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短編集。表題作も含む前半3編は文字通り忍者もの。あまり知られていない、忍者の役割、しきたり、忍者という社会システムの成立過程を知ることができる。物語自体も息が詰まるような緊張感に漲っており忍者世界を満喫できる。描かれる忍術の数々は俄かに信じがたいものばかりだが(幻術とか、身のこなし)、読んでる最中は全く気にならなかった(何せ背後からいつ切りつけられてもおかしくない緊迫感で読んでるから)。後半7編は忍者ものではないが、同じく歴史に大きく名を残さなかった人物を描いた味わい深い掌編。だが、やはり前3編が何といっても面白いです。
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短編集。「天明の絵師」「けろりの道頓」他5編収録。「もとの黙阿弥」の由来の故事の話が面白かったです。
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驚異的技能と凄まじい職業意識を持つ怪人たち、伊賀忍者の話。忍者の社会構図やしきたり、どのように生きたかが分かって、すごい面白かった。
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「伊賀者」は、具体的な方法がいろいろと書いてあって(どこまで本当か分かりませんが)お薦めです。
忍者が使った幻術は、修験道、陰陽道、密教などの影響が強そうですが、中国の仙人の逸話と共通点も多そうです。
(司馬遼太郎が中国の怪奇小説に大きく影響を受けてるため、そう感じてしまうだけなのかもしれませんが。)
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伊賀忍者を主とした短編集。
組織、何より歴史の動きに突き動かされ翻弄される登場人物たちの生き様が熱い。
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表題作含め、伊賀者に関する作品を3編収録。いずれも楽しめたけれど、情景が最も鮮明に浮かんだのは「外法仏」。皇太子の冠を賭けた競べ馬。勝利のための祈祷を任命された僧都恵亮と、外法使いの女の話。恵亮の醜悪な姿形、場面のそこかしこに散らばるグロテスクさが素敵。「けろりの道頓」と題された道頓堀を掘った安井道頓の話も、道頓が魅力的でした。
「蘆雪を殺す」と呉春ネタの「天明の絵師」も入ってます。
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「下請忍者」「伊賀者」「最後の伊賀者」「外法仏」「天明の絵師」「芦雪を殺す」「けろりの道頓」の短編7本立て。
久々に司馬センセイ!やっぱ面白い!ガンガン読んでしまうね。
この人の話は登場人物がどうにも魅力的で素晴らしい。本当にそういう人物だったんだろうとついつい思ってしまうリアリティがありますね。史実と創作の境目が分からないんだよね。
そして、どうにも知識欲が刺激される。
前3話は、下忍の悲哀がなんとも切ないお話でした。
戦国無双(ゲーム)で下忍を雑魚とザクザク斬ってたのを反省しちゃったよ(笑)
「伊賀者」はちょっとサスペンスっぽくて面白かった。
外法は知らなかったなぁ…
「天明の絵師」は松村呉春は与謝蕪村の弟子だったとか、上田秋成が与謝蕪村の友人だったとか豆知識面白い。
芦雪!豪快な人だったんだろうと…想像。ある種、狂人だったのかもねぇ。
道頓は可愛らしい人だったようで、いいお話だ。
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「最後の伊賀者」はもちろん、どの短編も面白かったです。
「けろりの道頓」は大阪の道頓堀を作った安井道頓さんのお話で、
一番印象に残りました。
司馬さんの秀作短編が揃っています。
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旦那さんが忍者のゲームで遊んでいたので、
なんとなく忍者の話でも読んでみようかなーと思って読みました。
短編集になっているので
1つの話は短く、司馬遼太郎さんの作品の中では
読み易い方だと思います。
戦国時代に主に活躍した伊賀の忍者の話や、
円山応挙やその弟子(蘆雪)など、有名な日本の絵師の話、
道頓堀を作った安井道頓の話など……
忍者に限らず色んな話が載っています。
よく、外国に行って日本のイメージをインタビューする番組なんかで、
「日本=忍者」みたいなイメージで思ってる人が結構いたりするのに
私は今まで、「忍者」って
具体的にどんな事をする職業なのかもよく知りませんでした。
読み終わった今は、
こういう「忍者」っていう職業が、
どんな仕事をしていたのか分かりましたし、
しっかり組織化されて
日本の歴史上に実在したんだなあ…と
不思議なような、感心するような気持ちになりました。
ここまで超人的なことが出来たのかはちょっと怪しい気もしますが…(-_-;)
伊賀忍者のことを知るのに
ちょうど良い感じの短編集だと思います。
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久しぶりに司馬遼太郎作品を手に取ってみた。ひとこと。やっぱり面白い。吉川英治よりも、北方謙三よりも。今回は短編集である。それぞれ、書評を書いておこう。
「下請忍者」
今まで忍者について深く調べたことはなかったが、この作品ではその内情が詳しく語られている。忍者の世界にも武士等の他階層と同様、支配者階級の上忍と被支配者階級の下忍があり、搾取によって成立しているとは真新しい知識である。伊賀喰代の郷士百地小左衛門配下の下忍:猪ノ与次郎が主人公。時代は徳川家康が桶狭間の戦い後に今川の支配を離れた頃。
「伊賀者」
河内国弓削村出身の梅ノ源蔵が主人公。時代は本能寺の変前後。源蔵が師の杉ノ坊の仇を撃つべく兄弟子抹殺を諮る途中、筒井順慶の身代わりアングルに巻き込まれる話である。それよりも、盲人:黙阿弥が筒井順慶の父筒井順昭の身代わりをした後で故郷に戻ったという話「もとの黙阿弥」という有名な故事になったとは初めて知った。
「最後の伊賀者」
有名な服部半蔵の子:服部石見守正就が主人公である伊賀同心のヒダリ(野島平内)から報復を受け、服部家が廃絶されるという物語。その背景には、上に挙げた上忍と下忍という構造にある。任務を終えると報酬の半分を上忍に持って行かれ、老い朽ちると寝酒にも事欠きつつ死んでいく。他で士官しようにも、横のつながりにより殺される。そんな厳しい境遇に置かれた下忍。なので、服部半蔵の跡を継いだ実子に対しても、素直に心服出来ないのである。
「外法仏」
平安時代前期が舞台。文徳天皇の皇太子の座を争う藤原良房と紀ノ名虎。藤原良房に護摩を依頼した僧都恵亮が主人公。謎の巫女:青女と関係を持ち、パワーを貰った恵亮が最終的には勝利し、藤原良房が推す惟仁親王、後の清和天皇が立太子。まぁ、分かったような分からないような話。
「天明の絵師」
与謝蕪村の弟子:松村呉春の半生を描いたもの。蕪村に可愛がられ、蕪村娘のお絹とは微妙な関係、上田秋成にはこき下ろされ、円山応挙には認められる。そんな江戸時代の文化人に囲まれた半生を客観的に楽しむことが出来た。
「蘆雪を殺す」
円山応挙の弟子:長沢蘆雪が主人公。型破りなキャラクターであり、応挙にも逆らう問題児が、多くの人の恨みを買い、暗殺の危険性を予知。最後は食あたりで死ぬが、本人は毒を盛られたと思い込んで最期をとげた、というもの。単純に面白かった。
「けろりの道頓」
豊臣秀吉に女を差し出した安井道頓が、水運のため大坂の街に堀を掘るという話。それが現在の道頓堀。本人は豊臣家に恩義があるとして、武士でなく商人なのに大坂冬の陣にて城方に加わり生涯を終える。こんな一市井の人の話も面白いものだ。改めて、司馬遼太郎の話の作り方に魅了された。
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下忍、上忍の意味が全然ナルトと違うじゃないか笑
忍者ものより絵師もの2作品が秀逸。
呉春、蕪村、応挙、芦雪の作品を調べてしまう私がいた。
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忍者にまつわる短編集、忍者とは人間を魔物に変える修法である。物心もつかぬ3歳で忍者の里へ買われていく、修行は10歳で完了する。当然、修行は厳しく生き残るものは少ない。出来なければ捨てるが殺すか、非情な世界であった。
アニメのタイガーマスク「虎の穴」の厳しさをイメージできればそれに限りなく近いのではないだろうか、人間技とはおもえないところが忍者の凄さなのだ。