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連句の面白さに目を見開かせてくれた一冊です。
連句とは、5-7-5、7-7、5-7-5、7-7…と句を続ける形式の詩です。三十六句続けるのを、和歌の三十六歌仙にちなんで特に「歌仙」と呼びます。今は5-7-5で独立させた俳句が主流ですが、明治より前は連句が基本だったんだそうです。一人で作ることもあれば(独吟)、二人で(両吟)詠み合うこともありました。でも一番多かったのは、気心の知れた仲間で集まって、前の句に付けて詠み、その進行と場の雰囲気を楽しむというケース。このため「座の文学」とも呼ばれています。
芭蕉は、今では「古池や蛙飛びこむ水の音」などの俳句で有名ですが、本人は、むしろ連句に並々ならむ自負があったと伝えられます。
この本では、その芭蕉が采配をふるった歌仙を解説して、ちょっと最初はとっつきにくい、連句への窓を開けてくれます。
「冬の日」に見られる、芭蕉対名古屋俳諧師の、びりびりするような緊迫感にはしびれました。か、かっこいい…!
前の句に対する連想と飛躍の面白さといい、「俳諧は三十六歩の歩みなり、一歩もしりぞくこと無し」という後ろを振り返らない姿勢といい、すっかり連句の魅力にノックアウト。
連句の歴史も分かるし、芭蕉についても解説してくれるし、ぜひみんなに読んでほしい名著です。