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男色が嫌いな院政期好きなんていません!

2010/05/22 01:12

10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:樹林 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 院政期。何がなんだかよくわからない時代である。
 治天の君と呼ばれた上皇が絶対権力を持ち好き勝手やり、絶対権力者であるが故に好き勝手できなくなった時代である。
 朝廷という組織が硬直化し、組織の枠を超越した院と、その取り巻きである院近習による混沌とした時代。荘園という私的財産の増加とともに個人の力が増しに増し、組織や家ではなく、個人と個人のエゴがぶつかり合い、良くも悪くも自由闊達な時代へと変貌する。本書ではその過程を追う。

【構成】
  序 (p1)
 第一部  院政期の歴史的位置 (p11)
  第一章 院支配の基礎と中世国家 (p13)
  第二章 前期院政と荘園整理の時代 (p41)
  第三章 永観と「中世」 (p70)
  第四章 宣旨類 (p93)
 第二部  院政の展開 (p121)
  第一章 院政期知行国の変遷と分布 (p123)
  第二章 大庭御厨と「義朝濫行」の背景 (p170)
  第三章 勧進聖人の系譜 (p199)
  第四章 院政期の東大寺文書―東大寺所司覚仁を中心に― (p223)
 第三部  保元の乱 (p255)
  第一章 儒者・武者及び悪僧 (p257)
  第二章 保元の乱の歴史的位置 (p285)
  第三章 荘園・公領と記録所 (p311)
  第四章 馬長と馬上 (p341)
 第四部  院政期の諸階層 (p373)
  第一章 女院と女房・侍 (p375)
  第二章 東大寺浄土堂の背景 (p398)
  第三章 院政期政治史断章 (p416)
  第四章 花王にみる院政期諸階層 (p442)
 あとがき (p489)

 この時代の個人の為に存在する院という組織、院政期を通して徐々に整備されていき、中世という時代のいわば雛形となる。鎌倉幕府と言うシステム、ひいては武家政治体制も、この院政に大きく影響をうけることとなる。つまり院政期を知らずして中世は語れないし、院政期無くして中世は無かった。自由闊達な個人が己の武や知でもってのし上がる。それが可能な、人が純粋に生物としての人であった稀有な時代。些か専門的であるが、丁寧に堅実にこの本ではそれが書かれている。

 さて、この本の白眉は"院政期政治史断章”にある。今までタブーとされていた院政期の暗部(現在の感覚なので、当時は別に暗部でも何でもないと思うけども)男色に触れる。院に認められれば立身出世も思いのまま、だとしたら尻の穴くらい何だと言うのか。
 ハングリー精神あふれる人々は当時の摂関家や院に対して春をひさぐ。究極のスキンシップは、より大きな派閥を形成するのか、院や摂関家を中心に男色による強固なつながりを形成する。


     文字通りの尻合いと言うわけである。


 平家も源氏も摂関家も、時の長者に対して見目麗しい少年を提供する。果ては自ら愛人になる。
 君臣合体の儀、これをもって至極となすべきか(九条兼実談)
 五味氏は言う、これで院政期に興味が一時期失せたと、これを発表するものかどうか悩んだと。


     何をおっしゃるウサギさん。


 安心してください心配しないでくださいむしろ胸をはってください。男色が嫌いな院政期好きなどおりましょうかいやない。
 この本のおかげでより院政期が色鮮やかで魅力的なものになったのです。どうか院政期を知りたい貴方、この本を手にとってください。何? 男色なんか捏造だ? なんだその固い頭は。この時代が好きなら全部好きになれ金竹小。


 ただ後白河法皇、源頼朝に手を出したのはまずかったんじゃなかろうか。彼にとって治天の君は、もはや神聖なものではなく、きっと普通の人になってしまって、新しい秩序を打ち立てるきっかけになったのだろうから。

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