裔の男女が彷徨あるく冒険物語である。動物が滅んだ世界をうめる奇妙な植物が次々と登場する。よくもこれだけ多種多様で奇怪な植物を考え出したものである。その創造力と想像力に脱帽する。平行進化という観点では、動物に替わる植物が登場するのも、可能性があるあることであろう。
紙の本
想像力の極限
2019/01/24 00:27
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
はるか未来の地球。自転が止まり植物が支配する世界で人間は文字通り小さくなってかろうじて生き延びている。グレンという主人公もいるのだが、主役はやはりこの異様なこの世界そのものだ。いくらなんでもあんなやり方で月にまで行けてあいまうのはどうだろうと思っても想像の限りを尽くしているのでこの世界に幻惑される。ポンポンがうっとうしいとか、あの生意気なキノコ(アミガサダケ)の野郎は何なんだとかどんなにけなしても、そうした短所の数々はこの異世界そのものの存在感に圧倒される。そして結末で語られるこの世の黙示録のような終末ビジョンにもやられてしまった。オールディスはこれ一作でも名を残すにちがいない。
紙の本
遠い未来を描く、想像力が充満したSF
2017/09/26 01:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かいおう - この投稿者のレビュー一覧を見る
原題は 「HOT HOUSE」 温室という意味です。
遠い遠い未来、太陽は赤色巨星となり、自転の止まった地球の片面を強烈に照らしています。
まるで温室のようになってしまった地球が舞台です。
この地球は植物達の楽園であり、植物達は奇妙奇天烈な進化を遂げています。
大陸を覆うほどの大木、動物のように動く植物、蜘蛛のように進化した植物は月にまでその糸をめぐらしています。
昆虫は少し生き残ってますが動物はほぼ絶滅し、人間はあらゆる面で退化してしまっています。
退化した人間の一つの群れにいるグレンが主役です。
グレンは群れを追放され、生きるために世界を巡るのですが・・・。
最後には人間の進化の秘密、生命の起源にまで言及し、この未来世界を生み出した
作家の想像力に圧倒され、読了後は頭がクラクラして虚脱感につつまれました。
あまりの現実離れに受け付けない人もいるとは思いますが、私にとっては文句なしに
いい本です。
紙の本
壮大なイマジネーション
2003/06/13 14:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まゆ - この投稿者のレビュー一覧を見る
地球の自転が止まった遥かな未来。そこに生息する動植物の描写が素晴らしいと思います。めくるめくようなイマジネーション。これぞSFの醍醐味といった感じです。
人間の脳がまさか???だったとは…(実際に読んでお確かめください)。
最後の少年の台詞は、地球の終焉と共に新しい世界への希望を示しているようで、私は大好きです。
投稿元:
レビューを見る
植物の王国になっちゃった地球で細々と力強く生き続ける人間達のおはなし。もっとどこかに悪意が潜んでるのかと思ってたけど単なる自然現象なのだな全て。それはそうと、年中昼間とはいかないまでも年中夏の国にいると、本当に植物の存在感を感じる。変な日本語?こういう世界になってしまうかもねーと思う。SFというのかしらこういうのも。冒険物としておもしろいかも。壮大なヴィジョンが明らかになるというのは先に出た悪意とかいうんじゃなくて彼の作りあげた世界が壮大だということね。確かにちょっと考えれば思いつきそうだけど書き上げる……終始一貫した世界を構築するのは難しいよね。戦う人間達はおバカになりつつあるけど生き生きしてる。バイタリティがある。グレンの頭にはりつくキノコは悲しいやつだ。今の人間の脳っていう設定でしょう?気持ち悪い。それはちょっとおしつけがましかったかも。'92
投稿元:
レビューを見る
人間よりも植物が主導権を握る世界。描写がすごいのでリアルに想像できます。壮大なファンタジーなのに現実感がある。オモシロイ!!!
投稿元:
レビューを見る
細部まで計算されたSF。これを書くのは大変な作業だったに違いない。私、オールディス・ファン。ああ、本当にこれはいままでにない物語。だって、いままでにない物語を書こうとしているんだもの、オールディスは。彼のイマジネーションがそうさせる、というよりは膨大な知識とSFへの愛によって狙って書かれているんです、いつも。射撃です。そんなゼエゼエしてるオールディスが大好きなんです。
投稿元:
レビューを見る
SFものでは傑作の一つとされるこの作品、もともと5本の中編をひとつにまとめて1961年〜2年に刊行された作品とのことです。
遠い遠い未来、太陽が肥大化をはじめ、地球の生態系が完全に変化し、植物が地球の支配者となった時代を生きていく、未来の人間たちの物語。
独特かつ魅力的な植物や動物たちが描かれていて、ファンタジー的な要素すら感じられる作品ですが、これが面白い。最初は描き出される未来の地球・月の様子に思いをはせながら、だらだらと読んでいたのですが、人間の主人公らしい人物にスポットが当たり、妙に個性的なアミガサダケが出てきたあたりから引き込まれるようになりました。アミガサが結構面白いキャラでいい感じでした^^
投稿元:
レビューを見る
ナウシカ!
地球が人間のものではなくなった未来。でっかい植物が伸びすぎて月まで届いちゃった未来。
サル以下の緑色の小人に成り下がった人間たちが旅をする。
訳者の苦労がしのばれる奇怪な動植物の名前がかもしだす別世界の旅に
あなたも参加してみる価値はある。
脳みそキノコかわいいよ脳みそキノコ
投稿元:
レビューを見る
ここまでの想像力で世界を描くのはすごい、自分の想像力も試される小説。
内容は説明しにくいので、状況だけ書くと
>>何十億年後かの未来に太陽は膨張し地球は片面を太陽に向け月は太陽と月のラグランジュ点に移動。
地球を覆うのは巨大な樹と植物で、生物は原初的な生活を営んでいるという状況。
登場人物たちは知性を退化させているので、進展しているのかどうか判断しにくく若干読みづらい。
けれど、太陽が滅ぶ直前の惑星の状況をここまで描いたのが素晴らしいと思う。
投稿元:
レビューを見る
我が心の書。センスオブワンダーの固まり。
あまり書くとネタバレになるので書かないけど、魅力的なクリーチャー、登場人物、世界観、人類・生物の進化、拡大、世界の終わり…などなど、SFに触れる人には絶対に読んでほしい小説です。
投稿元:
レビューを見る
最初の数ページが面白そうだなーと思って読み始めたら、まあ予想もつかない超展開!
ボッシュの絵でも見てるみたい…
地球の自転がとまり太陽がやがて燃え尽きようとする頃、動物的進化をとげた植物と退化しきった人間の時代の話。
知性あるキノコに寄生された男と妻の、悪夢みたいな世界の旅。想像力の限界に挑む感じだ…
「アシタカ」という植物がでてきたのが、気になって気になって、世界観ぶちこわし(笑)
投稿元:
レビューを見る
出だしの50ページでおもしろいと感じれない本は自分的には駄目な本。
自分に想像力が足りなかったのか。植物系の話が苦手だったのか。
期待していただけに残念。
投稿元:
レビューを見る
ものすごく遠い未来を舞台にしたSF。永い永い時の果て、太陽は膨張し、まもなく燃え尽きて新星になろうとしていた。
地球の自転のバランスが崩れ、常に太陽と同じ面を向けて公転するようになり、月も地球の周りを巡るのをやめた。
地球の昼の面は、膨張した太陽の熱を受けつづけて灼熱と化し、夜の面は極寒の地となった。ほとんどの動物が滅びに瀕し、かろうじてわずかな種類の獣と虫、海洋生物ばかりが、進化と退化の果てに細々と生き延びている。植物は太陽の恵みを受け、放射線に適応して強靭な生命力を誇り、じつに様々な形へと進化していった。
動物にとってはあまりに過酷な世界と化した地球にかろうじて適応し生き残った、じきに滅びていこうとしている人間たち。そして瀕死の地球を捨てて、外宇宙へ逃れようとする、わずかな生き物たち。
かなりトンデモな設定が多々見えていて、「いや、それはないわ」と思うような箇所もけっこうあったけれども、それにしても壮観。これだけ壮大な設定の小説って、なかなか見ないような気がします。
文字通り沈まない太陽。繁茂する森、人間や他の獣、植物らに襲い掛かる、さまざまな植物。壮絶な自然の中で人はあまりに弱い。
難を言えば、あともう少し臨場感がほしかった気がします。これだけの圧倒的な異世界に完全に入り込んで読むには、想像力を喚起する描写、リアリティが、もう少しだけ弱かったように思いました。(私の想像力が弱いのかもしれませんが……)
それにしてもこの想像力はすごい。SFってやっぱりいいなあ。
投稿元:
レビューを見る
むせ返るようなジャングルの鬱蒼とした木々の匂いが文脈と文脈の間から立ち昇り、最初から最後まで奇妙な進化の道を選んだ植物たちのメタモルフォーゼに圧倒されっぱなし。
敬愛する椎名誠氏が大好きだと言うので読んでみたのだが、なるほどあのあやし不思議な椎名ワールドの原点はまさにここにあったのかと納得できた。
設定はサイコー。でも途中から飽きる。