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阿刀田さん自身が、今昔のミステリー作品を選りすぐってます。
好みのものもあればそうでないのもあるし、昔の作品だと、文章自体が難解で読解に苦しむものもあり。
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阿刀田高氏好みの恐怖小説のアンソロジ-22篇です。読むうちに恐怖心を煽られる作品、ブラックユ-モア風味の濃い作品などバラエティー豊かな品揃えです。ゾット寒気のする志賀直哉の『剃刀』と城昌幸の『波の音』、まさか、やっぱりな-と怖い思いをする都筑道夫の『はだか川心中』と結城昌治の『怖い贈り物』、極めつきは筒井康隆の『乗越駅の刑罰』と阿刀田高の『無邪気な女』でした。
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アンソロジー作品で「阿刀田高」編集の恐怖小説集『恐怖特急』を読みました。
「江戸川乱歩」、「夢野久作」、「志賀直哉」、「内田百間」等々の大家の作品が並ぶ、こわーい作品集です。
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あとひく恐ろしさ!
戦慄に満ちたもの、日常のなかに潜む恐怖、奇妙なできごと…。
名人「阿刀田高」が、戦前から現在にいたる傑作をよりすぐった恐怖小説22編。
日本ペンクラブ編(解説・選者)
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本作品には以下の22篇の恐怖小説が収録されています。
■昆虫図 / 久生十蘭
■文字禍 / 中島敦著
■怖い贈り物 / 結城昌治
■大望ある乗客 / 中井英夫
■二癈人 / 江戸川乱歩
■人の顔 / 夢野久作
■死の倒影 / 大下宇陀児
■箱の中のあなた / 山川方夫
■探偵電子計算機 / 谷川俊太郎
■乗越駅の刑罰 / 筒井康隆
■エナメルの靴 / 佐野洋
■庭 / 森内俊雄
■はだか川心中 / 都築道夫
■波の音 / 城昌幸
■死んだ兵隊さん / 吉行淳之介
■磨く男 / 黒井千次
■剃刀 / 志賀直哉
■影 / 内田百間
■顔 / 半村良
■蜘蛛の巣 / 生島治郎
■無邪気な女 / 阿刀田高
■さようなら / 山田風太郎
「江戸川乱歩」作品の『二癈人』だけは既読でしたが、その他の作品は初めて読みました。
怖いけど、愉しめる… そして、次の作品を読みたくなる、そんな作品が多かったですね。
印象に残っている作品を何作か紹介しておきます。
「中井英夫」作品の『大望ある乗客』は、それぞれが殺意を抱いている乗客の運命が描かれた作品。
たまたま路線バスに乗り合わせた5人の乗客、、、
それぞれが胸の内に殺意を抱いており、殺意を抱くことになった背景や殺人を実行する直前の心境が丁寧に描かれ、これからどんな展開になるんだろう… と思わせておいて、急転直下の結末。
悪い事はできないもんですね… 殺される予定だった人たちにとっては、命を救われたエンディングでした。
「大下宇陀児」作品の『死の倒影』は、殺人を犯し死刑宣告を受けた犯人から、友人に宛てられた告白の手紙を中心に物語は展開。
本人も意識していなかった殺意の温床… 子どもの頃の事件が、第二、第三の殺人のきっかけになっていたことが明らかになるエンディングは、なかなか巧妙でした。
「山川方夫」作品の『箱の中のあなた』は、映画『コレクター』を思い出すような作品… ぞっとするエンディングでした。
「筒井康隆」作品の『乗越駅の刑罰』は、「筒井康隆」得意の不条理モノ。
切符を買い忘れ、無賃乗車をしてしまった作家が受ける厳しい刑罰… 特に子猫のスープが怖いです。
「佐野洋」作品の『エナメルの靴』は、事故死した姉の死に疑問が生じ、徐々に真相が明らかになるという作品。
デパート火災で死んだと思われていた姉… 焼け焦げて判別がつかなかった遺体を、姉と判断していたのは、その遺体が履いていたエナメルの靴。
ところが、同じ靴が姉の実家でみつかり、姉の死に疑念が生じる… しだいに真実が明らかになり、愛していた、そして信じていた義兄から真実の告白が。
「城昌幸」作品の『波の音』と「黒井千次」作品の『磨く男』は、少し幻想的な作品。
もう一人の自分がいるんじゃないか… 別な人間と入れ替わってみたい… 現実の世界とは別にあるかもしれない世界、それが巧く描かれていましたね。
「志賀直哉」作品の『剃刀』を読んだら、理容院に行くのが怖くなる作品。
他人に顔や首を剃ってもらうのって、命を預けているのも同然ですからね。
「生島治郎」作品の『蜘蛛の巣』は、「江戸川乱歩」作品の『二癈人』のトリックを思い起こさせる作品。
エンディングは全く異なっていて、こちらの方が怖いですね。
イチバン面白かった(怖かった)のは、「阿刀田高」作品の『無邪気な女』。
ハッピーエンドが示唆され、安心して終わるかなぁ… と思わせておいてから、衝撃的なエンディングで幕引き、、、
主人公が好人物だし、奥さんは辛い過去を持っている女性だけに、ショックが大きく、哀しい終わり方でした。