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さて、これはどっちなんでしょう。吸血鬼怪異譚なのか、それとも異常者による犯罪ミステリなのか。答えは自分で読んで見つけましょう。
ロマンとメルヘンに溢れたかのように思える公使館でのシーンも、物語が進むに連れて不気味さを思い起こさせます。そして随所に挟み込まれる、幼女殺人事件の捜査。両方のパートが絡み合って徐々に接近し、結末は何処へ向かうのか。最後の最後まで、まったく油断はできません。読み終わってもひそかに考えさせられてしまう作品。雰囲気にどっぷり浸りこんで読むのが楽しいです。
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昭和十二年十月三十一日、尋常小学校三年イ組の『ぼく』は下校中に〈お城〉の塀の上から声をかけられる。そこにみたものは、大小一組のかぼちゃの化け物だった。
四十年後の『ぼく』の回想と、青山墓地で起きたある事件を追う警部の視点が交互に語られます。
和製ゴシックホラーとでもいうべき『ぼく』の回想が、雰囲気たっぷりでいい。それだけに文春文庫の裏表紙の紹介文はネタバレし過ぎで困ります。いずれわかるとはいえ、こういうのはじわじわとくるのがいいのに。
一方、警部の視点は硬質な刑事ものといった感じで、『ぼく』の回想との対比がおもしろいです。
結末は、とある有名作を思い浮かべます。なので、もう一ひねり欲しかったな。
それでも、昭和初期の時代感と西洋の幻想的な空気が混じり合った妖しさは良かったです。
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高校生のときから何度も読み返している愛読書の一つ。
作者があとがきで好きな吸血鬼小説として挙げている、
スタージョン『きみの血を』と、共通する面もあるような。
殺人犯の夢想的な回顧談と、
彼を逮捕した敏腕警部の捜査の模様が互い違いに記述され、
最後は「理性」「現実の秩序」が
「白昼夢」に勝利したかに見えたのだが……といったお話。
改めて読んでみると、
殺人犯の自分語りの口調が乱歩の文体っぽくて、ちょっと笑えるし、
感染源であるはずの二等書記官が
序盤にチラッとしか登場していない――セリフもない――のが凄いな。
しかし、惜しむらくは、
私が気づいた限りでも1ヶ所、誤植があること(p.256)。
未読だが、同著者の『弁護側の証人』が再版され、
話題になったらしいので、
こちらもリニューアルしてほしいなどと思ってしまうのだけど。
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思ってたようなストーリーではなかったが、結構面白かった。
ただ昔に書かれた本だったからか、文章が読みにくく読むのに時間かかった〜〜
微妙に現実感があった てもしかしたら、ドラキュラかも?!って思わされるのが良い!
あと第二次世界大戦の東京の雰囲気が分かったのも良かった。