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かつてのロシア帝国を欧州近代国家へ変貌させたピョートル大帝の奮闘振りとその恋の遍歴を描いた歴史小説。
その偉大さを実感させられます。
一応小説の形態をとってますが、歴史書っぽいわね。その辺を念頭に。
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17世紀終わり頃。田舎の弱小国であったロシアを,ロシア帝国という名にまでのぼらしめ,文化も西洋に負けない(というか西洋の真似ではあったが)ようにと国々を回り,彼一代でロシアの近代化を成し遂げた人物の歩んだ道を様々な資料を参考にしつつたどっていく。
なんと言うか,読んでいてページが進まない。ピョートル自身がどう考えて,どう周りの人に語り,影響を及ぼしたかなんてのは全く無く,ただ単に歴史を追うだけの小説であった。訳書なので仕方ないかもしれないが,司馬,宮城谷などを好む方には余りお勧め出来ない。
それでも,私が途中で諦めずに読破したのは,この時代に私が疎いからである。ただそれだけだ。
ピョートルが常に魅力を感じ続けていたものは3つあり,戦争・海・外国だ。国境を広げ,臣下を教育してロシアを偉大な国にすることがピョートルは使命と感じており,外に向けては剣,内に向けては棍棒が必要だと彼は考えたのだ。彼は,指導者と言うより,技術者であり,船大工,花火士,医師など,ものすごい貪欲さで知識を食い漁った。大酒のみで,拷問・処刑は自分でも進んで行う。原始的な本能のおもむくままに行動した彼だったが,そんな彼だからゆえに,短期間の間にロシアをここまでの大国に作り上げることが出来たのだろう。これは読み終わった後に,おそらくホッと安堵するとともに,じわじわと感じてきている部分である。
ペテルブルグの町を作ったのも彼であり,それには,10万~20万人の犠牲者が出たという。人骨のうえに建てられた町がペテルブルグであり,町を支える杭棒は,落命した労働者の骨だったのだ。そんな彼にも弱いものがあり,それがゴキブリであり,何人目かの妻のエカテリーナである。この話は,女帝エカテリーナに譲る。(私は読まないと思うが。。。)
宗教についてピョートルは非常に開けた考えを持っていて,カルヴァン派,ルター派の聖職者と交わるなどし,ロシア正教徒からすれば異端に近い彼らの話を良く聞き,好んでプロテスタントの教会に通うこともした。外国人に対しても,信仰の自由を保障した。ただ,古来の宗教をまもるカトリックだけは警戒した。彼が技術者肌ということにも関係するかもしれないが,宗教をただ,君主に対抗するための権威を獲得することを目的としているようなカトリックには賛同できなかったのであろう。
彼は残忍で,気まぐれで,下品であったが,倹約家であり(酒と食は違ったが。うまい物と言うのではなく,量のということで。),節約家であり(少々けちに近いほど),ただ,ロシアの栄光のために,今現在のロシアの民の幸福を犠牲にしたのである。ヨーロッパに追いつけ追い越せと願い,反抗的なカトリックの国のフランスより,活動的で質実剛健なプロテスタントのいるドイツに多くを学んだという。
楽しみながら読むというより,勉強しながら読むと言ったほうが当てはまる本書であった。なので,星1つ。
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ロシアのロマノフ朝大帝ピョートル1世の歴史小説。
ヨーロッパを転々と旅行し、建築や服装などを自国に取り入れ、国を大きく変化させた指導者だった。
しかし、暴君であり、信じられないくらい好き勝手に虐殺するし、贅沢するし、飲んだくれるのである。
妻となったエカテリーナが洗濯女から国を支配するまでになるところはすごいと思った。
昔の改革者は理解できない部分が多くあると感じた。
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ピョートルのことを以前から詳しく知りたかった。
異能を発揮し、周りを善かれ悪かれ大いに巻き込み、過去の世界を刷新して、次世代のパラダイムを作るような人のことを偉人、英雄というが、ピョートルは間違いなくその一人。
子供の頃は織田信長の境遇や奇行に似ている。自分の擬似軍隊を組織し、父親の影響を受けつつも父親の葬儀はぶっちぎり、他の親族や家臣に命を狙われる日々、、やはりあまりにも似ている。
そこからぜんぜん違うのが、身長が2メートルに近く成長し(!)、若い段階で皇帝となりながらも、外国人居住地区にしょっちゅう出入りし、最終的には2度も国外にでて、欧州で職工として働いたり、博物館に出入りし、ニュートンら科学者らと交わるというちょっと他の偉人伝では見られない人生を送り、最終的にはロシアに戻り、軍備を近代化、充実させ、数々の外征を行い、ロシアを欧州地域の大国にまでおしあげた。戦争を継続するため、数々の過去の不合理な制度を改革し、必要性以上に古きものを壊すのが趣味や主義として体現されていたとさえいえるようである。この辺はまた信長に酷似してくる。
信長は息子と共に京都で屠られるが、ピョートルは自らの皇太子を廃嫡する等、晩年がやかましい。突然に死ぬときもどうも現場作業をしていたようで、よほど変わった皇帝だったようだ。
この本が素晴らしいのは、大帝といわれる人物の偉業ばかりを称えるのではなく、負の側面をキチンと批判しているところ。欧州化に極端すぎた為、本来的なロシア人のアイデンティティを崩壊させた側面、莫大な軍費を確保するため、数々の近代化を成し遂げたピョートルではあるが、ロシア独自の農奴や重税を改めることはなくむしろ強化した側面が強い。
この貧富の差が最終的にはロシアの赤色革命につながるわけだが、とにもかくにも、現在のロシアの領土や行動原理を創り上げた偉人を功罪両側面で知れたのはよかったです。
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ロシアの偉大なる大帝ピョートルの伝記小説。自分で偉大と書いて、偉大か?とも思ったが。。。まずロシア人の名前が全然覚えられない。面白い箇所もあったが、名前と地名が、さもあなた知ってて当たり前よ的な感じでガンガン出てくるので、文章が頭に入ってこない。バカな息子のところとか面白かったけれど。昔の人が髭を伸ばしているのは宗教的な意味合いもあったのかと初めて知った。
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現代ロシアへと続く行動原理を確定した人物という評価に異論はない。しかし、その姿勢が残した非ヨーロッパ的な政治体制は、今に続く基本原理を内在させていたように思う。
アンリ•トロワイヤには、イワン一世も書いて欲しかったなぁ。