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評価内訳
2019/01/04 12:47
投稿元:
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呉服問屋の娘だった冴子。組紐作りの家の息子悠と駆け落ち同然に東京を後にする。戦争で父を亡くし、東京に戻って来てから、悠の実家に出入りし、自分でも組紐の世界に魅せられていく。悠と幸せに暮らしているかと言えば、そうでもなく、悠には妻子がありずっと別居しており、先方は離婚に応じてくれないまま15年の月日が。昔からの知り合い、紺屋の俊男は優しくしてくれる。平家が厳島神社に奉納した納経の組紐を復元しようという話が持ち上がる・・・ 1984年に書かれた、1960年の話。乙川優三郎の小説で紹介されていた。 世間的には言えば日陰の身。悠の祖母にはよく嫌味を言われる。悠は自分のこと優先で必ずしも優しくない。むしろ俊男の方が優しい。そんな揺れる女心が絶妙なタッチで描かれる。 本当に本当に絶妙なタッチで。 こんな小説が楽しめるほど、あたしはおばさんになったのだと実感する。ビバ、おばさんズ・ライフ。
2019/12/12 14:08
時代ものという程古くはない時代の話でも、明らかに現代とは違う世界を感じ取れるひと昔もふた昔も前に書かれたこのような本は、魅かれる。なんとも味わいがあり、まだ女性もつつましやかで、情緒が大事な時代の話。 読んでから半年ほど経ってしまったので細かい事は忘れてしまったが、家庭的に幸せになれない女性の孤独、諦観、後悔などがとても丁寧に、静かに描かれている。こういう人は時に意図的に、時には意図せず、周囲の人との関係にさざ波を立ててしまうもので、その描写もまた良かった。 意思は強いながらも控えめで、どこまでも日陰の身である事を自覚している主人公が、最後はなんだか開き直って力強さを感じるようなエンディングだったと記憶。戦後の復興期と重なり、女性が自立していく時代が来る事と重ねたのか。組紐について少し知る事ができた。