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紙の本

文明とは人間らしい暮らしを捨てることなのか

2014/03/05 23:26

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

瀬戸内海に臨む半農半漁の村。自然の幸が豊かで、ゆったりした日常を送ることに何の不足もない。そんな中に一人のへそまがりがいた。まがっているとは言うが、お人好しで頑固者、真っすぐすぎて周囲と衝突してまがっていると言われる。
山田洋次に映画化しろと言って書かれたのだそうだ。面白おかしくも、おっちょこちょいでもない。喜劇よりはむしろ岡本喜八あたりが鬼気迫る画面にしてくれた方がと思うような、せつなくてつらい物語。
漁と畑と、自然の中で遊ぶ子供たちの暮らし。だが日本という国自体が、産業化の流れにあって、工場が進出してくる。これで村も豊かになると言われるが、まずよそ者が大勢入り込んでくるというところから違和感を感じ始め、戦争をはさんでますます工場の勢いは強まっていく。森も畑も工場になり、川は無くなり海は埋め立てられる。その中でへそまがりの主人公だけは土地の買収に応じず、工場からの様々な嫌がらせに遭う。
このへそまがりの生き様を追っていくと、今で言う公害問題、自然破壊のはしりみたいな話というわけで、その始まりから、少しずつ村が壊されていく過程が描かれる。この作品の書かれた1973年頃には、社会問題としてこういったことは知られていても、法整備はまだ十分ではなかったのではなかろうかと思うが、その時代にストレートな問題提起とも言える。
それを資本主義の問題と言って、それはその通りかもしれないが、作者が丹念に描く人物像達は、もっと根本的なところに触れてしまっている。企業の資本力や組織力をかさに、人を苦しめることに躊躇しない、むしろ嗜虐性をあらわにするように積極的ですらある。それが本来の人間性を資本主義が拡大しているのか、資本主義によって新しく生み出された欲望の形態なのかは分からない。この文学スタイルによって焙り出された時代の一断面だ。
へそまがりは、生活空間を冒され続け、追い詰められながら老いていき、傍目には悲惨な境遇に陥っていくようにも見えるが、弱くなる部分と強くなっていく部分が彼の中に同居していて、かつては自然の中から糧を取り出していたように、過酷な人間社会の中で適応し、または破滅していく一つの姿でもある。まったく個人的で、社会性もない、ただ彼自身の人生であるのだが。

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