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ロマンチックな復讐譚。退場の仕方も昔のモノクロ映画のよう。映画版はほとんどホラー状態で終わってしまった。
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さりげなくターゲットに接近しなにごともなかったかのように殺していく幻の女。彼女の名前は誰も知らず、ただ黒いドレスを着ていたことだけが手がかりだった。彼女の目的はいったい・・・。
コーネル・ウールリッチお得意のサスペンス。彼の作品「黒い天使」でも女の執念やそれにあてられる被害者たちの転がり落ちるような運命を描いていますが、今作「黒衣の花嫁」はさらに上を行く悲劇。作品としては後半だれ気味ではありますが、終盤の落ち込みは読んでいても暗くなります。しかしコーネル・ウールリッチの作品にでてくる主人公(男)は幸せモンですな。
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女は見送りの幼馴染にシカゴに行くと言い残しNYを旅だった。だがすぐに次の駅で列車を降りてしまう。適当に探した宿に落ち着くと、一枚の写真と名前が書かれた5枚の紙を燃やした。そしてしばらくして…ひとり、またひとりと男が不審な事故死で亡くなる。これらの事故に共通するのは黒い衣服を着た謎の女が絡んでいるらしいということだけだった…。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】アイリッシュの別名義、コーネル・ウールリッチのサスペンス的ミステリ。第1部ブリス、第2部ミッチェル…と女のターゲットになる男の名前が各部に冠してある。被害者の男たちの共通点は見いだせないまま、1部では女の神秘性、2部では女の観察力、演技力、用意周到さが巧みに描かれていて、読者は犯行の成り行きを固唾をのんで見守るしかない。3部では、子供から情報を引き出し、妻を家族から離れさせ、男と子供だけの家にうまく潜り込む段階になると、次は一体どんな手を使うのか、先の展開が気になってページをめくる手が止まらない。2部のガールフレンド、3部の子供、4部の男など、ターゲット以外には手を出さず、3部では誤認逮捕された女性を助けてさえいる。ターゲット以外にはいっさい手を下さない理性的なこういう対応を見ると、女には止むにやまれぬ事情があって犯行を重ねているのかと、思わず肩入れして読みたくなってしまう。謎の美女、幼稚園の先生、芸術家のモデル、タイピスト…次々に演じる役柄になりきる女。最後の5部では、てっきり女学生に扮してターゲットの屋敷に転がり込んだのかと思ったが…(あれ?こんなミスリードにひっかかるの私だけ?)。これだけの周到な犯行を重ねてきた動機はやっぱり復讐だったかとやや拍子抜けしたが、全て読み終わってから最初の「女」の章を読むと、初め読んだときには感じられなかった、女の失意の中の並々ならぬ揺るぎない決意を感じる。だれひとり得する者のいない犯罪…虚しさ寂しさを胸に残す作品だ。
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さすがアイリッシュ、と稲葉明雄。ムード作りがうまい。筋はまあ普通。ちょっと物足りないところもあるが、それを補ってあまりあるほどムードが良い。
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http://shinshu.fm/MHz/67.61/archives/0000313255.html
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丸善150周年記念復刊の1冊。
流石にやや古びてしまったところもあるが、当時は現代的で都会派のサスペンスだったのだろう、と思う。
しかしこのオチは切ないなぁ……。
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小学生の頃子供向けミステリーで「黒衣の花嫁」があったが何故か読むことなく、今になってやっと読んだ。
女はシカゴへ行くと言いながら、すぐさまニューヨークに取って返し、旅行鞄からイニシャルをはがし別な女になった。そして第一部「ブリス」で女は「あなたは4人の男のかたと一緒に車に乗ってらっしゃった」といいながら男をバルコニーから突き落とす。
本では女は結婚直後だ、というのは最初は分からないが裏表紙の紹介から分かり、目次も5人の名前があるので、この車に乗っていた関係者を次々殺すのだな、と分かる。分かるがおもしろい。さあ、復讐を遂げてくれ、と応援する気持ちになる。・・・・ところが肝心の真実があっと息をのむどんでん返し。 まあ、夫の死の真実はすぐに分かったのじゃないかな?と疑問は湧くのだが、筆運びがそれを凌いでいる。
第3部モランでモランの子供の幼稚園の先生が有力容疑者として逮捕され、アリバイや証拠から容疑者の否定ができなくなっていく様は「幻の女」と似ている。
連続ドラマなどにしたらとてもおもしろいだろう。
1968年、フランソワ・トリュフォー、花嫁役ジャンヌ・モローで映画化。
訳者・稲葉明雄氏の解説があり、この8月3日から9週にわたってTBSで十朱幸代主演で放映されることになり、それでこの機会に訳を新たにして(早川)文庫にいれることになった、とある。(1983.7.17記)
1940発表
1983.5.15発行 1991.9.30第5刷 早川ミステリー⑩-4 520円 図書館
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〝第二のフィッツジェラルド〟を目指していた文学青年ウールリッチがミステリ作家へと転身したのちの初長編で1940年発表作。全体の印象と物語の構造は、後の「喪服のランデヴー」(1948)と重なる部分が多い。そして、二作品ともウールリッチの代表作である「幻の女」(1942)に次ぐ名作として評価が高い。
両作とも復讐者がターゲットとするのは五人。だが、「…花嫁」の女が対象全員を有罪として〝特定〟しているのに比べ、「…ランデヴー」の青年は〝不特定〟のままで殺していく。つまり、罪を犯していない者がいても問答無用で死に値するとし、殺害の状況もより残忍な手法を用いる。この差は大きい。
退廃的な美文に彩られた極めてノワール色の濃い「…ランデヴー」に比して、本作の時点ではさほど文章に凝ってはいない。その分プロットに力を入れており、終盤に於いて畳み掛けるように明かされる真相には迫力がある。復讐譚として捻りを加え、善人と悪人、罪と罰が変転するさまは鮮やかだ。ただ、復讐の動機となる事件については不自然さが残る。さらに、主人公の心理面での掘り下げが弱いと感じた。同じように「…ランデヴー」でも、復讐者の内面描写が無いのだが、その凄まじい怒りと哀しみを、特異なレトリックを駆使し見事に描き切っている。そして、ロジック重視の謎解きよりも不条理な死/悪の有り様を抉る暗黒小説として昇華させている。実質の創作期間は短いウールリッチだが、その技倆は驚異的なスピードで磨かれたことを実感する。
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ウィリアム・アイリッシュの未読であったこの本を読みました。コーネル・ウールリッチ名義で書かれています。
サスペンス風のストーリーはすごく良いと思います。
ただ、ここのところチャンドラー、ロス・マクドナルドといった味のある文章に触れていたので、どうしても文章が少し軽くみえてしまう。
また、登場人物も掘り下げて書かれてはいないので。
個人的にはロス・マクドナルドにリメイクしてもらいたい一作。
散々に書きましたが復讐劇ものとしてはとても良いドラマ だと思います。ジャケットもとても素敵です。
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一応ミステリーなのかな?
謎解き要素は一切ないに等しいんだけどね。
実際にこの女がなぜ殺人を繰り返したかは
最後の章になるまで明らかとはなりません。
最後だけ動きがあるので
ついにやりよると思えるはずですし。
実に読者にとっては親切です。
親切すぎますね。
ただ、真相はあまりにもやるせない
形にはなってしまっています。
だけれども、あるものにてさえ出さなければ
きっとこの女性は復讐の鬼には
ならなかったはずですよ…
しかしまさかが隠されていたとはねぇ…