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ここのところ、海外作品を読めてないなぁ、と思って、無理やり海外作家の作品を借りてみた。1985年のアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。
ロス・トーマスの作品を読んだのは初めてだ。読んでみると、さすがに受賞作、予想以上に良かった。何といっても、予想以上にハードボイルドなスタイルであったのだ。
女性刑事がエンジンをかけると自動車は爆発した。妹の死の知らせを受けた兄ベンジャミン・ディルは長らく帰っていなかった故郷に戻る決意をする。そこには幼馴染であり、国際的な手配を受けるクライド・ブラトルのパートナーであったジェイク・スパイヴィも戻っていた。妹は死の直前に20万ドルの保険をかけていた。ディルは妹を殺した犯人の追及を始める...。
主人公であるディルは、長く調査員の経験があり、犯罪者や事件に対する嗅覚を持つ。簡単に流されない強さを持っていて、ハードボイルドの主人公的なスタイル。そして、幼馴染や老新聞記者、女性弁護士や刑事たちなどディルを中心とした登場人物との人間関係の描き方が、ドライでもあり、ちらっと情感が見え隠れする感じもあり、とてもいい感じだ。作者のうまさを感じる部分でもある。
唯一、作品の終わり方がちょっと「んん?」という感じなのが減点対象である。
無理に手に取った感のある作品だが、予想以上の面白さで得をした感じ。また、ロス・トーマス作品は読んでみたい。