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北海道の本格的開拓が、明治十四年、囚人たちによって始まったことが克明に描かれている。
月形集治監のあった場所をいつか是非訪れたい。
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北海道開拓史に興味がある人はぜひ読んで欲しい。
これを読んで月形や網走に行くと、思いが違ってくる。
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吉村昭が描く北海道開拓史であり、同時に北海道の監獄史でもある。
いつもの硬質・淡々とした文体で、看守と囚人の間に横たわる相容れない感情と緊迫感を見事に描きだしている。
わずか百年ほど昔に、こんなことが日本にあったのか、と驚愕した。
北海道は囚人の血と汗で開拓されたなんて全然知らなかった。
また北海道に訪れることがあれば、敬虔な気持ちで北の大地を踏みしめたい。
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樺戸道路、上川道路、北見道路の開通、、、
幌内炭山、跡佐登硫黄山の採掘、、、
屯田兵、内地からの入植も同時期だが
囚人達の過酷な労役によって北海道開拓はなしえたのか・・・
道路を通るとき、思い出しそうだ
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ある意味、怖い。
この「赤い人」の「赤」っていうのは、囚人が着る獄衣のこと。
脱走してもすぐに捕縛できるよう、目立つ赤色で作られているわけ。
明治40年代、防寒設備すら整えられていない北海道の監獄に送られ、
冬でも足袋すら履かせて貰えずに、雪の台地で働く囚人たち…
北海道開拓史は、彼等の存在と苦しみの上に成立したものだった。
脱走を狙う囚人、それを見張る看守、
死ぬことを前提に送り込まれる過酷な労働、
もうこれだけで、壮絶で陰惨なドラマが書けそう。
…なんだけども、この本、基本は史実に忠実に書かれているのだ。
作者の主眼は極力除いて、淡々とその歴史と事件を羅列してある感じ。
んー、でも、なんか、機密文書に目を通している感覚と似たものがあるから、
こういう文体に馴染めず、うずうずしちゃう人もいそう(笑)。
作者の感情が注ぎ込まれていないので、
読み物としては、ちょっと淡々とし過ぎるきらいのある、
歴史の教科書を解説つきで読んでいるかのような風合いも強いのだけれども、
言葉が朴訥であるゆえに嫌味の無い、
分かりやすく、いい意味で無機質な文章だと思った。
読後感がっさぱりすっきり爽快☆なんてことは絶対にないので、
気分転換に読みたい人には薦められません(笑)。
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いやあ、重苦しい。月形の集治監ができてから廃監になるまで。さだまさし聴きながら読んでたから臨場感UP。
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北海道は月形村 樺戸集治監の明治新政府による建設から廃監までを中心に、囚人労役によって北海道開拓に多大な貢献をした北海道監獄群の実像に迫る。明治大正期、「人権」などという概念はない時代にあって、囚人労役は過酷を極めた。「モトヨリ暴戻ノ悪徒」「苦役ニタエズ斃死スルモ(監獄費が抑制されて)国益」という考えのもと、極寒の北海道で足袋すら与えられずに開墾、道路開鑿、炭鉱採掘に引き出された囚人たちは、寒さのため、苦役のため、手足を失い、失明し、死亡した。
吉村昭得意の綿密な取材に基づく描写は、明治新政府の無知と横暴を事実をもって語らしめており、秀逸だ。末尾の五寸釘寅吉が歴史的人物に成り上がっていくエピソードが物悲しい。
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明治期の北海道開拓が,囚人と看守たちが敵意をむき出しにしながら進んでいく姿を,筆者の綿密な調査をもとに淡々と叙述されている。その実態は凄惨で,日本の近代化の裏側を知ることができる。
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北海道開拓に従事した囚人を取り扱った一冊。
日本の明治史、北海道開拓の歴史が良くわかる一冊です。
この人の文章は力強く時に怖いくらいだ。
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五寸釘寅吉、稲妻小僧という名の個性的な囚人も登場するものの、国家利益に囚人懲戒を結び付けた創世記から更正重視へと変貌を遂げた明治末までの監獄史ドキュメンタリーといった作品に仕上がっている。綿密な筆致はその顛末を描いているのであって、私が期待した人物に焦点を当てたものとは異なったが、読み応えありの作品だった。
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斜め読み。「人間てなんだろう・・・」と、シンジくん的な感想。刑務所にはいったら、まず最初に読もうと思う。今回は斜め読み。
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北海道開拓の負の歴史。道産子としてきちんと受け止めねばならない。膨大な資料に徹底的にあたり、冷静に史実を追い求めるが故に華美にならない文章が、かえって重みを増しひしひしと伝わってきます。
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赤い人,それは朱色の獄衣を纏った囚人。明治14年,両手両足を鎖で結ばれた終身懲役囚人40人が,東京集治監から北海道の石狩川上流にある須倍都太(後の月形村)に送られた。彼らの目的は,自身の獄舎となる樺戸集治監を設営し,併せて北海道開拓の労役に従事することである。満足な物資もなく,北海道の厳しい気候の中での人権無視の過重労働は,想像を絶する地獄だった。(あとがきより抜粋)
北海道開拓の裏面。ここまで人を人と思わず囚人を扱っていたのかと驚きを隠せなかった。あまりの濃密な内容に1ページ読むのにも時間がかかった。囚人が作り上げた北海道のインフラの歴史が克明に記されており,北海道にいるうちに読んでよかったと思った。
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1881年、未開地を開拓するために囚人が北海道に送り込まれた。
極寒の中、罪人は便利な労働力として国によって利用された。
建前上は、労働という苦役によって罪を償うという法の思想だったけれど、その実は北海道を開拓するために強制的に使える労働力を必要としていたという国策的な側面があった。
日本が近代化する前のことだったから人権という概念は希薄というか、囚人にたいしては無かった。厳しい冬でもわらじと赤い囚衣だけで作業をさせて、足とか耳とかが壊死する。監獄にかえっても寒くて凍死したりする。硫黄鉱山で長時間作労働させて失明したりする。
非人道的だけど、一方で天皇が崩御したら恩赦で減刑される。
そこには、法にたいする稚拙さと、その時代どんな価値を優先していたかが見える。
非人道的ではあるけれど、残酷というのもちょっと違う。
ただ、時代だったということです。
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事実を淡々と書いてあるところにリアリティが感じられた。なんとなく知ってはいたけど、道民として日頃何気なく通っている場所や見ている景色にこんな背景があるのだなあと改めて感じいった。