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人間と宇宙人や異世界の住民との接触をテーマにしたSF短編集。
この短編集「人間の手がまだ触れない」には全部で13篇の作品が収められている。その中でも表題作の「人間の手がまだ触れない」や「専門家」そして「体形」が好きだ。
「人間の手がまだ触れない」では、題名どおり、人間がいまだかつて触れたことのない、異星人の倉庫に眠る品物の中からなんとかして人間が食べられるものを探そうと苦心する話。品物についたラベルを何とか翻訳しようとするのだが、怪しいものばっかりなんだ。<ヴァルコリン製、よろず味自慢、消化力のある万人の使用に適す>という赤いゴム状の物体は、いきなりくすくす笑い出したりする。食べ物の概念からして人間と違う宇宙人っていう設定が、新鮮だった。
それから「専門家」を読んだ私は、何とかして『推進(プッシュ)』してみようと、試行錯誤したものだ。しかし、これって、人間が持っていないライオンの尻尾を振る以上に私には不可能なことなんだよね。
この作品集には、人間と宇宙人や異世界の住民との接触をテーマにしたものが多く、文化や、食生活の違いゆえに起こるすれ違いに一種の衝撃を受けた。
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ほんわかするものからぞっとするものまで、いろいろな作品が読めるのが短編集のいいところ。
少し寂しい話ではあったけど、「静かなる水のほとり」が一番好き。
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「怪物」
「幸福の代償」
「祭壇」
「体形」
「時間に挟まれた男」
「人間の手がまだ触れない」
「王様のご用命」
「あたたかい」
「悪魔たち」
「専門家」
「七番目の犠牲」
「儀式」
「静かなる水のほとり」
皮肉とユーモアにあふれた短編はどれもこれも面白い。
人類以外の視点から、人や人の社会を描いてるのが多く、甲乙つけがたいけれど「専門家」「儀式」が何となく好き。
「専門家」の最後、宇宙船のなかで一体となって飛び去ってゆく場面は、この短編集のなかでは珍しく清々しい後味。
「儀式」は、一番最初の「怪物」同様、価値観のまるっきり違う種族同士のいかんともしがたい断絶が描かれていて、人と人との関係を戯画化&極大化されたかのよう。
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名作短編集だが、私にはいまいち
表紙 7点真壁 暁生
展開 6点1954年著作
文章 6点
内容 590点
合計 609点
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早川書房創立50周年記念セレクションの一冊で、長らく積読だったものをようやく読了。買ったのは10年くらい前だったかと奥付を確認したところ、早川50周年は1995年で、なんと20年以上積読だった模様。
シェクリィの処女短篇集だそうで、言われてみると往年の名短編と比べてやや若書きの印象もある。人類を相対化して見る SF ならではの視点なら「怪物」、「専門家」、星新一を彷彿とさせる鮮かなオチは「悪魔たち」、「七番目の犠牲」だが、個人的なお気に入りは地球の種の多様性を賛美する「体型」か。
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小松左京が雑誌「SFマガジン」創刊号に載った「危険の報酬」を読んでとても衝撃を受けた、と言っていたので作品集を読んでみた。「危険の報酬」は入っていないのだが、表題作の「人間の手のまだ触れない」は中学生の頃同級生がこれで感想文を書いたのを思い出した。
13編、いずれも1952年と1953年に雑誌に発表されている。作品はいくつかのパターンがあった。トカゲ様の生物が二足歩行の人間と思われる生物に対し、行動や思考の違いに戸惑うもの、精神の安定のために殺人が合法化されている社会、無定形の生物が出てくる、など。殺しがドサッと存在している、ような空気。容認しているのではなく批判なのだとは思うのだが、読みだしたら続けて読んでしまった。
「怪物」
夫は妻を25日たったら殺す社会。これが「あ、今日は殺す日だ、殺してこなくちゃ」という具合。彼らには尻尾があり目は単眼、卵で増える、それは肉体的進化だった。そこに宇宙から金属の物体が下りてきて、そこから顔の真ん中に突起があり、その両側に窪みがあり、さらに突起があり骨がある生物がやってくるが・・
「体形 」
体型を自在に変えられる惑星から地球とおぼしき星にやってきたグロム星人。地球への20回の探検隊が一切戻ってこないので探しにきたのだ。グロム星では職業によってなれる体型の数が決まっており、職業も固定的で職業により階級もある。操縦士など上級のものは体型を維持しようとするが、通信士など下層の者たちは「無定形主義」をとりたがるが、機転も利くのでこの遠征隊に加えられていた。このあたり地球の階層社会への皮肉のようだ。犬になったり、人間になったりして様子を探るが・・ 目鼻をつけるのを忘れたり、なにかくすりと笑ってしまう。ターミネーターが成形される様をちょっと思い出した。
「人間の手がまだ触れない」
ある星に探検にやってきた二人。食糧がつきかけ建物を見つけ食糧らしきものをみつけるが・・ 無定形の形のものが出てくる。
「七番目の犠牲」
精神の安定のために殺しが法で認められている。それは何度かの大戦のあと、人間は暴力が好きなんだ、と認識し、究極の暴力ー殺人を認めることで平和が保たれる、として至った制度だった。登録すると殺す者が指定され、殺せば次は殺される役になる。それを逃れれば、また殺せる役になれる。これが映画化されていて「華麗なる殺人」1962年、カルロ・ポンティ制作、マルチェロ・マストロヤンニ主演。
「怪物」ファンタジイ&サイエンス・フィクション1953.3月号
「幸福の代償」ギャラクシイ1952.12月号
「祭壇」ファンタスティック1953.8月号
「体形」(Keep Your Shape)ギャラクシイ1953.11月号
「時間に挟まれた男」アスタウンディング1952.12月号
「人間の手がまだ触れない」(One Man's Poisn)ギャラクシイ1953.12月号
「王様のご用命」ファンタジイ&サイエンス・フィクション1953.7月号
「あたたかい」ギャラクシイ1953.6月号
「悪魔たち」ファンタジイ・フィクション1953.6月号
「専門家」ギャラクシイ1953.5月号
「七番目の犠牲」ギャラクシイ1953.4月
「儀式」(Stranger Ritual)クライマックス1953年
「静かなる水のほとり」アメージング1953.11月号
初の短編集として1954年に発表。
1962に早川書房で発行
1985.12.15発行 1995.5.15第3刷 図書館