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すごい本である。著者が、35年間取り組んできた、紙相撲の歴史が、嘘か本当かわからないくらい、詳細に、克明に記録されている。
P.78 横綱三津知が元気なく、五勝六敗と負け越し、ただちに精密検査を受けた結果、糖尿病と診断された。
とまあ、こんな感じである。もちろん、紙相撲だから、糖尿病になるわけない。なかなか洒落がきいている。
実際の取り組みの様子がまた詳しい。取組表などはつけているようだが、一番一番、ここまで記録しているとは思えないし、逆に、記録をつけていないととても書けないほど詳しいことが書いてある。
P.119 土俵にあがった照の花は仕切っていて、三津知の闘志がヒシヒシと伝わってきた。早く立たねばという気のあせりが、照の花のそなえにすきをつくったか、三津知は踏み込み鋭く、左前褌をグイとひきつけ照の出足を止めた。上手も十分にとった三津知は完全に胸を合わせた。こうなると照、一気には出られず、力相撲になった。
おいおい、ほんとかよ、という感じである。
しかし、ご本人のところどころのコメントに、所詮紙相撲であるという肩の力を抜いた様子がうかがえるのがホッとする。やる以上は、とことんやらないと面白くないが、かといって、あまりにもでは、ねえ。
実は、私は小学生時代、この徳川氏がテレビに出て、紙相撲を披露しているのを見た記憶がある。そして、そのあとに、やはり徳川氏が出されていた本を買ってきて、力士を切り抜いて、クラスの友達と遊んでいたのだ。
当時は分からなかったが、力士の右手と左手をずらしたり、足の角度をつけたりして、それらしく相撲が取れるように工夫をしたのは、徳川氏自身のアイディアだという。単に国技館などの小道具に凝っただけではなく、遊びの中身まで工夫したのが素晴らしい。
できれば当時の本を入手して、息子にやらせてみたいものですうが、どうにも手に入りません。近所の図書館にはあるので、コピーするしかないかなあ。