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学校、工場という近代社会の生み出した制度から「西欧近代」を再検討し、現在の論理や制度の成立を解き明かそうとする。
1984年 社会史
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西洋近代における学校や工場の形成を概観しながら、「近代」と呼ばれる時代が、どのような制度的な装置を通して、人びとを一元的に制御することを可能にしたのかということを明らかにしている本です。また終章では、日本的なパターナリズムと西洋からもたらされた近代化の動向が、どのような形で結合しているのかということが論じられています。
本書はあくまでも「近代」という時代を分析することをめざした本であり、均質化と群集化という「近代」の病理に対する処方箋がはっきりと示されているわけではありませんが、最後のところで、中井久夫の論考を手がかりに、新しい時代へ向かうためのヒントが示されています。中井は、統合失調症患者が退院後に、小さなコミュニティの中で名前も知られず参入していくことで「橋頭堡」を築き上げ、少しずつ前進していくことについて触れています。著者はこうした「オリヅルラン・モデル」が、近代の群集社会の中で一元的な同調に陥ることなく世界の中に「棲む」仕方を自分自身で見つけていくためのスタイルになりうるのではないかと考えています。