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紙の本

維新時の地域主導の学校設立

2005/11/15 00:47

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:良書普及人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

都立大学の総長をなさった教育学者の山住正己氏のロングセラー「日本教育小史」(岩波新書)をたまたま古本屋で目にし、購入しました。明治維新前後の混乱期の地方における学校の自主的創設について、興味深い事例紹介があります。
まず、維新を積極的に推進した新政府首脳にとって、文明開化は大方針であり、当時、教育によって陋習を破り知識を世界に求めようとの建言が続いた経緯が紹介されています。
・明治2年(1869)木戸孝允は、戊辰戦争が終わるやいなや、「一般人民の知識進捗を期し、文明各国の規則を取捨し、徐々全国に学校を振興し、大いに教育を布かせられ候議は即ち今日の一大急務に存じ奉り候」と、普通教育振興は急務だと朝廷に建議。
・伊藤博文も、東西両京に大学を、郡村に小学校を設け、都市僻村の区別なく「人々をして知識明亮たらしむ可し」(「国是綱目」)と建言。
こうした政府内部の検討が行われている中で、明治政府の政治をまたずに各地で独自の構想による学校設立が始まっていたことが紹介されています。
・「各地における学校設立の動きで特に目立ったのは、京都の事例で、明治2年から翌年にかけて、市の64の町組に小学校が設立された。小学校であるから、その仕事の中心は子供の教育であるが、同時に地域の福祉・文化・治安などのセンターを兼ねていた。」
・「名古屋県も住民の協力により、『義校』と称し、京都よりも大規模な学校建築を始めていた。」
・「沼津の場合は、徳川家の静岡移封にあたって随行した洋学者たちが沼津兵学校を設立、その予備門として附属小学校を設け、庶民の子弟にも門戸を開いた。その小学校では自然科学の他、従来は為政者にのみ必要とされていた歴史の教育も行われており、その教育課程は注目に値する。」
この様な動きを支持し、更にそれを促進しようとしたのは福沢諭吉ら洋学者たちであった由、その福沢先生は京都の小学校を視察し、日頃考えていたことがここにはほぼ実現されているのをつぶさに見分し、感動をこめて「京都学校の記」で報告しておられます。
・国の学制公布をまたず、明治2年に開始された京都の学校作りは、東京遷都に対抗して、人材育成により京都の再建を図ろうとするもの。
・小学校の設立費用は「官」と市中の富豪が折半、加えて各区の戸毎に一様に運営費用を賦課。資金の出納は区の年寄が管理し官員は一切関与せず。
・「小学校の教師は官の命を以て職に任ずれども、給料は町年寄の手より出るがゆゑに、其実は官員にあらず。」
国を頼ることのない、自立する人々の作り上げる公共の教育環境が130年前の京都に芽を出していたのです。地域社会の教育に対する本能的な情熱を如何に引き出して教育力を高めるのか、義務教育が危機に瀕していると言われている中で、危機打開の方策について、国と地方の対応の在り方が問われます。
現在の中央教育審議会は、義務教育における国の役割が重要だと強調していますが、残念ながらその議論の背景には地方不信の考えが見え隠れします。
しかし、もともと子ども達の教育は、子供が地域社会の遺伝子を受け継いでいるという認識の下、どんなに貧しい時代でも地域が真剣に担ってきた歴史があるのです。米百俵の話は長岡市の話ですが、他にも、地域社会の教育に対する思いを伝える歴史的事実は沢山あるのです。
現行の義務教育費国庫負担金が維持できなければ、「義務教育が崩壊する」という発想は、如何にも偏狭な考え方のように思えて仕方がありません。負担金の削減分は地方税源の移譲により確保し、しかも明治時代にはなかった地方交付税が財源保障をする時代です。「五箇条の誓文」ではありませんが、文部科学省自身が「旧来の陋習を破り」、発想の転換を果たし、地方分権時代にふさわしい義務教育財政制度の構築に前向きに取り組むことが期待されると、この本を読んで思いました。

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2008/10/13 16:49

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2011/05/14 07:37

投稿元:ブクログ

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2013/07/16 00:09

投稿元:ブクログ

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