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1986年刊行。
以前から興味があった千野栄一さんの本をはじめて読んだ。
チェコ語、ロシア語、言語学や翻訳に造詣の深い千野さんによる、ことば周辺のさまざまな話がユーモラスに語られる。
シロウトの私にとって、やや難解だったのはエルガティーフの話やカフカス語界隈の異質性の話だけで、あとはだいたい理解できたし、面白かった。
新たに知ったことは、チェコの人名(姓)は鳥の名前に由来するものが多いということ。※チャペックも
可愛いなあ。
和田誠の『倫敦巴里』という本についての章はインパクトがあった。
和田がいろんな人の文体や口調で、『雪国』のパロをやっている本について書かれている。
和田がまだ有名になりつつあるころらしい。
一応和田氏の経歴の説明があったり、多方面に活躍している、“今では才能ある若手芸術家たちのアイドルの一人”とある。
また、和田氏のパロの話で、作者本人の弁ではないが、引用で“じゃねぇのか、思いだせねえ、など、社会的に層の低い人が使う言葉なので…”とあり、いろんな意味でビックリさせられる…。
米原万里のエッセイにもよくある、翻訳の難しさや、言語とは何か、の最終章は特に楽しんで読めた。
イーグルトンとか大学でやった(やらされた)当時、言語学そのものは嫌いではなかったが、たくさんはやらなかった。
いま再び、この本で、これらを学ぶ機会に恵まれたことを嬉しいと思った。
私も、チェコという国や文化に惹かれるところがあり、またそれらの物語を読みたいと思う。