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名著だった。
祖父が20年前に購入した本。
10代後半から今の20代前半まで、幸か不幸か、死について考える機会がとても多かった。
最初は生について考えていたけれども、やがて悲観的な見地から死について考えるようになり、ある種、青年期にありがちな、死への憧れのようなものを抱いていた。
この本を読むことで、何もそれらが自分だけの、特殊なものでないことを知った。
そして、死から生を見つめること、生から死を見つめること、コインの表と裏のごとく考えるという大切さを学んだ。
死はいつやってくるものなのかわからない。
だからこそ、日々の中で死を感じ、それによって生を輝かせるということが、今の「死」を日常から切り離した現代社会で、より求められてくることなのだと痛感した。
そういった意味で、「死」を日常の中で考える装置として、毎日仏壇の前で先祖に手を合わせたり、定期的に墓参りをしたりといったことを、習慣化していきたいと思った。
個人的に思ったのは、
自らの存在は「必ず死ぬ」のだとわかり、現在の生と格闘するのが、「必死」という言葉なのだと思った。
以下、自分が心に留まった文章を。
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「私はしばしば厭世的になったけれど、今はそうでなく、人生を明るいものに考える境地になっている。『どうであれ、人生はよい』と簡潔に言ったゲーテにやはり共感する。苦しいことも悲しいことも腹立たしいことも多かったけれど、人生を、人間を肯定する気持ちになっている。」高橋健二
「ただ世のため人のためという方針を最後まで貫いて行きたいだけである。人に迷惑はかけたくない。」江戸英雄
「つくづく人生というものは、面白いものだと思う。人生にはところどころ節があって、その節をどう乗り切るかによって、それ以後の人生の様相がガラリと変わってしまうからだ。」大槻文平
「先のことばかり言うな。今を楽しめ」笠智衆
「死ぬための生き方は、すべて自分の責任だと思います。死ねばもう負け以外の何物でもありませんからね。私はいつまでも夢を捨てず、死んでいく決心でございます。」辰巳柳太郎
「『酔生夢死』だって、『歴史に名を残すこと』だって、大して差のあるものではない。それなら、そんな社会的評価に支配される必要はない。好きなように生きよう」植松正
「人間の生きることと死ぬことは、一枚の紙の両面のようにピッタリとついていることだと知った。」田中澄江
「二度と、この世に生まれて来ないとなると、地球を、出来るだけ長く楽しまなければならない。死があるから、生が尊い。」横山隆一
「死は眠ったような状態だとよく言われるが、むしろ最後まで考え、動いているのが望ましい死ではないだろうか。」日野原重明
「われわれ人間の死に対する恐怖や不安は、『死』についての言葉が始まった時に、はじまったのだ。」八木義徳
「人生は結局、生と死のたえざる緊張関係にあるが、セザンヌのように『未来』についてはっきり自分の態度を決めれば、生は充実し得る存在となり、死の恐怖など介在する隙間は消失する。」
「美しく老いよ」鈴木治雄
「自分が死病にかかっていることを自覚した場合、なまじ医者にかかって養生し無為に過ごして生命をひきのばすよりも、自らの仕事をできるうちにやり抜く方が重要であるという重大な結論が導出される。」吉野俊彦
「〈生〉の世界を水平線で書くとすれば、〈死〉はこれに対する垂直線として、水平線を切断する。〈生〉しかない生活は、多少の起伏があっても、単純な水平線である。この水平線を切っている垂直線を視野に入れて、〈生〉の水平線を見ることができれば、〈生〉自体の姿がより明白に、立体化して見えてくるであろう。」隅谷三喜男
「ラ・ロシュフコーがいったように、『人間は太陽と死は正視できない』ものである上に、人間というものは、同条件下にあっても、『ひとは死んでも自分は死なない』という奇怪な信仰を失わない特性を持っているからである。」山田風太郎
「私流の解釈では、『宇宙から見れば、人間は小さな存在でしかないし、人間の歴史から見れば、自分のやってきたことは、そのほんのひとコマであり、いわば戯れみたいなものでしかない。しかしその戯れみたいなことを真剣にやることの中に真実があるのではないか』ということになる。」石川忠雄
「人生というものは予期せぬできごとのために、形あるすべてのものを失うんだぞ。土地にしろ家にしろ、形のあるものに目をくらまされてちゃいかん。何があっても壊れないものだけを、求めなきゃいかん。」鈴木清順
「死が見えない社会とは、すなわち生が見えない社会である。」
「《死を不可避なものとして意識するということは、それが一年先のことであれ、三年先のことであれ、いまという瞬間の生を濃密に意識せざるをせない状況をつくり出す。一日一日が緊迫する。必死になる。》」中野孝次
「問題はそこで、禅機一瞬、翻然大悟ということが起こってそれ以前と以後とでその人の生が変わるか変わらないか。このあたりであろう。」開高健
「”人間という存在は宇宙の広大さから見れば黴のようなものだ、しかし一たん人間の内側から見れば宇宙をも照らす輝きである”」日下武史
「人間は、死ぬ前の生き方によってその生涯を生かしも殺しもできるのである。」石原慎太郎
「丈夫なころから『死』と『生』についてよく考え、しっかりとした死生観を身につけないと、良き晩年は送れない。」飯塚明男
「死の意識、死への直面は、精神を極度に緊張させる。その緊張があればこそ、人間が最後の成熟をする可能性が生じるのではなかろうか。」柳田邦男
「本人の死、私の死は、あるのか無いのかも判然としない、一つの小さな事件に過ぎない。しかし、死者を生かすものも、殺すものも、それは生きた人間の所業である。」養老孟司
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「人間は何事も自分の考えた通りになる。自分の自分に与えた暗示の通りになる。」
「出来ないと思うもののはできない。出来ると信念���ることは、どんなことでも出来る。」中村天風
「喜んで事をなし、なされたことを喜ぶものは幸いである。」ゲーテ
「死は前よりしも来らず、かねて後ろに迫れり。人皆死あることを知りて、待つこと、しかも急ならざるに、覚えずして来る。沖の干潟なれども、磯より潮の満つるが如し」兼好法師-『徒然草』
「戯去戯来、自ずから真あり」福沢諭吉
「生ける者遂にも死ぬるものにあらばこの世なる間は楽しくをあらな」大伴旅人