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韓国の歴史学界が日帝時代の日本による‘植民史学’(日鮮同祖論、他律性論、停滞後進論)を解放後乗り越えるために実証史学、民族史学、社会経済史学がそれぞれの方法でどのように歴史に向かい合ってきて、また、未だどのような問題が残されているのかということを理論面からアプローチしている本。「第一は、大韓帝国期までの近代的改革が、韓半島を取り巻いている国際勢力、すなわち日本や帝政ロシアの改革よりも遅れをとっていたためという答えと、第二は、不幸にも韓半島をとり巻いていた国際勢力が、侵略欲をもっていたためという答えがそれである。しかしこの二つの答えでは、結局のところ、よくいわれるわが国の歴史の後進性論の問題や他律性論の問題に立ち戻っていくのではないかという気がする。われわれの見るところでは、この問題は後進性論だけでは処理できないことであり、またわが国の歴史の失敗の理由は、決して他の国の侵略行為にのみ帰することのできないものであると思われる。失敗の原因は、明らかにわが国の歴史の中に求められなければならず、したがって植民地に転落した理由は、まさに大韓帝国自体にあったのである」(p.124)。久しぶりに感動する本に会えた。‘ハングル創生の歴史的意味’で、ハングルを作るようにしたのは、一般に言われているように世宗の天才的手柄というよりはむしろ、民衆世界の変化であり、15世紀の朝鮮における歴史的な条件であったとするところもメモメモ。