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紙の本
パトリシア・モイーズの処女作、スキー場の殺人
2005/04/14 16:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:APRICOT - この投稿者のレビュー一覧を見る
パトリシア・モイーズの1959年の処女作。舞台は、オーストリアとの国境に接した、イタリア・アルプスのこぢんまりとしたスキー観光村、サンタ・キアラ。イギリスのティベット警部と妻のエミーは、スキー休暇を楽しんでいたが、まもなく殺人事件が発生する。
とてもおもしろかった。時間的要素がカッチリと組み立てられた、精巧な謎解きが楽しめたが、それ以上に、情景描写と人物描写にコクがあり、物語そのものが非常におもしろかった。特に、クライマックスのスキーでの追跡戦は圧巻。
ティベット物を読むのは、「死の会議録」に続いて2回目。前回ではティベットを“個性や魅力は特にない”と評したが、今回彼の魅力がわかってきた。確かに、シリーズ物の主人公には珍しく、目立った個性や能力はないが、良識と暖かさが自然とにじみ出る、まっとうで好感の持てる人物なのだ。
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